米カリフォルニア州知事、連邦によるEV税額控除撤廃の際は州独自の払戻金提供と発表
(米国)
ニューヨーク発
2024年11月26日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は11月25日、2025年1月に就任予定のドナルド・トランプ次期大統領がインフレ削減法(IRA)に基づくクリーンビークル(CV、注)購入の際の税額控除を廃止した場合、同州独自のリベートプログラム「クリーンビークル・リベートプログラム(CVRP)」を再開すると発表した。
ジョー・バイデン政権下の2022年に成立したIRAでは、CVの新車購入時に購入者は1台7,500ドルの税額控除を受けることができる。しかし、大統領選期間中の2024年7月に採択された共和党の政策綱領の「速やかに達成する20の約束」の中で、「電気自動車(EV)の義務化を中止し、高コストで負担の大きい規制を削減する」ことが示されており、トランプ次期政権が税額控除を含む一連のEV普及政策を見直す可能性が高いとされている。
ニューサム知事が再開すると今回発表したCVRPとは、CVなどの購入またはリースに対して、1,000~7,500ドルの払戻金を提供するプログラム。カリフォルニア州居住者の利用を前提としたもので、同州政府によると、2010年の開始以降、59万4,000台以上の車両に資金を提供し、4億5,600万ガロン(約17億2,600万リットル)以上の燃料の節約に貢献した。しかし、資金が底をついたことから、2023年9月に申請受け付けを終了していた。プログラムの再開には、州内の排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード)を資金源として利用する可能性がある。
2023年時点のカリフォルニア州でのCV登録台数は、全米の約35%を占める約170万台に達した。同州は独自にアドバンスト・クリーン・カーズII(ACCII)規制を制定し、2035年に全新車販売台数に占めるCVの割合を100%とするため、段階的な到達義務を設けている()。2024年第3四半期(7~9月)時点での実績は26.4%に達し、2026年のACCII到達義務の35%に届く勢いにある。ニューサム知事は「消費者は(EV)懐疑論者が間違っていることを証明し続けている。ゼロエミッション車は今後も存在し続けるだろう。トランプ次期政権が連邦の税額控除を廃止した場合、われわれは介入して、カリフォルニア州のクリーンな空気とグリーン関連雇用の取り組みを倍増させていく。クリーンな交通手段の未来を巻き戻すつもりはない。汚染物質を排出しない車を運転することがより手頃なものになるよう努めていく」と述べた。
(注)バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の総称。
(大原典子)
(米国)
ビジネス短信 d62c3f60973e96f0