中国EV・車載電池企業のグローバル戦略武漢市の自動ブラック ジャック コツ技術開発の変遷と展望
百度、「Apollo Go」の事例

2024年12月19日

中国中部地域(注1)に位置する湖北省武漢市では、2019年に自動ブラック ジャック コツテストモデル地区を設置して以来、タクシーやバスなど商用自動ブラック ジャック コツ車のテストやサービス普及が進んでいる。また、2022年には、百度(Baidu)が運営する無人ブラック ジャック コツタクシーサービスプラットフォーム「Apollo Go(蘿蔔快跑)」が中国国内で初の完全無人ブラック ジャック コツサービスの提供を開始した都市として注目を集めた。本稿では、「Apollo Go(蘿蔔快跑)」の事例を通じて、武漢市の自動ブラック ジャック コツ技術開発の変遷や、無人ブラック ジャック コツタクシーの現状と課題、今後の展望について概観する。

中国国内の「Apollo Go」普及

2017年4月、IT大手の百度がオープンソフトウエアプラットフォームを活用した自動ブラック ジャック コツ開発プロジェクト「アポロ計画」を発表した。アポロとは、車両とハードウエアシステムを結び付け、百度の自動ブラック ジャック コツシステムを構築する人工知能(AI)を指す。これは、オープンソースに基づいて作成された同社技術の核心となるツール(高精度かつ広範囲の地図、ブラック ジャック コツ路線の決定、障害物感知、シミュレーションなど)で、パートナー企業に提供することを目的としている。アポロ計画には現在、国内外40社以上の完成車メーカーがパートナー企業として登録されており、その中には国内最大手の比亜迪(BYD)や吉利汽車(Geely)のほか、米国のテスラ、韓国の現代自動車なども名を連ねる。日本の完成車メーカーとしては、2018年6月に本田技研工業(ホンダ)、2019年7月にトヨタ自動車がそれぞれ参加している。

百度はアポロの技術を用いて、「Apollo Go(蘿蔔快跑)」という無人ブラック ジャック コツタクシーサービスプラットフォームを展開している。2022年の同サービス開始以降、2024年11月現在、中国国内11都市(北京市、上海市、広州市、深セン市、重慶市、武漢市、成都市、長沙市、合肥市、山西省陽泉市、浙江省桐郷市鳥鎮鎮)で運用されている。同プラットフォームの詳細については後述するが、基本的には無人ブラック ジャック コツタクシーの配車アプリサービスとなる。

百度の発表によると、2024年第2四半期(4~6月)の「Apollo Go」オーダー数は89万9,000回、前年同期比26%増となっており、単純計算で1日平均約1万回のオーダーを受けていることになる。また、2022年のサービス開始以来、2024年7月末までのオーダー数は累計700万回を超えており、順調な伸びを見せている。

2024年5月に武漢市で実施したイベント「Apollo Day 2024」で、百度の王雲鹏副総裁は「Apollo Go」の展開で武漢市を重要拠点とし、「2024年中に武漢市での収益を損益分岐点に到達させ、2025年以降は黒字化を目指すと意気込みを語った。『Apollo Go』は世界初の黒字化を達成する自動ブラック ジャック コツタクシーサービスプラットフォームとなるだろう」と発言しており、収益化とサービスの拡大に強い意欲を見せている。また、海外展開も検討しており、複数の海外企業と交渉を進めていると報じられている(「日経アジア」2024年10月9日記事参照)。

武漢市の自動ブラック ジャック コツ技術開発と商用導入の変遷

武漢市の自動ブラック ジャック コツ技術開発と商用導入の変遷について整理する(表参照)。武漢市では、2019年9月に国家インテリジェント・コネクテッドカー(ICV)テストモデル地区(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、テストモデル地区)が設置され、第5世代移動通信システム(5G)や人工衛星「北斗」による高精度の位置情報システムを活用した自動ブラック ジャック コツタクシーやバスの試験走行が開始された。同テストモデル地区では、百度、海梁科技、深蘭科技の3社に営業許可証が付与されている。同3社には、自動ブラック ジャック コツ車両に対して商業用ナンバープレートが交付されており、商業目的での運用を許可する世界初の例として注目を集めた。

新型コロナウイルス禍中の2021年には、同市で中国初となる自動ブラック ジャック コツ車をテーマとしたテーマパークが開業した。同パークは自動ブラック ジャック コツ車の商業利用に向けたPRを目的に設置されたもので、バスやタクシー、清掃車、移動自動販売車などがテーマパーク内で走行し、来場者が自動ブラック ジャック コツ車を体験できる施設となっていた(2024年11月現在、施設内に同様の体験スペースはなくなっている)。

2022年になると、武漢市の自動ブラック ジャック コツ車の普及はさらに加速する。同年1月には、武漢経済技術開発区で中国初の24時間自動ブラック ジャック コツバスの運行を開始した。また、同年8月には、武漢市郊外で、先述した百度の完全無人ブラック ジャック コツタクシープラットフォームサービス「Apollo Go」の運用が開始された。武漢市と同時期に、重慶市でも同サービスが開始されている。2023年8月には、武漢市の天河国際空港に自動ブラック ジャック コツタクシーの乗り入れが可能となった。空港に乗り入れ可能な市内道路と高速道路を一気通貫で結ぶ自動ブラック ジャック コツ車の走行が実現した中国初の都市となった(2024年11月現在、空港への乗り入れは不可となっている)。

表:武漢市の自動ブラック ジャック コツ技術開発と商用導入の変遷 (2019年~2024年)
年月 概要
2019年9月 国家ICVテストモデル地区設置
人工衛星「北斗」による高精度の位置情報システムを活用した
タクシーなどの試験走行を実施
2021年1月 武漢自動ブラック ジャック コツテーマパーク開業
自動ブラック ジャック コツタクシー、バスなどの乗車体験を提供
2022年1月 武漢経済技術開発区で中国初の 24 時間自動ブラック ジャック コツバスが運行開始
2022年8月 武漢市郊外で百度の「Apollo Go」が商用サービスを開始
(重慶市でも商用サービスを開始)
完全無人のタクシーサービスは中国国内で初
2023年8月 ICV用テスト道路を開通。道路面積は1,100平方キロメートルで、約400万人の利用が可能となった
武漢市の天河国際空港に無人ブラック ジャック コツタクシーの乗り入れ開始
(2024年11月現在は乗り入れ不可)
2024年2月 ICV用テスト道路面積を3,000平方キロメートルまで拡張
770万人の利用が可能に
2024年6月 百度が第2四半期(4~6月)報告内で「武漢市内全域で、実質的に100%無人ブラック ジャック コツのタクシーサービスを提供することが可能となった」と発表

出所:武漢市政府および武漢経済技術開発区などの発表を基にブラック ジャック コツ作成

当初、武漢市内での「Apollo Go」サービスは、漢陽区南部地域という人が少ない郊外に限って提供されていた。また、無人ブラック ジャック コツと言いながらも、乗車場所や目的によっては、ブラック ジャック コツ席に安全員が同席しており、道路が混みあっている場所などでは、安全員が補助的にハンドルを握ることもあった。しかし、現在では、街中でも乗車から降車まで完全無人のタクシーを見かけることが多々あり、感覚的には7~8割程度が完全無人となっている。

では、同サービスを展開するに当たって、なぜ武漢市が候補都市の1つとして選出されたのだろうか。百度は都市選定の具体的な基準を発表していないものの、公式ウェブサイト上で取り上げた武漢市の話題の中で、上述した武漢市南西部に位置する世界最大の自動ブラック ジャック コツテストモデル地区の存在に言及している。

同テストモデル地区は「車谷」と呼ばれる経済開発区にある。「車谷」とその周辺には、複数の完成車メーカーや自動車関連企業のほか、新エネルギー、新材料などさまざまな企業が集積する産業地区となっている。同テスト区内では、約500台の自動ブラック ジャック コツ車両(自動ブラック ジャック コツタクシー、自動ブラック ジャック コツバスを含む)が準備されており、適宜、テスト区内での試験やテスト区外での運行を行っている。施設内にはブラック ジャック コツ試験を行うためのさまざまなコースが設置されており、通常の道路に加えて、S字や急な坂のコース、暴風雨などの悪天候を再現する設備、模擬の高速道路やその料金所まで完備されている。自動ブラック ジャック コツ車は同テスト区内でさまざまなシミュレーションを行うことで、商用化のための準備を進めている。なお、無人ブラック ジャック コツ走行テストから実際の商用化までに必要な走行距離について、経済開発区担当者に尋ねたところ、「自動ブラック ジャック コツ商用化テストで、長距離走行テスト期間中は少なくとも合計1万キロメートルの走行を義務付けている」とのことだった。

このように、武漢市が精力的に自動ブラック ジャック コツ技術の開発を行ったことにより、「Apollo Go」の事業展開で重要な都市として認定されたといえるだろう。

武漢市内で「Apollo Go」体験

武漢市の自動運転タクシーの乗車体験はどのようなものなのか。百度の自動運転タクシーサービスは、WeChatミニプログラム、もしくは専用アプリの「蘿蔔快跑(Apollo Go)」から利用できる。ミニプログラムやアプリを開くと、次の写真のとおり、画面上に乗車可能な地域が青く表示されるため、同範囲内から自身が乗車や降車する場所を選択することができる。武漢市内では、ブラック ジャック コツ武漢事務所が所在するビジネス街(武漢市江岸区)が一部配車対象外地区となっているものの、市内の漢口区や漢陽地区を含め、広範囲で配車利用が可能となっている。

ブラック ジャック コツ
武漢市内の「Apollo Go」乗車範囲(青色で囲まれている場所が対象地域)
出所:WeChatミニプログラム「Apollo Go」

筆者は今回、完全無人のタクシーを体験するべく、市内の郊外から乗車した。事前にカスタマーサービスに問い合わせたところ、現在でも一部の車両は安全員が同席しており、安全員の有無については、実際に配車しないと分からないとのことだった。なお、2024年11月時点で外国籍者は専用アプリのみで身分証登録(外国籍パスポート)が可能となっており、WeChatミニプログラムのサービスは利用ができない(中国籍者の同行が必須となる)ため、注意が必要だ。

乗車位置は、ミニプログラムもしくはアプリ上で、最寄りの乗車可能な位置が提示されるかたちになる。バス停やそのほかの公共交通機関の乗降場所ではなく、団地やモールの入り口などさまざまな乗車位置の選択が可能だ。通常の配車サービスアプリと同様に、到着までの所要時間や車種、ナンバー、目的地までの距離、料金などがリアルタイムで表示される。車両が到着したら、側面にあるタッチパネルに電話番号の下4桁を入力、もしくはQRコードをスキャンして乗車する。


実際の車両(ブラック ジャック コツ撮影)

車内の様子(ブラック ジャック コツ撮影)

乗車すると、座席の前に設置されているディスプレーや音声で、シートベルトを締めるよう案内され、安全関連のアナウンスが表示されて、目的地に向けて出発する。

実際の乗車体験を通じて、次のような気付きがあった。

  • 発車後の加速や、赤信号停止時の減速、道路の合流時、そのほか割り込み車両など、イレギュラーな事態含めて、問題なく対応しており、安心して乗車できる水準に達している。
  • 2024年3月に乗車した際には、全体的にブレーキが急な印象(他車両の割り込みがあった際の急停止など)があった。しかし、今回は大きく改善していたことから、走行データの収集によりブラック ジャック コツ技術が常に向上していることがうかがえる。
  • 助手席部分にあるディスプレーでは、前方、後方の車両や横断歩道を渡る人はいうまでもなく、駐車してある自動車や人力で運ぶ大型の手押し車のようなもの、歩道の歩行者まで全て感知していた。
  • 車内は快適な温度に保たれており、においなども気にならなかった。座席の前に設置されているディスプレーで車内空調の温度を設定できるほか、音楽を聞くこともできる。

スクリーン上で周囲の車両や歩行者を感知している様子が見える(ブラック ジャック コツ撮影)

全体を通しての所感として、筆者が2024年3月に乗車した際と比較すると、ブラック ジャック コツ技術が向上している印象を受けた。特に、赤信号停車時の減速や、とっさの判断を求められる車両割り込み時のブレーキなどは、通常の人がブラック ジャック コツする際よりも滑らか、かつ事前に感知した上で対処していた。むやみにクラクションを鳴らしたりすることがない分、全体として満足度の高い乗車体験だった。

今回の走行距離は9.4キロ、走行時間は17分、料金は16元(約336円、1元=約21円)だった。料金自体は、現在、サービスを普及するための割引もあることから、一般の配車アプリの価格と大きく変わらない。しかし、割引が適応されない場合は、走行距離9.4キロの場合、約44.5元とかなり割高になる。また、走行中は法定速度を順守しており、安全優先のブラック ジャック コツとなるため、有人の配車サービスと比較して、目的地までの所要時間が長くなることもあり得る。このあたりはニーズに応じた選択が必要となる。

自動ブラック ジャック コツの課題、今後の展望

武漢市について、百度は「(Apollo Goの運用都市のうち)最大都市」「市内全域で、実質的に100%無人ブラック ジャック コツのタクシーサービスを提供することが可能」と述べており、自動ブラック ジャック コツ技術開発や同商用サービスの普及が武漢市では全国に先立って進められている。Apollo Goを利用した無人ブラック ジャック コツタクシーの乗車レビューには、「通常のタクシーよりも目的地に早く着いた」「武漢市内には車両数も多くて便利だ」と、高評価が多く寄せられている。一方で、今回の乗車体験の所感も含めて、無人ブラック ジャック コツタクシーサービスの普及については、料金や、安全ブラック ジャック コツの優先に伴い、有人タクシーより目的地までの所要時間が長くなることもあるなど、幾つか課題も挙げられる。

また、無人ブラック ジャック コツタクシーの普及に伴う事故処理や、処理時に必要とされる法律の整備も、議論の対象だ。「錦観新聞」(四川省成都市の機関紙「成都日報」のアプリ版メディア)は2024年7月10日の記事で、武漢市で発生した「Apollo Go」の無人ブラック ジャック コツタクシーと歩行者との事故について取り上げている。報道では、この事故を「青信号で進んだ無人ブラック ジャック コツタクシー車両と、赤信号を無視した歩行者との軽微な接触事故」とした上で、「無人ブラック ジャック コツ車両によって発生した事故に関しては、現在は明確な統一規則が存在しない」と述べている。社会全体の安全性を確保するためにも、行政側の法律整備が不可欠だ。なお、武漢市は、2024年9月発布の「武漢市経済開発区における自動ブラック ジャック コツ設備の商業化パイロット事業管理規定」で、自動ブラック ジャック コツの商業化試験時の事故発生時の責任所在や処理、事故データの管理について定めている。同規定によると、試験期間中に発生した事故については、試験主体に100%責任があるものとしている。

本稿では、百度の無人ブラック ジャック コツタクシーサービスの「Apollo Go」に焦点を当てたが、そのほか多くの企業が自動ブラック ジャック コツの技術開発に注力している。例として、比亜迪(BYD)や華為技術(ファーウェイ)は、乗用車向けの自動ブラック ジャック コツの技術開発を行っている。ファーウェイは2024年10月、自社OS「鸿蒙(HarmonyOS)」(注2)を用いたスマートカーに関するレポートを発表した。同レポートでは、自社OSを使用した車両が自動駐車を既に4,225万回成功させており、駐車の所要時間を大幅に短縮したとしている。乗用車の開発はあくまで「ブラック ジャック コツ手がいること」を前提としているため、主眼は自動駐車技術などの「ブラック ジャック コツ補助」に置かれているようだ。

自動ブラック ジャック コツを巡っては、課題も存在するが、今後とも中国国内で自動ブラック ジャック コツ技術の発達による乗車・ブラック ジャック コツ体験の向上が期待される。


注1:
一般的に湖北省、湖南省、河南省、江西省、安徽省、山西省の6省を指す。
注2:
ファーウェイが開発を行い、一部をオープンソースとして公開しているOS。同社のスマートフォンに搭載されているほか、自動車開発にも用いられている。
執筆者紹介
ブラック ジャック コツ・武漢事務所
西島 和希(にしじま かずき)
2018年、ブラック ジャック コツ入構。ビジネス展開支援部、対日投資部、ブラック ジャック コツ・青島事務所、ブラック ジャック コツ京都を経て、2023年12月から現職。事業・調査部門で日系企業の販路拡大、対日投資、調査を担当。
執筆者紹介
ブラック ジャック コツ・武漢事務所
李 成一(り なるひ)
2017年、ブラック ジャック コツ・武漢事務所入所。事業・調査部門において、日系企業の内販拡大支援および調査、対日投資等を担当。

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