米最高裁、カリフォルニア州の排ガス規制適用免除への異議申し立て審理を開始

(米国)

ニューヨーク発

2024年12月19日

米国最高裁判所は12月13日、米国環境保護庁(EPA)がカリフォルニア州に与えた連邦規制の適用免除を巡り、石油業界団体などが免除の取り下げなどを求めて上訴していた件に関し、一部審理を開始することに同意した。

カリフォルニア州は大気浄化法209条に基づき、自動車(注1)から排出される温室効果ガス(GHG)基準などに関して、連邦規制の適用免除が認められている。しかし、第1期トランプ政権下の2019年に成立したワン・ナショナル・プログラム(SAFE1)で適用免除は取り下げられ、その後、バイデン政権下の2022年3月に再び認められることとなった。これに対し、米国燃料石油化学製造者協会や、イリノイ州のトウモロコシ業界といった石油、農業関連組織のほか、アラバマ州を含む17州(注2)は2022年5月、気候変動はカリフォルニア州内の「特別な状況」ではないとして、EPAを相手に、同州の適用免除の取り下げを求める訴訟を起こしていた。米コロンビア特別区巡回控訴裁判所は2024年4月、原告団が被害者として訴訟当事者適格がないとの判断などから、訴えを棄却した(2024年4月12日記事参照)。これを不服とする原告団は7月、(1)訴訟当事者適格の立証と、(2)カリフォルニア州の適用免除の違法性の2点の審理を求めて最高裁に上訴し、今回、(1)についての審理のみが認められることとなった。

自動車環境規制を巡っては、トランプ次期政権下で基準値の緩和や、カリフォルニア州の適用免除の取り下げが実施される可能性が高い。同州の気候政策の専門家からは、今回裁判が行われて原告の当事者適格が認められた場合、次は法律の内容に対する実質的な異議申し立てが行われるだろうと危惧する声が聞かれる(「ニューヨーク・タイムズ」12月13日)。

(注1)カリフォルニア州では、バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、燃料電池車(FCV)と定義する。

(注2)アラバマ、アーカンソー、ジョージア、インディアナ、カンザス、ケンタッキー、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、モンタナ、ネブラスカ、オハイオ、オクラホマ、テキサス、サウスカロライナ、ユタ、ウェストバージニアの17州。

(大原典子)

(米国)

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