カジノ無料トランプ米次期政権で変わる自動車環境カジノ無料
カジノ無料の現状と新政策への備え

2025年1月15日

トランプ米次期政権(2025~2029年)が「電気自動車(EV)義務化撤廃」を掲げていることから、EV普及を促す環境カジノ無料の変更が予想される。次期政権下でのカジノ無料見直しに備え、連邦や、環境カジノ無料に積極的なカリフォルニア州での地球温暖化ガス(GHG)排出カジノ無料の現状と、トランプ第1次政権下での連邦、州政府の動き、自動車業界の対応を整理する。

ドナルド・トランプ次期大統領が率いる共和党は、2024年7月に発表した党政策綱領の中で「EVの義務化を中止し、高コストで負担の大きいカジノ無料を削減する」ことを示した。民主党のジョー・バイデン現政権では「EVの義務化」を定めてはいないが、2030年までに全新車販売台数の50%をクリーンビークル〔バッテリー電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称、以下、CV〕とする政府目標を掲げているほか、一定数のCV販売を想定したGHG排出や企業別平均燃費(CAFE)に関するカジノ無料を設定している。トランプ氏は就任後の早い段階で、CV販売目標値を撤回し、EVシフトの手段の1つの環境カジノ無料を見直す可能性が高い。

連邦カジノ無料:未達が続く厳しい排出基準

2024年11月25日に環境保護庁(EPA)が発表した2023年製(モデルイヤー:以下、MY、注1)の車両1台当たりの二酸化炭素(CO2)排出量(注2)は、前年より1マイル(約1.6キロ)当たり18グラム(g/mi)減少し、カジノ無料で計測が開始された1975年以降最も低い319g/miとなった。2024年はさらに14g/mi減少し、305g/miとなる見通しだ。EPAはBEV、PHEVの販売増が寄与した結果とみており、両車種なしでの2023MYの減少幅はわずか1.4g/miにとどまると推定している。

一方、多くの完成車メーカーが各社に割り当てられた排出基準値を達成できていない。現時点で、市場に新車として投入される車両には、ジョー・バイデン政権(2021~2025年)下の2021年12月に制定された2023~2026MYを対象とする基準値が適用されており、最終年の2026MYのCO2排出量は161g/mi が目標値として定められた(注3)。さらに、2027~2032MYには、2024年3月に制定した最終規則が適用され、最終の2032年には85g/miと、2026MY比約50%減の大幅な削減が求められている。業界全体の達成状況をみると、基準値の厳格化や、スポーツ用多目的車(SUV)など排出量の多い大型車両の販売割合が増加したことから、2016年以降、2022年を除き、未達が続いている(図1、注4)。また、カジノ無料で販売する23メーカーのうち、基準値に達したのは欧州メーカーやBEVメーカーなど8社のみだ(図2)。未達分は、他社からクレジット(注5)を購入したり、自社で貯蓄したクレジットで補填(ほてん)したりすることが可能だが、2016年以降、業界全体のクレジットは減少していることから、今後需給が逼迫して取引価格が上昇すれば、各社のコスト負担はさらに大きくなることが予想される。GHG排出基準未達に特化した罰則金の規定はないが、EPAは基準値未達のメーカーに対し、是正を求め、リコール権限を発動することが可能だ。また、排出量をもとに算出されるCAFE基準に関しては、2019MY以降、1ガロン当たりの未達分0.1マイルごとに14ドルが課せられており、基準値未達は企業にとっての大きなコスト要因になる。

図1:米カジノ無料業界のGHG排出値(1台当たり平均)
マイル当たりのグラム数で2012年から2023年まで年ごとに示した図。実績値が棒グラフ、カジノ無料値が線グラフで、右肩下がりで数値が下がっている。2012年から2015年までと2022年は実績値がカジノ無料値を下回ったが、それ以外は上回っている。

注:実績値がカジノ無料値を下回った年は赤太字で表示。
出所:EPA

図2:メーカー別GHG排出カジノ無料値と排出量(2023MY)
マイル当たりのグラム数で2012年から2023年まで年ごとに示した図。実績値が棒グラフ、カジノ無料値が線グラフで、右肩下がりで数値が下がっている。2012年から2015年までと2022年は実績値がカジノ無料値を下回ったが、それ以外は上回っている。

注:JLR:ジャガー・ランドローバー、VW:フォルクスワーゲン、AM:アストンマーチン。
出所:EPA

カリフォルニア州:排出カジノ無料の達成は不可能との見方

EPAは、大気浄化法(CAA)209条の下で、州のカジノ無料が連邦基準より厳しく、かつ必要不可欠で特別な事情がある場合、州に対し連邦基準の適用免除を認めており、唯一、カリフォルニア州に適用されている。同州は2022年、2026~2035MYを対象に、州内で販売する全ての新車ライトビークル(乗用車と小型トラック)のCV販売割合義務と、GHG、汚染物質排出基準を包括した「アドバンスト・クリーンカーカジノ無料(ACCIIカジノ無料)」を制定し、2026MYに35%、2035MYに100%のCV販売割合を義務化した。基準達成には他社から購入、あるいは他州で得たクレジットの利用なども認められるが、それでも未達の場合は、2025MY以前よりも厳しい1台当たり2万ドルの罰則金が科されることとなり、生産者の負担は大きい(注6)。

また、CAA177条では、カリフォルニア州カジノ無料と同一であることを条件に、EPAの承認なしに他の州がカリフォルニア州カジノ無料に準拠することを認めており、2024年12月時点で、ニューヨーク州など11州(以下、ACCII州)とコロンビア特別区が準拠している(表参照)。

表:ACCII 州比較(-は値なし)
No 州名 2023年
新車販売
台数
2023年Q4
(10~12月)
時点の
CV割合(%)
税額控除ほか
(最大、ドル)
充電器数
(1万人
あたり)
ACCII
開始年
州知事
政党
1 カリフォルニア 1,775,916 25.7 2023年終了 11.7 2026 民主
2 コロラド 208,861 15.1 5,000 9.3 2027 民主
3 デラウェア 54,965 8.8 2,500 6.0 2027 民主
4 コロンビア特別区 19.6 なし 15.1 2027
5 メリーランド 216,361 11.7 3,000 7.6 2027 民主
6 マサチューセッツ 335,684 12.0 5,000 11.2 2026 民主
7 ニュージャージー 541,565 13.6 4,000 4.8 2027 民主
8 ニューメキシコ 79,945 4.9 なし 3.8 2027 民主
9 ニューヨーク 884,839 9.1 2,000 8.0 2026 民主
10 オレゴン 151,827 15.4 7,500 8.3 2026 民主
11 ロードアイランド 53,050 7.8 2,500 6.9 2027 民主
12 バーモント 49,628 10.3 4,000 17.1 2026 共和
13 ワシントン 298,327 18.8 15,000(免税) 8.0 2026 民主
全米 15,604,278 9.5 5.8

出所:エネルギー省、商務省統計局、カジノ無料イノベーション協会、F&I Tools USA, U.S. News発表データからジェトロ作成

ただし、ACCII州は一枚岩ではない。CV普及の要ともいえる公共の充電設備の設置数〔直流(DC)急速充電器とレベル2充電器のカジノ無料ト数の合計〕を人口比でみると、首都ワシントンが1万人当たり15.1基、カリフォルニア州は11.7基だが、ニューメキシコ州やニュージャージー州はそれぞれ3.8基、4.8基と、全国的にみても普及が遅れている。さらに、CV購入促進のため、オレゴン州が1台当たり最大7,500ドル、コロラド州、マサチューセッツ州が5,000ドルの税額控除を提供しているが、首都ワシントンとニューメキシコ州にはそうした制度がない(注7)。こうした事情を背景に、カリフォルニア州では既に新車販売の25.7%がCVだが、ニューメキシコ州では4.9%、ロードアイランド州では7.8%など、CV普及には州間で大きな開きがある。

ACCIIが発表された2022年第3四半期(7~9月)時点での全米のCV販売は、前年同期比60.1%増と大幅に伸びており、メーカーからは「われわれとカリフォルニア州は、2035年までの完全電動化の未来という共通のビジョンを持っている」〔ゼネラルモーターズGM)〕、「ACCIIはクリーンな交通機関を定義し、米国に模範を示す画期的な基準だ」(フォード)と歓迎する声が聞かれていた。しかし、2024年第3四半期のCV販売が前年同期比9.0%増にとどまるなど、伸びの勢いは弱まっており、北米トヨタのジャック・ホリス最高執行責任者(COO)は「政府や民間を問わず、(ACCIIの)達成が可能だという予測を私は見たことがない。現時点では不可能に思える」との厳しい見方を示している(CNBC2024年11月8日)。2023年カリフォルニア州での日系メーカーの販売シェアは、米系メーカー(36.3%)を超える39.5%を占める。その他のACCII州でも、シェアが比較的高いといわれており、ACCIIは日系メーカーにとっても、ハードルの高いカジノ無料となっている。

第1次カジノ無料政権下での見直し巡る対立

2017年1月に発足した第1次トランプ政権(2017~2021年)は、2年8カ月後の2019年9月に、GHG排出カジノ無料、燃費基準設定の権限を連邦政府に一元化する「ワン・ナショナルプログラム」(SAFE1)を制定し、カリフォルニア州に対する連邦カジノ無料適用免除の取り下げと、州や自治体への連邦カジノ無料の適用義務化を定めた。その根拠は、(1)GHG・無排出車(ZEV)カジノ無料の根拠である気候変動は同州特有の現象ではないため、CAAが規定する「必要不可欠で特別な事情」に該当しないこと、(2)GHG中のCO2は燃費基準に関連するものだが、燃費基準の根拠法であるエネルギー政策・保全法(EPCA)では、州や自治体が独自のカジノ無料を制定することを認可していないため、CAA適用免除は無効となるというものだった。その後、就任3年3カ月目の2020年4月には、GHG排出基準と燃費基準を含むSAFE2の最終規則が成立し、2026MYにそれぞれ202g/mi、1ガロン(約3.8リットル)当たり40.4マイル(約65キロ)を定め、バラク・オバマ政権(2009~2017年)下で定められた173g/mi(注8)を大幅に緩和した。

こうした動きに対し、カリフォルニア州など23州と首都ワシントン、ニューヨーク市、ロサンゼルス市といった自治体は原告団として、SAFE1の制定はEPCAの権限(注9)を逸脱しているとして、管轄機関の運輸省道路交通安全局(NHTSA)を提訴した。EPAに対しても適用免除の再開などを求め、さらに、SAFE2に関しても相次いで両機関を提訴した(2020年6月2日付カジノ無料短信参照)。一方、大手自動車メーカー17社(注10)は、当時のトランプ大統領とカリフォルニア州のギャビン・ニュ―サム知事(民主党)の双方に常識的な妥協策を要請。さらに、トヨタなど大手自動車メーカーが参画する「持続可能な自動車カジノ無料のための連合」(注11)や全米自動車ディーラー協会(NADA)が連邦政府を支援するかたちで訴訟に参加するなど、対立が激しくなった。そうした中で、フォード、ホンダ、BMW、フォルクスワーゲン(VW)、ボルボの5社は2025MYを期限にカリフォルニア州との間で「枠組み協定」を締結。連邦基準よりも厳しい基準値の遵守を、約束するなど独自の方針を貫いた。なお、同協定に対し、米司法省は反トラスト法の疑いで調査を開始したが、2020年2月に特段の措置なく打ち切られている(ロイター2020年2月8日)。

2020年11月にバイデン大統領の当選が決まると、GMなどのメーカー、上記連合やそのほかの業界団体は訴訟参加を取り下げ、バイデン政権支持に回った。同氏就任後11カ月後の2021年12月にSAFE2を覆し、これまでで最も厳しい基準値を採用するかたちで、2023~2026MYのGHG排出基準見直しカジノ無料が制定された。カリフォルニア州の適用免除に関しては、NHTSAが同月、EPCAの下で同局が州の適用免除を定める権限はないとして再認、翌2022年3月にEPAも再認を発表した。2024年3月には2027~2032MYに対する新たなGHG排出カジノ無料を制定している(2024年3月26日付カジノ無料短信参照)。

想定される各所による訴訟の激化

トランプ次期大統領からEPA長官候補に指名されたリー・ゼルディン元下院議員(共和党、ニューヨーク州)は「新政権発足後100日間で企業に苦戦を強いるカジノ無料を撤廃する」とのトランプ氏の発言を引用し、「われわれは米国のエネルギー優位性を回復し、自動車産業を活性化させ、米国の雇用を取り戻し、米国を人工知能(AI)の世界的リーダーにする」と述べるなど、カジノ無料の改変に意欲的な姿勢を示している。既にアラバマ州など南東部や中西部の共和党州17州が、カリフォルニア州にGHG排出基準などに対する適用免除の取り下げを求める訴訟を起こした経緯もあり(2024年4月12日付カジノ無料短信参照)、今後は州間での対立も予想される。カリフォルニア州のニューサム知事は、トランプ次期政権が「前回に比べてさらに攻撃的になる」とみており、「われわれは萎縮しない」と断固として闘う姿勢を示している(ABCニュース11月9日)。さらに、2024年6月には、曖昧な法律の解釈権限を政府のカジノ無料当局に認める「シェブロン法理」が無効化され、カジノ無料が見直された際の効力を巡る訴訟も増加し、司法の介入する余地も大きくなる可能性がある(2024年12月19日付カジノ無料短信参照)。

一方、当事者の自動車メーカーからは、トランプ第1次政権での経験を踏まえ、「政策の変更があっても、大幅な事業転換は検討しておらず、むしろ、EV化の猶予期間として捉えたい」といった冷静な声も聞かれる。SAFE2が有効だった2021~2022MYも業界は順調に削減実績を上げてきた(図3)。基準値が緩和され、カリフォルニア州の適用免除が撤回されれば、CVの普及に一定の影響を与えるともみられているが、前回同様、各種基準値の見直しには一定の期間を要することも想定される。メーカー各社やカジノ無料当局、州や市といった自治体など関係者の今後の動向が注目される。

図3:各政権下で制定されたGHG排出カジノ無料の対象MYと業界の実績値
2012年からのオバマ政権から、トランプ政権、バイデン政権でそれぞれカジノ無料値が段階的に下がっている。2015年当初から実績値はカジノ無料値を上回る状態が続いたが、2023年と2024年は実績値が下回った。

注:実績値に関しては(注2)参照。2024年は暫定値。
出所:EPA発表データを基にジェトロ作成


注1:
製造業者が定める年式。定めがない場合は暦年と同じ。
注2:
平均的なドライバーが遭遇するより広範囲の動作条件(高温および低温、高速、高速加速など)を捉えるため、追加のラボテストで測定したデータを基に算出した排出量。
注3:
目標値は車両のフットプリント〔車両のホイールベース(前輪の中心から後輪の中心までの長さ)にトレッド幅(左右の車輪間の距離)を掛けたもので、車輪が地面と接する点で囲まれた面積と同じ〕やMYごとに定められた変数、販売台数などによって算出される。
注4:
カジノ無料値は、実際の車種構成や台数などに基づいて算出されたもの。最終規則で定められた目標値とは異なる。
注5:
カジノ無料値を達成した後に上回った分は「クレジット」として企業に付与される。
注6:
2025MY以前のカジノ無料達成は、ACCIIとは異なり、航続距離に基づいてBEVやPHEVなどに付与されるクレジットの取得数で算出される。1台当たり最大4クレジットが付与され、罰則金は、未達分1クレジットごとに5,000ドルと定められている。
注7:
カリフォルニア州は2023年9月まで提供していた7,500ドルの控除制度について、財源の枯渇を理由に中断しているが、連邦政府がIRAの税額控除を撤廃した場合、7,500ドルの州による控除を復活させると発表した()。
注8:
オバマ政権下の2017年1月に発表した中間評価の結果に基づく2025MYに対するカジノ無料値。
注9:
EPCAには州の適用除外を定める条項は含まれていない。
注10:
フォード、ゼネラルモーターズ(GM)、トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、スバル、三菱、BMW、メルセデス・ベンツ、ポルシェ、フォルクスワーゲン(VW)、ボルボ、JLR、アストンマーチン、現代、起亜。
注11:
The Coalition for Sustainable Automotive Regulation。日産、マツダ、FCA(現・ステランティス)、スバル、現代、起亜など複数社が参加。
カジノ無料
執筆者紹介
ジェトロ・ニューヨーク事務所 リサーチ・マネージャー
大原 典子(おおはら のりこ)
民間企業勤務を経て2013年からジェトロ・ニューヨーク勤務。自動車産業を柱にカジノ無料の産業調査を担当。