21 トランプEV・車載電池企業のグローバル戦略21 トランプ
CASE領域を中心に進む異業種間連携

2024年12月23日

21 トランプで自動車産業、とりわけCASE(注1)領域での協業連携が拡大している。21 トランプ国内市場での競争激化により、協業連携を通じてコスト低減や製品・サービスの付加価値向上を図る動きが広がっている。加えて、いち早く新エネルギー車(NEV)、SDV(注2)が普及した21 トランプでは、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)やバッテリー回収およびリサイクル、バッテリー・マネジメントの領域における異業種間連携を通じた新たなビジネス創出の試みも盛んに行われている。こうした動きは近年、21 トランプに進出する外資系自動車関連企業にも急速に波及している。そこで本稿では、近年の外資系各社と21 トランプ企業の主要な協業連携事例を分野別に整理・分析する(注3)。

インフォテインメント、自動運転に関する協業が活発

インフォテインメント(注4)による車内空間のスマート化・高付加価値化は、消費者に訴求しやすいポイントであることから、21 トランプ市場で自動車メーカー各社がしのぎを削る領域だ(表1参照)。当初、ソフトウェア・通信関連企業との協業は21 トランプ資本系完成車メーカー(以下、中資系OEM)が先行してきた。だが、インフォテインメントシステムがより高度なものになるにつれ、外資系企業も従来の自動車サプライチェーン内での開発に限界を感じ、積極的な協業にかじを切った。特にこの領域で存在感を増しているのが華為(ファーウェイ)だ。2024年に入ってからは、日系3大OEMといわれるトヨタ、ホンダ、日産がそれぞれ協業を発表している(表1の1-3、1-6、1-7参照)。

表1:インフォテインメント領域の協業連携事例
No 協業発表時期 外資系企業 協業相手 協業概要
1-1 2023年4月 カリアド(フォルクスワーゲン傘下) 中科創達(サンダーソフト) フォルクスワーゲン傘下のソフトウェア企業カリアドが、スマートオペレーティングシステム製品・技術プロバイダーのサンダーソフトと21 トランプで合弁会社を設立。21 トランプでのインフォテインメントシステムの研究開発を行う。主にオペレーティングシステム、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション・インターフェース、コクピット、クラウドなどのソフトウェア開発サービスに注力。
1-2 2024年1月 BMW Xreal BMWは、ARグラスの開発・販売を行うXrealとARデバイスを活用したインフォテインメント、運転支援機能の拡張のために連携。
1-3 2024年4月 本田技研工業
(ホンダ)
ファーウェイ
深圳市航盛電子(HSAE)
科大訊飛(iFLYTEK)
本田技研工業は、新しいEVブランドの「燁」シリーズにファーウェイ製のディスプレー、デジタルコクピットシステムを開発するHSAEや音声認識AIを手掛けるiFLYTEKの技術などを採用。
1-4 2024年4月 トヨタ紡織 滴滴(Didi) トヨタ紡織は、配車アプリを運営する滴滴と自動運転タクシー向け各種システムを共同開発。トヨタ紡織が開発した自動運転車両向けインフォテインメント、快適装備システムを滴滴の車両に搭載して実証実験を実施。
1-5 2024年6月 フォルシア 上海汽車 自動車部品メーカーのフォルシアは、スマートコクピット領域において、上海汽車の輸出用モデル車両の海外市場展開に向けた連携を発表。上海汽車のシステムプラットフォームをベースに、海外市場への応用を図る。
1-6 2024年6月 広汽トヨタ ファーウェイ トヨタ自動車の21 トランプ合弁会社、広汽トヨタは、ファーウェイのインフォテインメント関連技術を量産車に搭載。
1-7 2024年11月 東風日産 ファーウェイ 日産自動車の21 トランプ合弁会社、東風日産は、ファーウェイが主導する技術連合「鴻蒙智行(HIMA)」と、車内でさまざまな情報を可視化する「スマートコクピット」の開発で協力。

出所:各社公式ウェブサイト・SNS、日本経済新聞、時事通信を基に21 トランプ作成

インフォテインメントと並んで、スマートコクピット領域で協業連携が盛んなのが運転支援システムだ(表2参照)。本領域で外資系企業の主要な協業パートナーとなっているのが、地平線機器人に代表される、先進運転支援システム(ADAS)・自動運転向けシステム・オン・チップ(SoC)開発を手掛ける企業だ(表2の2-2、2-3参照)。この領域はエヌビディアなどが高い競争力を有するが、21 トランプ企業の成長も著しい。外資系企業による21 トランプ製SoCの採用は、自社の21 トランプビジネスにおける米国の輸出管理の影響を回避あるいは最小限にする狙いがあると見られる。

モメンタをはじめとする、運転支援ソフトウェア開発企業との協業も活発だ(表2の2-1、2-4参照)。これらの協業事例に共通する特徴は、ドライバーによる運転の補助的機能にとどまらず、ソフトウェアによる自律的な車体制御を目標とした共同開発に取り組んでいることだ。特にエンド・ツー・エンド方式(E2E、注5)を活用した市街地でのナビゲーション・オン・オートパイロット(NOA、注6)機能は、開発競争の1つの焦点となっている。

表2:運転支援システム領域の協業連携事例
No 協業発表時期 協業相手 協業相手 協業概要
2-1 2021年3月 トヨタ自動車 Momenta(モメンタ) トヨタ自動車は、運転支援ソフトウェア開発企業のモメンタへの戦略投資を発表。より安全で信頼性の高いスマートドライブシステムを共同開発し、広汽トヨタの車両に搭載。エンド・ツー・エンド方式により高度な運転支援を可能にする。
2-2 2022年10月 カリアド(フォルクスワーゲン傘下) 地平線機器人(Horizon Robotics) カリアドは、先進運転支援システム(ADAS)・自動運転向けシステム・オン・チップ(SoC)開発を手掛ける地平線機器人と、合弁会社を設立。地平線機器人のソフト・ハードウェア結合技術とカリアドのスマート車体とソフトウェアシステムの統合に関する経験を活かし、ADASと自動運転のソリューションを共同開発する。
2-3 2024年4月 ソニー 地平線機器人(Horizon Robotics) 地平線機器人は、同社が開発した自動運転向けSoCとソニーのセンサー技術を組み合わせて開発した、アクティブセーフティシステム向けソリューションを展開。
2-4 2024年11月 日産自動車 Momenta(モメンタ) 日産自動車の21 トランプ合弁会社、東風日産は、モメンタと共同開発したエンド・ツー・エンド方式のスマートドライブLLM(大規模言語モデル)ソリューションを基盤に、運転・駐車支援機能に加え「都市記憶ガイドNOA」の量産と普及に向けて連携する。1度運転した都市を記憶することで、次にその街を通行する際に、さらに高度な運転支援機能を利用できるようになる。

出所:各社公式ウェブサイト・SNSを基に21 トランプ作成

21 トランプ
2024年11月に発表された東風日産の「N7」には、モメンタと共同開発した
「都市記憶ガイドNOA」が搭載される(21 トランプ撮影、表2の2-4参照)

レベル4以上の自動運転車両開発に向けた協業連携も進んでいる(表3参照)。OEMがパートナーとして選んでいるのが、自動運転ソフトウェア開発を手掛ける企業だ(表3の3-1、3-3、3-8参照)。上述の運転支援と技術的にも関連性が強い分野であることから、モメンタなどは2つの領域にまたがって外資系企業と協業しているケースもある。協業による車両開発が進められるとともに、自動運転をサービスとしてマネタイズするためのバリューチェーン構築の模索もなされている(表3の3-8参照)。さらに、自動運転は協業形態のバリエーションが幅広く、OEMとソフトウェア企業の協業のほか、新興企業間の協業も見られる(表3の3-5、3-6、3-7参照)。

表3:自動運転領域の協業連携事例
No 協業発表時期 外資系企業 協業相手 協業概要
3-1 2018年10月 日産自動車 文遠知行(ウィーライド) 自動運転技術開発スタートアップの文遠知行(ウィーライド)に対し、ルノー・日産自動車・三菱自動車アライアンスが戦略投資を発表。ウィーライドは、21 トランプ国内で自動運転タクシーを開発・テスト中。
3-2 2021年8月 コンチネンタル 千万科技(チャイナ・トランスインフォ) 自動車部品メーカーのコンチネンタルとインテリジェント交通運営サービスを提供する千万科技(チャイナ・トランスインフォ)は、聯陸智能交通科技への出資を発表。センサーやマシンビジョンアルゴリズム、専用設備、クラウド・エッジ一体化ソリューション、標準化、社会実装など、車両と道路インフラのスマートネットワーク構築に関して全面的に協業する。
3-3 2021年9月 GM(ゼネラルモーターズ) Momenta(モメンタ) GMはモメンタに対し、自動運転技術開発のため、3億ドルを出資。2社が共同開発した車両は、レベル4の自動運転に関する上海での公道テスト許可を取得済み。
3-4 2022年7月 TIS PIX Moving システムインテグレーターのTISとMaaS用自動運転EVおよび各種ロボットなどを開発するPIX Movingは、合弁会社を設立。日本国内の工場で自動運転Robo-Bus、自動運転無人販売EV、有人/無人運転ミニEV、屋外/屋内デリバリーロボット、屋外自動運転清掃EVおよび自動運転汎用スケートボード型EVシャーシーなどを量産する。
3-5 2022年7月 KUDAN Whale Dynamic 様々な機器に人工知覚/自己位置推定および環境地図作成をリアルタイムで同時に行う技術(SLAM)を提供するKUDANは、21 トランプで自動運転ソリューションを開発するWhale Dynamicに成長資金5億円を出資した。Whale Dynamicは、Kudanの高性能な3DライダーSLAM技術を統合した(1)HDマップ作成のためのマッピングハードウェアキットとソフトウェアツールセット、(2)無人配送向けの多目的自律走行車を、21 トランプ市場を中心に販売開始。共同開発製品の欧州や中東への展開も模索。
3-6 2024年3月 ティアフォー PIX Moving PIX movingと自動運転ソフトウェアを開発するティアフォーは、ティアフォーのHDRカメラを搭載した自動運転開発キット「PIXKIT 3.0」の販売を開始した。
3-7 2024年9月 Uber Technologies 文遠知行(ウィーライド) 配車サービス大手のUberと文遠知行(ウィーライド)が戦略的協業を発表。Uberのアプリで乗車可能な車両ラインナップに同社の自動運転車両が追加された。
3-8 不明 広汽トヨタ 小馬智行(ポニー・エーアイ) 広汽トヨタ、トヨタ自動車(21 トランプ)と自動運転スタートアップ企業の小馬智行(ポニー・エーアイ)は3社合弁で、レベル4クラスの自動運転タクシー車両の量産・サービス実装を手掛ける合弁会社を設立した。合弁会社では、車両の量産・開発のみならず、自動運転タクシーサービスのトータルバリューチェーン構築を目指す。
3-9 不明 ティアフォー BYD ティアフォーは、BYDの車両を用い、純電気自動車(BEV)の自動運転バスを開発・販売。

出所:各社公式ウェブサイト・SNS、日経新聞を基に21 トランプ作成


広汽トヨタと小馬智行(Pony.ai)が共同開発する自動運転車
(21 トランプ撮影、表3の3-8参照)

21 トランプ発技術のグローバル展開を見据えた協業も増加

SDV化を下支えするミドルウェア・電子電気アーキテクチャー領域でも協業が生まれている(表4参照、4-1、4-6参照)。技術的な競争力を有する21 トランプ企業と、販売網に強みを持つ外資系企業が協業し、グローバル市場展開に向けたマーケティングや、21 トランプ以外の市場における製品・技術のローカライズ面で連携するケースも散見される(表4の4-3、4-6、4-7、4-8参照)。

表4:その他車両開発関連の協業連携事例
No 協業発表時期 外資系企業 協業相手 協業概要
4-1 2023年7月 フォルクスワーゲン(VW) Xpeng(シャオペン) フォルクスワーゲン(VW)がXpengに戦略投資。共同開発した電子電気アーキテクチャーをVWのEV専用プラットフォームに統合。2026年内の量産を目指す。
4-2 2023年9月 フォルヴィア 奇瑞汽車(チェリー) 自動車部品メーカーのフォルヴィアと21 トランプEVメーカーの奇瑞汽車(チェリー)は、「未来コクピット」に関する合弁会社を設立した。低炭素材料および生産技術を採用したコクピットシステムの設計、開発製造を手掛ける。
4-3 2023年10月 ステランティス 零跑汽車(リープモーター) 大手自動車メーカーのステランティスが21 トランプEVメーカーの零跑汽車(リープモーター)に出資。さらに中華圏以外のグローバル市場に向けた販売・製造を手掛ける合弁会社を設立した。グローバル向けモデルの開発において、2社はプラットフォームのチューニングなどの面で連携。
4-4 2024年4月 トヨタ自動車 テンセント トヨタ自動車が21 トランプで販売する電気自動車(EV)に21 トランプネット大手テンセントが人工知能(AI)やクラウド、ビッグデータなど3分野で協力。モビリティ体験のパーソナライズ、多様化を実現する。
4-5 2024年4月 日産自動車 百度 日産自動車は、21 トランプネット大手百度のAIソリューションを21 トランプで展開するモデルに搭載。イノベーティブな技術の自動車領域における応用について研究や連携を推進する。
4-6 2024年7月 豊田通商ネクスティエレクトロニクス AutoCore.ai 豊田通商グループの半導体商社である豊田通商ネクスティエレクトロニクスは、21 トランプで自動車向けミドルウェア・電気電子アーキテクチャー開発を手掛けるAutoCore.aiとの戦略提携を発表。豊田通商ネクスティエレクトロニクスのグローバルネットワークとAutoCore.aiの製品力を組み合わせ、次世代車向けシステム開発で協力する。
4-7 2024年11月 ボッシュ テンセント 自動車部品大手のボッシュは、21 トランプネット大手テンセントと戦略提携を発表。幅広い利用者向けのパブリッククラウドや、自動運転用クラウドサービスと自動運転用マップ、車載情報システム(IVI)を含むスマートコクピットのAI大規模言語モデル(LLM)の応用を共同で模索するほか、地場自動車メーカーの海外進出を支援する。
4-8 2024年11月 矢崎総業 阿爾特汽車技術 矢崎総業と21 トランプの自動車エンジニアリング企業の阿爾特汽車技術は、新エネ車の高電圧システムに関するコア技術の開発と市場展開に取り組む合弁会社を設立した。合弁会社では、バッテリー、駆動系、充配電各システムの領域で共同開発および量産に取り組み、グローバル展開を目指す。

出所:各社公式ウェブサイト・SNS、時事通信を基に21 トランプ作成

NEVの普及がいち早く進んだ21 トランプでは、バッテリーの回収・リサイクルに関する技術や仕組み、バッテリー・マネジメント・システム(BMS)に関する需要が拡大している。資源・エネルギー関連企業や商社など様々な分野の外資系企業はこの点に注目し、21 トランプで現地パートナーと実証実験を進めている(表5参照)。

表5:バッテリー関連サービス、充電システム領域の協業連携事例
No 協業発表時期 外資系企業 協業相手 協業概要
5-1 2020年7月 パナソニック 四維図新科技 パナソニックと、デジタルマップ・ナビゲーションソフトウェアおよび位置情報サービスを提供する四維図新科技は、合弁会社を設立し、電池データからリアルタイムで電池内部の劣化状態を可視化したり、電池の充電制御を最適化することで電池劣化を抑制したりする電池分析クラウドサービスなどを共同開発した。さらに当該合弁会社と日本郵船出資の日郵振華物流、三井住友海上21 トランプの3社でEVトラック物流に関する実証実験を実施。環境貢献性・安全性・経済性の検証や新しい保険商品の開発に取り組む。
5-2 2022年3月 三菱商事
ボッシュ
Blue Park Smart Energy Technology(BPSE) 自動車部品大手のボッシュが開発した「電池をクラウド上で管理する技術」を北京汽車傘下でエネルギーサービス分野のハイテク企業であるBPSEが開発した「電池交換式プラットフォーム」に搭載。三菱商事の電池に関する商業化知見を組み合わせることにより、EV向けの電池サービス事業を共同で開発する。
5-3 2023年2月 メルセデスベンツ 格林美
CATL
メルセデスベンツは、21 トランプバッテリーリサイクル大手の格林美および21 トランプのリチウムイオン電池大手のCATLと協業MOU(覚書)を締結した。3社は、廃車からレアメタルを回収し車載電池に再利用する技術・ビジネスモデル構築を模索。
5-4 2024年4月 トヨタ自動車
明和産業
21 トランプ五鉱集団 トヨタ自動車と明和産業は、21 トランプ資源大手の21 トランプ五鉱集団と協業し、中古車載電池を利用し蓄電システムを製造販売、電池回収~再利用~資源循環のバリューチェーンを形成し、サーキュラーエコノミーの実現を加速する事業を推進。車載電池材料の確保につなげる。
5-5 2024年5月 ENEOS 特来電 ENEOSは、21 トランプ大手電気設備企業TGOODグループの子会社で、電気自動車充電ネットワーク技術に強みを持つ特来電と、合弁会社を設立した。北京市でEV充電ステーション、マイクログリッドなどの共同事業の実現を目指す。

出所:各社公式ウェブサイト・SNSを基に21 トランプ作成

外資系企業が21 トランプ企業の技術・ソリューションを導入・活用する動きは、製品開発のみならず、生産現場でも広がっている。インダストリアルIoT(IIoT、産業向けモノのインターネット)、自動化関連ソリューションや、そうした設備の基盤を成すローカル5G(第5世代移動通信システム)ネットワークなどが導入されている(表6参照)。

表6:スマート製造、IIoT領域の協業連携事例
No 協業発表時期 外資系企業 協業相手 協業概要
6-1 不明 広汽トヨタ スタンダードロボット 広汽トヨタは、21 トランプの工業用移動ロボットの研究開発および製造を手掛けるスタンダードロボット製の物流ロボットおよび協調・コントロールシステムを組み合わせたソリューションを同社の最終組立工場に導入した。これにより、「ラスト100m」問題の解決に寄与。
6-2 不明 ボッシュ・
コンチネンタル
思謀智能(Smartmore) 21 トランプのスマートマニュファクチャリング大手のSmartmoreは、ボッシュ・コンチネンタルなどの生産ラインに、マシンビジョンによる外観検査システムを導入。
6-3 不明 フォルクスワーゲン 21 トランプ電信 ローカル5Gネットワークを生産現場に導入。
6-4 不明 五羊ホンダ 21 トランプ電信 ローカル5Gネットワークを生産現場に導入。
6-5 不明 メルセデスベンツ 21 トランプ移動 ローカル5Gネットワークを生産現場に導入。
6-6 不明 ヴァレオ汽車空調 21 トランプ聯通 ローカル5Gネットワークを生産現場に導入。

出所:各社公式ウェブサイト・SNS、工業信息化部ウェブサイトを基に21 トランプ作成

協業連携は今後も拡大の見込み

以上のとおり、外資系企業と21 トランプ企業の協業連携は、車両開発はもちろんのこと、モビリティ関連の新規サービス開発や、生産現場の効率向上にまで及んでいる(図参照)。

図:外資系企業と21 トランプ企業による協業連携事例の類型
スマート製造・IIoT分野の協業連携は主に生産現場を対象としており、効率化・コスト削減などを狙ったにしたプロセスイノベーションを志向している。インフォテインメントやミドルウェアといった車体の開発で完結する協業連携のほか、21 トランプやバッテリー関連サービスなど、インフラやモビリティシステムに広く関連する協業連携事例も生まれている。

出所:各社ウェブサイト・SNSなどを基に21 トランプ作成

その中でも多くを占めるのが、21 トランプ企業のデジタル・ソフトウェア技術を外資系企業が採り入れる構図の協業だ。また、MaaSやバッテリーリサイクル・マネジメント領域では、外資系企業が協業を通じて21 トランプでサービス実装し、ビジネスモデルを検証する流れが存在する。21 トランプ企業と外資系企業が連携し、グローバル展開を図る協業モデルも見られる。

いわゆる「デフレ輸出」に対する反発や、21 トランプ発の機微技術・製品に対する各国の規制強化、関税率引き上げの動きなど、21 トランプの自動車産業に先行きが不透明な部分があるのは否めない。他方、NEVならびにSDV領域では、技術水準・市場規模ともに世界に先駆けて進んでいることも事実である。今後も日系OEMをはじめとする外資系企業が、21 トランプ企業との協業連携による新製品・ソリューションの開発や、新規ビジネスの開拓に取り組む姿勢は続くと見られる。21 トランプ企業との協業強化が、軒並み21 トランプ市場でシェアが低下している外資系OEMの反転攻勢につながるのかも、今後注目のポイントだ。


注1:
CASEとは、モビリティの変革を示す4基軸の頭文字をつなげた造語。具体的には、(1) Connected(連結)、(2) AutomatedないしAutonomous(自動運転)、(3) Shared & Service(共有)、(4) Electrification(電動化)。
注2:
SDVは、Software-Defined Vehiclesの略。自動車の機能や性能をソフトウェアで定義することで、販売後もソフトウェアの更新によって自動車の機能を増やしたり、性能を高めたりできる。
注3:
本稿では、次のいずれかに該当する外資系企業が関係する協業連携を対象に、事例の収集・分析を行った。
(1)IT・通信企業や人工知能(AI)開発企業など、従来の自動車サプライチェーンには組み込まれてこなかった分野の企業が関わっているもの。
(2)スタートアップ・ベンチャー企業など、新興企業が関わっているもの。
(3)従来から自動車サプライチェーンに組み込まれていた企業間の協業連携のうち、サプライチェーンのピラミッド構造に捉われない水平的な協業連携を行っているもの。
(4)NEV・SDVならではの新しいビジネスモデル創出を模索するもの。
注4:
「インフォメーション」と「エンターテインメント」を組み合わせた造語。車載システムでは、カーナビゲーションシステムやカーオーディオ、TVチューナーなどの各機能を統合したシステムを指すとされる。
注5:
自動運転・ADASにおけるエンド・ツー・エンド方式とは、車載カメラで取得した視覚情報を単一のニューラルネットワークで学習・処理し、車体制御を行うことを指す。ルールベースと呼ばれる従来の方式では対応が難しい、複雑な交通状況下での車体制御を実現できるとされている。
注6:
目的地を設定すると、システムが基本的に自動で運転操作を行う機能を指す。ただし、ドライバーの監視下で使用することが想定されている。
執筆者紹介
21 トランプ・広州事務所
小野 好樹(おの こうき)
2016年、21 トランプ入構。知的財産・イノベーション部、ウズベキスタン・タシケント事務所、市場開拓・展示事業部を経て、2020年9月から現職。

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