ブラック ジャック 確率EV・車載電池企業のグローバル戦略ブラック ジャック 確率サプライヤー進出で技術が浸透
タイでの中資系BEV動向(後編)
2024年12月19日
タイでは2024年に入り、ブラック ジャック 確率資本(以下、中資)系自動車メーカーがバッテリー式電気自動車(BEV)の現地生産を続々と開始している(前編参照)。それに伴い、直近では、中資系の部品サプライヤーのタイ進出の増加がみられている。中資系自動車メーカーは、タイのフリーゾーン制度の条件である40%以上の現地調達率の達成を目指している。そのため、一定数の自動車部品メーカーにはタイでの納入が求められ、中資系の部品サプライヤーにもタイ進出と現地納品が求められるからだ。
タイに既に進出している日系部品サプライヤーも多い中、中資系自動車メーカーとの取引を模索する動きもある。しかし、商慣習上の違いなどから、一筋縄では進まないのが実態だ。中資系自動車メーカーのタイでの調達先は、主に地場系サプライヤーか、中資系サプライヤーが大部分で、日系のサプライヤーからの調達は限定的だ。他方、ソフトウエアの面では、中資系BEVに搭載された自動運転システムなどがタイ市場に普及する可能性もあり、中資系メーカーとの取引や関係構築を無視できない状況でもある。
中資系自動車部品サプライヤーのタイ進出が増加
複数の中資系メーカーがタイでBEVの現地生産を始めることもあり、中資系自動車部品サプライヤーのタイ進出も盛んとなっている。2023年から2024年にかけて、国軒高科(ゴーション)や蜂巣能源(Sボルト)といったバッテリーメーカーのほか、ギア、モーター、コネクターなどのサプライヤーがラヨーン県やチョンブリ県に工場を設立する発表が顕著に増えている(表参照)。
企業名 | 本社 | 公表月 | 投資額 | 進出先 | 生産品目 |
---|---|---|---|---|---|
国軒高科 | 安徽省合肥市 | 2022年12月 | NA | ラヨーン県 | EV用バッテリー(2GWh/年) |
江蘇太平洋精鍛科技 | 江蘇省泰州市 | 2023年3月 | 約89億円 | ラヨーン県 | ギア、鋳造部品 |
寧波中大力徳智能伝動 | 浙江省寧波市 | 2023年3月 | 約48億円 | 未定 | ギアモーター、減速機 |
寧波恒帥 | 江蘇省常州市 | 2023年4月 | NA | チョンブリ県 | モーター、ウオッシャーシステム |
蜂巣能源科技 | 江蘇省常州市 | 2023年4月 | NA | チョンブリ県 | EV用バッテリー |
勝藍科技 | 広東省東莞市 | 2023年6月 | 約9億円 | 未定 | EV用コネクター |
寧波天龍電子 | 浙江省寧波市 | 2023年7月 | 約23億円 | ラヨーン県 | ウオーターポンプ、サーキットブレーカー |
江蘇通用科技 | 江蘇省無錫市 | 2023年8月 | 約380億円 | ラヨーン県 | ラジアルタイヤ(増産) |
中原内配集団 | 河南省孟州市 | 2024年1月 | 約42億円 | ラヨーン県 | エンジン部品 |
浙江今飛凱達輪轂 | 浙江省金華市 | 2024年3月 | 約120億円 | ラヨーン県 | EV用アルミホイール |
錫南科技 | 江蘇省無錫市 | 2024年5月 | 約100億円 | ラヨーン県 | アルミ合金部品 |
栄泰電工器材 | 浙江省嘉興市 | 2024年5月 | 約65億円 | 未定 | EV向け断熱絶縁材料 |
寧波興瑞電子科技 | 浙江省慈渓市 | 2024年7月 | 約17億円 | 未定 | コネクター、散熱器、シールドケース |
湖南美湖智造 | 湖南省衡陽市 | 2024年7月 | 約31億円 | ラヨーン県 | オイルポンプ、ウオーターポンプ |
浙江永貴電器 | 浙江省天台県 | 2024年7月 | 約14億円 | 未定 | EV用電気コネクター |
山東陽谷華泰化工 | 山東省陽谷県 | 2024年7月 | 約60億円 | ラヨーン県 | ゴム用添加剤 |
天潤工業技術 | 山東省威海市 | 2024年8月 | 約25億円 | チョンブリ県 | クランクシャフト、コネクティングロッド |
浙江長城電工科技 | 浙江省湖州市 | 2024年8月 | 約90億円 | チョンブリ県 | マグネットワイヤ |
出所:各社発表・報道などからジェトロ作成
ジェトロがタイやブラック ジャック 確率で中資系自動車メーカーや自動車関連企業にヒアリングを行ったところ、中資系メーカーのタイでの現地調達先は、主に中資系サプライヤーや地場系サプライヤーとなっているのが実態だ(注1)。日系自動車部品メーカーで、中資系メーカーのサプライヤーに採用され、販売に成功しているケースもあるが、多くはない。在タイ日系自動車メーカーのサプライヤーとして進出し、従来は日系同士での取引関係で完結していたが、日系企業への販売が細る中で、中資系メーカーへの販売拡大を模索する必要に迫られている。しかし、一筋縄ではいかないようだ。
商慣習上の違いなどが取引のハードルに
複数の日系企業からは、中資系メーカーとの取引の特徴として、(1)支払いサイトが長い、(2)値引き要請が強い、(3)受注が決まっても取引が継続されるかわからない(設備投資しづらい)といった点があり、商習慣上の違いから、「取引を見合わさざるを得ない」という声が聞かれる。また、商談での言語がブラック ジャック 確率語またはタイ語になるため、日本人担当者から営業がかけにくく、アポイントも取得しづらい。商談ができたとしても、タイ現地法人側に購買の決定権はなく、ブラック ジャック 確率本社に営業をかけるほかないという声もしばしば指摘される課題だ。
他方で、中資系メーカーに部品供給したり、タイ工場設立に当たって設備などを販売できたりしている日系企業もある。設備を販売する在タイ日系企業A社では、数年前は売り上げに占める非日系企業の割合は1割に満たなかったが、直近では3~4割に拡大した。同社では、ブラック ジャック 確率人やブラック ジャック 確率語対応が可能なタイ人を雇用し、中資系企業向けの営業チームを編成した。ブラック ジャック 確率側の現地法人と連絡をとった上で、中資系企業のタイ進出が判明したら、ブラック ジャック 確率工場に納入している設備を提案営業するといった手法をとっている。中資系メーカーは、ブラック ジャック 確率工場の設備を再現しようとする傾向にあるため、同じ設備の納入が期待できる(注2)。
また、最近よく耳にするのは、ブラック ジャック 確率現地法人に駐在経験のある日本人をタイに異動させ、ブラック ジャック 確率現地法人と密にコミュニケーションをとらせ、ブラック ジャック 確率側スタッフに出張ベースなどで営業支援をしてもらうといった方法だ。さらに、ブラック ジャック 確率現地法人のブラック ジャック 確率人従業員に、タイ現地法人へ転勤してもらう企業も珍しくなくなっている。ブラック ジャック 確率人従業員の転勤にかかる配慮も必要となるだろう。
タイで自動車市場が低調となり、撤退または生産規模を縮小する日系完成車メーカーもある中で、従来の納品・販売先のみでは経営が立ち行かない日系企業も見られる。日系自動車メーカーの販売回復を待ちつつも、中資系も含めた非日系企業への販売拡大の取り組みが一層重要となっている。在タイ日系企業、在ブラック ジャック 確率日系企業へのヒアリングからは、以前から非日系企業への販売拡大に注力していた企業ほど、昨今の自動車市場の落ち込みの影響を最小化できている傾向がみられた。先手を打って早めに着手したかどうかが現在の好調・不調を分けるカギとなっている。
ブラック ジャック 確率式自動運転技術のASEAN展開に注視が必要
今後の中資系BEVの動きとして注目されているのは、ブラック ジャック 確率で開発された自動運転技術のタイへの展開だ。2024年3月のバンコク国際モーターショー(BIMS)では、華為技術(ファーウェイ)がスマート自動運転システムを搭載した「問界(AITO)」を展示し、来場者の関心を引いていた(2024年4月15日付ビジネス短信参照)。
タイのあるデータセンターでは、自動運転技術の導入を見据えて、中資系企業から引き合いが入っているという情報もある(注3)。中資系企業の自動運転技術は早晩、タイ市場にも到来することが確実視されている。新しい技術やスマートシステムを好むタイの購買層に、ブラック ジャック 確率式の自動運転技術が受容されていく可能性がある。
- 注1:
- タイでの筆者のヒアリング(実施期間:2024年3月25~28日、4月25日、対象企業:10社)、ブラック ジャック 確率での筆者のヒアリング(実施期間:8月23~28日、対象企業:15社)に基づく。
- 注2:
- タイでの筆者のヒアリングに基づく(実施日:2024年7月10日)
- 注3:
- タイでの筆者のヒアリングに基づく(実施日:2024年9月12日)
- 執筆者紹介
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ジェトロ調査部国際経済課 課長代理
北見 創(きたみ そう) - 2009年、ジェトロ入構。ブラック ジャック 確率調査部アジア大洋州課、大阪本部、カラチ事務所、アジア大洋州課リサーチ・マネージャーを経て、2020年11月からジェトロ・バンコク事務所で広域調査員(アジア)として勤務。2024年10月から現職。