電力安定と災害リスク低減で注目、ブラック ジャック ランキング投資進むマレーシア

2024年12月20日

世界的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、クラウドコンピューティング(クラウド)が重要な役割を果たしている。クラウド需要の増加により、ブラック ジャック ランキング市場も成長を続け、調査会社スタティスタによると、同市場規模は2024年に4,161億ドル、2029年には6,240億ドルに達すると予測される。また、生成AI(人工知能)の普及により、データ処理能力の需要も拡大している。こうした中、マレーシアでは、ブラック ジャック ランキングへの投資が増加しており、災害リスクの低さや安定した電力供給などが注目されている。同国の特徴と投資状況について検討する。

デジタル投資が急増

東南アジア各国では、増加するデータ量に対応するために、ブラック ジャック ランキングの需要が高まる中、マレーシアでのデジタル投資が急増している。投資貿易産業省(MITI)によると、ブラック ジャック ランキングを含むデジタル投資は、2023年に605億リンギ(約2兆570億円、1リンギ=約34円)と、2021年比で17.8倍に拡大した。同国はブラック ジャック ランキング分野の収益について、2022年の20億9,000万リンギから、2025年までに36億リンギにする目標を立てており、この目標に向けて順調に進んでいると現地メディアで報じられている。

マレーシアでのブラック ジャック ランキングの投資案件(表参照)をみると、2023年1月から2024年6月に設置されたものは14件に上る。企業の国籍別では、米国が6件と最も多く、中国が4件と続く。投資額では、米国のアマゾン・ウェブ・サービスの56億6,200万ドルが最も大きく、次いで地場のバンテージ・ブラック ジャック ランキングズが30億ドル、中国のGDSホールディングスが14億9,500万ドルで、いずれも10億ドル以上の大規模な投資計画を発表した。投資先の地域では、スランゴール州のサイバージャヤやジョホール州が多い。

表:直近のマレーシアへのブラック ジャック ランキング投資案件
時期 企業名 国籍 投資額 概要
2023年3月2日 アマゾン・ウェブ・サービス(AWS) 米国 5,662 2037年までに、クラウドコンピューティングのインフラ整備に255億リンギを投資する計画を発表。同社のマレーシアへの投資としては最大規模。
2023年5月16日 バンテージ・ブラック ジャック ランキングズ 米国 3,000 セランゴール州サイバージャヤに2カ所目のブラック ジャック ランキング(KUL2)を開設すると発表。2025年第4四半期(10~12月)の稼働を見込む。
2024年3月4日 GDSホールディングス 中国 1,495 ジョホール州ジョホールバルにある工業団地ヌサジャヤ・テックパークとケンパス・テックパークに2つのブラック ジャック ランキングを開設。
2024年6月11日 マイクロソフト 米国 538 ジョホール州クライにあるエコビジネスパークVI内で新しい土地を取得。ブラック ジャック ランキング建設を計画中。
2024年5月24日 アリババ 中国 538 新しいクラウドと人工知能(AI)インフラストラクチャーを構築するために、今後3年間でマレーシア、フィリピン、タイ、韓国などの主要市場に追加のブラック ジャック ランキングを設立する計画を発表
2024年5月30日 グーグル 米国 522 クラウドハブとなるブラック ジャック ランキングを開発する計画。クラウドハブは、セランゴール州のビジネスパークに開発予定。グーグルの12番目のブラック ジャック ランキングとなる。
2023年5月22日 プリンストン・デジタル・グループ シンガポール 435 ジョホール州クライに20億リンギを投じ、150メガワット(MW)規模の大型ブラック ジャック ランキング「JH1」を建設。東南アジア最大のブラック ジャック ランキングの1つになる見通し。
2023年11月3日 STテレメディア・グローバル・ブラック ジャック ランキング・センターズ(STT・GDC) シンガポール 397 ブラック ジャック ランキング開発に向け、マレーシアの同業ベイシス・ベイと合弁会社を設立。1棟目「サイバージャヤDC2」は2024年、2棟目「STTクアラルンプール1」は2025年に稼働予定。同日、ジョホール州イスカンダルプテリでのブラック ジャック ランキングキャンパス開発計画も発表。
2023年9月11日 エッジコネックス 米国 397 セランゴール州サイバージャヤに、電力容量200MW、9棟から成るブラック ジャック ランキングキャンパスを開発。
2023年6月22日 ブリッジ・ブラック ジャック ランキングズ 中国 397 クアラルンプール市のMRANTIパーク内既存キャンパスを拡張。第1フェーズは2025年第3四半期(7~9月)までに、16MWの電力で稼働予定。第2フェーズは2027年第4四半期に開始見込み。
2023年6月12日 エクイニクス 米国 397 セランゴール州サイバージャヤにブラック ジャック ランキング「KL1」を建設。ジョホール州イスカンダルプテリと合わせて、マレーシア国内2拠点体制を敷く。
2023年1月19日 エアトランク オーストラリア 397 ジョホール州ジョホールバルにブラック ジャック ランキング「JHB1」を開設。同社がマレーシアにブラック ジャック ランキングを開設するのは初めて。電力容量は150MWで、完工は2024年の見通し。
2024年6月7日 バイトダンス 中国 318 マレーシアにAIハブを設立する計画。この取引の一環として、ジョホール州のブラック ジャック ランキング施設も拡張する予定。
2023年5月4日 ネクストディーシー オーストラリア 164 クアラルンプールの「KL1」は、4万2,000 平方メートルの敷地に建設され、1万8,250 平方メートルのITスペースと65MWの容量を提供する。フェーズ 1では 7.5MW を提供する予定。2026年上半期に稼働を見込む。

注:投資額は推計値も含む。
出所:fDi Markets(Financial Times)、各社プレスリリース、報道などから作成

マレーシアでは、2024年9月時点で約73拠点のブラック ジャック ランキングが稼働し、その多くはスランゴール州とジョホール州に集中している。特にスランゴール州のサイバージャヤには、国内の半数近くのブラック ジャック ランキングがある(図参照)。1997年からサイバービューによって開発された新興都市サイバージャヤは、同国の主要なグローバルテクノロジーハブとして、急速に成長している。先進的なインフラ整備と戦略的な計画により、多くのハイテク関連企業の投資が集まり、多くのブラック ジャック ランキングも設置されている。大手企業では、日本のNTTコミュニケーションズ、米国のエクイニクス、シンガポールのブリッジブラック ジャック ランキングズが進出している。

図:マレーシア内のブラック ジャック ランキングの所在地について

図:PDF版を見るPDFファイル(310KB)

マレーシア内のブラック ジャック ランキング分布を示す地図。青い円にはブラック ジャック ランキング数が記されており、主要な都市や地域ごとに分布が表示されている。例えば、次のようなブラック ジャック ランキング数が確認できる。クアラルンプール周辺は、33、18、4。サイバージャヤは、 12。ジョホールバルは、 1。ラブアンは、 1。バヤンバル、シャー・アラム、その他地域は、それぞれ少数。

注1:この資料の所在地ブラック ジャック ランキングは公開情報を基にしている。完全性や正確性の保証はないため、参考資料としての利用を。公式の情報で確認を推奨。
注2:資料のブラック ジャック ランキングの数は、建設中のブラック ジャック ランキングも含む。
出所:2024年9月時点のData Center Map外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを基にジェトロ作成

ブラック ジャック ランキング設置に適した条件そろう

マレーシアはブラック ジャック ランキング設置に適した条件がそろっているのか。クラウドサービスプロバイダー(CSP)世界トップシェアをもつ米国のアマゾン・ウェブ・サービスが挙げる条件のうち、(1)自然災害の少なさ、(2)地政学リスクの低さ、(3)安定した電力供給について、マレーシアの状況を考察する。

(1)
自然災害:マレーシア周辺には活断層がないため、地震や津波のリスクは低い。米国地質調査所 (USGS)のブラック ジャック ランキングによると、マレーシア国内で2018年1月1日から2024年9月26日まで、マグニチュード4.5以上の地震発生回数はわずか4回だった。同様の条件で日本をみると、地震発生回数は2,497回だった。マレーシアは、日本に比べて大幅に地震のリスクが少ないといえる。天候も、マレーシアは比較的安定している。台風委員会(TC)のレポートによると、2021年から2023年の3年間で、台風(注1)の影響を受けた回数は、マレーシアが18回、日本が31回で、マレーシアは日本の半分程度だ。
(2)
地政学リスク:マレーシアでは、2022年11月に就任したアンワル・イブラヒム首相が政権を維持しており、国家間紛争、テロやクーデターの発生するリスクは少なく、比較的安定している。同国は「全方位外交」を基軸としており、ASEANの経済イニシアチブやOECD経済協力機構との経済協力と政策対話を通じて、国内の政策改革を進めている。さらに、世界市場で地位の強化を図っている。
(3)
電力供給:投資貿易産業省(MITI)によると、2024年時点でマレーシアは、国内の電力供給のために合計2万6,890メガワット(MW)の設備容量を有しており、2021年時点の需要ピーク時でも、国内電力供給の予備率は42%だった。平均的なブラック ジャック ランキングの電力消費量は約100メガワット時(MWh)、小規模なブラック ジャック ランキングの電力消費量は約1MWh~5MWhといわれている。仮に電力消費量が100MWhのブラック ジャック ランキングが100拠点稼働したとしても、総消費量は約1万MWにとどまる。この数値を踏まえると、電力が枯渇するリスクは比較的低いといえる。さらに、マレーシア経済省が2023年8月に発表した国家エネルギー移行ロードマップ(NETR、)には、再生可能エネルギーの拡大、送電網の強化、蓄電システム(BESS)の導入など、電力供給量を向上させる施策が盛り込まれている。

安定したネットワークやシンガポールとの近接性が強み

ブラック ジャック ランキング設置に適した条件がそろう国・地域はほかにもある。しかし、マレーシアにはそれ以外にも強みがある。1つ目は、ネットワークが安定していることだ。マレーシア投資開発庁(MIDA)によると、同国には29本の海底ケーブルが敷設されているため、遅延なく安定したネットワークを利用することができる。海底ケーブルを通じて、世界各地からマレーシア国内のブラック ジャック ランキングに接続し、クラウドサービスの利用やデータへのアクセスが可能だ。

2つ目は、シンガポールに隣接していることだ。シンガポールは2019年から2022年まで、ブラック ジャック ランキング新設の一時停止措置を行っていた。現在も電力消費の効率化に注力し、新設するブラック ジャック ランキングには電力容量の最適化を求めている。また、再生可能エネルギーの利用を条件とするなど、環境への配慮を促している。マレーシアには、同様の規制や条件などがない。さらに、マレーシアに立地したブラック ジャック ランキングがシンガポールのブラック ジャック ランキングに近いことは、ブラック ジャック ランキング間相互接続(注2)の通信遅延のリスクを減らすメリットがある。

3つ目はコストだ。マレーシアの電気料金はアジアの中でも比較的低い。例えば、タイとシンガポールの平均電気料金は、マレーシア通貨リンギで表すと、それぞれタイが1kWh当たり51セン(1セン=0.01リンギ)、シンガポールが1kWh当たり1.11リンギとなっている。それに比べて、マレーシアでは、高電圧産業用電力使用量のピーク時とオフピーク時の料金は、それぞれ1kWh当たり33.7センと20.2センであり、半額近いコストで電力を使用できる(ザ・エッジ2024年7月10日)。また、マレーシア政府は2022年の税制改正で「デジタル経済圏促進スキーム」(注3)を導入した。これにより、ブラック ジャック ランキング事業者はブラック ジャック ランキング設置の支出に対して 100%の投資税控除 (ITA) を受ける資格を得て、最大10年間の税制優遇を受けることができる。

効率的な電力供給と再エネ導入が課題

ブラック ジャック ランキングは大量の電力を消費する。サーバー、データ処理によって高温になるサーバーを冷やす冷却システム、ネットワーク機器、その他のインフラストラクチャーを稼働させる際に電力が必要となるためだ。マレーシアの民間調査会社ケナンガ・リサーチのアナリストによると、同国におけるブラック ジャック ランキングの総電力需要は2035年までに7,000MWに達すると予想している。今後は再エネの活用と大規模な電力供給に向けた電力効率化が課題といえる。

マレーシア政府は、マレーシア再生可能エネルギーロードマップ(MyRER)に基づき、2025年までに国内のエネルギー需要の31%、2035年までに40%を再生可能エネルギーで賄う目標を設定している。政府はさらに、2050年までに温室効果ガス(GHG)のネットゼロを達成するという気候目標に沿って、それまでに再エネの容量を70%に増やすことを約束している。しかし、国営電力会社テナガ・ナショナルによると、2023年時点の電力供給量のうち、再エネの比率は8%にとどまる。

電力効率化では、世界的に最新の冷却技術を用いてPUE(注4)を改善するブラック ジャック ランキングが増えている。他方、通信マルチメディア委員会(MCMC)のブラック ジャック ランキングに関するエネルギー使用のガイドラインによると〔通信マルチメディア委員会(MCMC)資料参照PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(384KB)〕、マレーシアでは、PUE要件は1.9で、1.6以下のPUEを達成できるブラック ジャック ランキングは優秀と分類される。マレーシア政府や関係機関は、PUEの新しいガイドラインを策定しており、電力と水資源の効率的な利用を進めている。効率的な電力供給と持続可能なエネルギー源の導入が今後、マレーシアでのブラック ジャック ランキング投資の活性化に不可欠だろう。


注1:
最大風速が17.2 m/s(34 kt、63 km/h)以上の熱帯低気圧。
注2:
ブラック ジャック ランキング間相互接続とは、複数のブラック ジャック ランキングを結んで通信したり、データやストレージを共有したりできるネットワークソリューション。短・中・長距離間のブラック ジャック ランキングを相互接続することで、互いのバックアップや冗長化を可能にする。
注3:
現時点で申請期間が2025年12月31日までとなっている(カジノ ゲーム 無料のサービス)。
注4:
PUE(Power Usage Effectiveness):ブラック ジャック ランキングの電力使用効率を示す指標。ブラック ジャック ランキング全体の消費電力を、サーバーなどの情報通信技術(ICT)機器の消費電力で割った数値。1.0に近いほど効率的とされる。
ブラック ジャック ランキング
執筆者紹介
ジェトロ調査部アジア大洋州課
近藤 皐平(こんどう こうへい)
2018年、TOKAIコミュニケーションズ入社。
2024年からジェトロに出向。