成長するインド乗用車市場、2023ブラック ジャック 勝率は過去最多
多目的車とEV政策がカギ
2024年5月21日
人口世界一、GDP世界5位と経済成長を続けるインド。国内の自動車市場も拡大傾向にあり、2023ブラック ジャック 勝率(2023年4月~2024年3月)の自動車販売台数(二輪、三輪を含む)は前ブラック ジャック 勝率比12.5%増加した。中でも乗用車販売は多目的自動車(UV)が好調で、421万8,746台と過去最高を記録した。今後の市場シェア争奪は、UVの市場戦略がカギとなるだろう。日系自動車メーカーのマルチ・スズキ、トヨタ・キルロスカは増産計画を発表しており、さらなるシェア拡大が期待される。国民の所得向上や政府による電気自動車(EV)支援策などによって、自動車市場の成長が今後も続くことは間違いない。
ポストコロナで順調に成長する自動車業界
インド自動車工業会(SIAM)によると、2023年の自動車国内販売台数(二輪、三輪を含む)は2,385万3,463台で、前ブラック ジャック 勝率比12.5%増加した。部門別にみると、乗用車が421万8,746台で同8.4%増、商用車が96万7,878台で同0.6%増、二輪車が1,797万4,365台で同13.3%増、三輪車が69万1,749台で同41.5%増となった(表1参照)。
部門 | 生産 | 国内販売 | 輸出 | |||
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台数 | 前ブラック ジャック 勝率比 | 台数 | 前ブラック ジャック 勝率比 | 台数 | 前ブラック ジャック 勝率比 | |
乗用車 | 4,901,844 | 6.9 | 4,218,746 | 8.4 | 672,105 | 1.4 |
一般乗用車 | 1,979,911 | △ 9.4 | 1,548,943 | △ 11.4 | 429,677 | 3.8 |
多目的自動車(UV) | 2,777,051 | 22.8 | 2,520,691 | 25.8 | 234,720 | △ 5.1 |
バン | 144,882 | 3.1 | 149,112 | 7.3 | 7,708 | 378.5 |
商用車 | 1,066,429 | 3.0 | 967,878 | 0.6 | 65,816 | △ 16.3 |
小型商用車 | 673,955 | 2.7 | 594,684 | △ 1.5 | 47,591 | △ 15.9 |
中・大型商用車 | 392,474 | 3.5 | 373,194 | 4.0 | 18,225 | △ 17.4 |
二輪車 | 21,468,527 | 10.3 | 17,974,365 | 13.3 | 3,458,416 | △ 5.3 |
スクーター | 6,391,272 | 14.1 | 5,839,325 | 12.5 | 512,347 | 22.9 |
オートバイ | 14,589,393 | 8.7 | 11,653,237 | 13.9 | 2,943,341 | △ 8.9 |
モペッド | 487,862 | 11.8 | 481,803 | 9.1 | 2,728 | △ 35.1 |
三輪車 | 992,936 | 16.0 | 691,749 | 41.5 | 299,977 | △ 17.9 |
乗客輸送三輪 | 843,162 | 16.5 | 545,038 | 50.9 | 296,080 | △ 18.0 |
貨物輸送三輪 | 116,141 | 15.9 | 111,519 | 14.3 | 3,897 | △ 12.9 |
電動リキシャ | 29,830 | 5.8 | 31,290 | 17.4 | — | — |
電動カート | 3,803 | 1.0 | 3,902 | 12.1 | — | — |
合計(その他を含む) | 28,434,742 | 9.6 | 23,853,463 | 12.5 | 4,500,492 | △ 5.5 |
注1: BMW、メルセデス、ジャガー、ボルボ・オート、ダイムラー、JBMオート&スキャニアのデータは含まれない。
注2: 電動リキシャは主に乗客輸送、電動カートは主に貨物輸送に使われる。
出所:インド自動車工業会(SIAM)
ブラック ジャック 勝率別の国内販売台数の推移をみると、新型コロナウイルス禍などによる影響で、2021ブラック ジャック 勝率には1,761万7,606台まで落ち込んだものの、2022ブラック ジャック 勝率から回復傾向にある。販売台数の大部分は変わらずに二輪車で、2023ブラック ジャック 勝率は全体の75.4%を占めた。2023ブラック ジャック 勝率の販売台数は、各部門が2019ブラック ジャック 勝率の販売台数を超え、新型コロナ禍前の水準まで回復を見せた(図1参照)。特に乗用車は過去最高の420万台超で、背景には多目的自動車(UV)の好調(前ブラック ジャック 勝率比25.8%増)があると思われる。
乗用車のシェアトップはスズキ
乗用車の主要メーカー別販売台数は、上位3社が安定感を見せた。市場シェアはマルチ・スズキがトップで41.7%、韓国の現代自動車が14.6%、地場のタタ・モーターズが13.8%と続く(図2参照)。3社とも前ブラック ジャック 勝率から1桁の増加で順位を守ったかたちだ。地場のマヒンドラ&マヒンドラは前ブラック ジャック 勝率比28.0%増、トヨタ・キルロスカは同41.8%増加で販売台数を伸ばし、2022ブラック ジャック 勝率に続いて好調を維持した(表2参照)。
一方、2022ブラック ジャック 勝率は2桁成長と好調だった韓国の起亜は前ブラック ジャック 勝率比8.8%減、ホンダは同5.3%減、日産は同10.3%減と落ち込んだ。日系5社(マルチ・スズキ、トヨタ・キルロスカ、ホンダ、日産、いすゞ)の合計は212万2,802台で、市場シェアは50.3%。前ブラック ジャック 勝率の49.0%から1.3ポイント上昇した。
メーカー |
2022ブラック ジャック 勝率 (2022年4月~2023年3月) |
2023ブラック ジャック 勝率 (2023年4月~2024年3月) |
増減率 |
シェア (2023ブラック ジャック 勝率) |
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マルチ・スズキ | 1,606,870 | 1,759,881 | 9.5 | 41.7 |
現代自動車 | 567,546 | 614,717 | 8.3 | 14.6 |
タタ・モーターズ | 544,391 | 582,915 | 7.1 | 13.8 |
マヒンドラ&マヒンドラ | 359,253 | 459,877 | 28.0 | 10.9 |
トヨタ・キルロスカ | 173,245 | 245,676 | 41.8 | 5.8 |
起亜 | 269,229 | 245,634 | △ 8.8 | 5.8 |
ホンダ | 91,418 | 86,584 | △ 5.3 | 2.1 |
ルノー | 78,926 | 45,439 | △ 42.4 | 1.1 |
シュコダ・オート | 52,269 | 44,522 | △ 14.8 | 1.1 |
MGモーター | 48,866 | 44,115 | △ 9.7 | 1.0 |
フォルクスワーゲン | 41,326 | 43,197 | 4.5 | 1.0 |
日産 | 33,611 | 30,146 | △ 10.3 | 0.7 |
PCAモーターズ | 9,062 | 8,367 | △ 7.7 | 0.2 |
FCAインディア・オートモービルズ | 12,445 | 5,406 | △ 56.6 | 0.1 |
フォース・モーターズ | 679 | 1,755 | 158.5 | 0.0 |
いすゞモーターズインディア | 978 | 515 | △ 47.3 | 0.0 |
合計(その他を含む) | 3,890,114 | 4,218,746 | 8.4 | 100.0 |
出所:インド自動車工業会(SIAM)
乗用車の成長トレンドは変わらずUV
乗用車をさらにセグメント別にみると、一般乗用車は154万8,943台で前ブラック ジャック 勝率比11.4%減、UVは252万691台で同25.8%増、バンは14万9,112台で同7.3%増だった。小型車をはじめとした一般乗用車が前ブラック ジャック 勝率の2桁増から2桁減に転じた一方、UVが4年連続の2桁増と好調だった。車種別データにもそのトレンドが表れている。
一般乗用車の車種別ランキングを見ると、首位はマルチ・スズキのコンパクトモデル(「スイフト、ワゴンR」など計82万8,015台)で、2位以下に大差をつけたものの、前ブラック ジャック 勝率比4.1%減だった。他方、同社のコンパクトモデルは車種別1位を長年維持しており、根強い人気がうかがえる。この人気がマルチ・スズキの一般乗用車シェア第1位(63.3%)に大きく貢献していると考えられる。
乗用車の車種別2位~7位は各社のUVが占め、いずれも前ブラック ジャック 勝率から販売台数を2桁以上増やした。2位はタタ・モーターズのコンパクトUV(「ネクソン」など計34万1,773台)で前ブラック ジャック 勝率比11.7%増だった。3位はマルチ・スズキのコンパクトUV(「ブレッツァ」など計32万1,641台)で前ブラック ジャック 勝率の2.2倍、4位は同社UV(「グランド・ヴィターラ」など計27万926台)で同47.2%増と、同社UVの好調ぶりがうかがえる。5位、6位はマヒンドラ&マヒンドラ、7位は現代自動車のUVモデルがランクインした。また、トヨタ・キルロスカのミニバン(「イノーバ・クリスタ、イノーバ・ハイクロス」計9万8,180台)は、台数は10万台には届かなかったが、同76.7%増と好調だった。こうした車種の人気により、UV市場シェアは、マルチ・スズキが25.5%、マヒンドラ&マヒンドラが18.2%を占めた(図3参照)。
二輪車は順調に成長、上位4社は安定
2023ブラック ジャック 勝率の二輪車の国内販売台数(前ブラック ジャック 勝率比13.3%増の1,797万4,365台)は、新型コロナ前2019ブラック ジャック 勝率の1,741万6,432台を超えた。過去最高だった2018ブラック ジャック 勝率の2,117万9,847台には遠いものの、直近10年で3番目の数値となった。セグメント別にみても、スクーターが583万9,325台で前ブラック ジャック 勝率比12.5%増、オートバイが1,165万3,237台で同13.9%増、モペッドが48万1,803台で同9.1%増と、いずれも順調な回復を見せている(表1参照)。
主要メーカー別シェアは、首位がヒーローでシェア30.2%、2位はホンダで25.2%、3位はTVSモーターで17.6%、4位はバジャジ・オートで12.4%だった。上位4社は2022ブラック ジャック 勝率と同じ順位を守った一方、スズキがロイヤルエンフィールドを抜いて5位に浮上し、販売台数は92万1,009台(前ブラック ジャック 勝率比26.0%増)だった(表3参照)。日系4社(ホンダ、スズキ、ヤマハ、カワサキ)の合計は615万649台、市場シェアは34.2%で、2022ブラック ジャック 勝率の33.6%とほぼ同じ水準になっている。
メーカー |
2022ブラック ジャック 勝率 (2022年4月~ 2023年3月) |
2023ブラック ジャック 勝率 (2023年4月~ 2024年3月) |
増減率 |
シェア (2023ブラック ジャック 勝率) |
---|---|---|---|---|
ヒーロー | 5,155,793 | 5,420,370 | 5.1 | 30.2 |
ホンダ | 4,025,527 | 4,530,196 | 12.5 | 25.2 |
TVSモーター | 2,597,936 | 3,157,050 | 21.5 | 17.6 |
バジャジ・オート | 1,801,010 | 2,237,118 | 24.2 | 12.4 |
スズキ | 730,756 | 921,009 | 26.0 | 5.1 |
ロイヤルエンフィールド | 734,840 | 834,795 | 13.6 | 4.6 |
ヤマハ | 568,534 | 694,853 | 22.2 | 3.9 |
エイサー・エナジー | 93,212 | 107,894 | 15.8 | 0.6 |
ピアジオ | 44,382 | 38,163 | △ 14.0 | 0.2 |
オキナワ | 100,702 | 13,841 | △ 86.3 | 0.1 |
チェタク | 4,873 | 13,467 | 176.4 | 0.1 |
カワサキ | 4,028 | 4,591 | 14.0 | 0.0 |
その他 | 1,178 | 1,018 | △ 13.6 | 0.0 |
合計 | 15,862,771 | 17,974,365 | 13.3 | 100.0 |
有望なインド市場、多目的車とEVがカギに
インドの自動車業界は新型コロナ禍の落ち込みから回復し、成長傾向にある。背景には、近年の高い経済成長に伴って中間層の所得が向上、需要が拡大していることが挙げられる。また、インド政府の製造業振興政策「生産連動型インセンティブ(PLI)スキーム」もこの成長を後押ししている。同スキームは自動車と自動車部品分野も補助金支給対象に含んでおり、2026ブラック ジャック 勝率まで継続する予定だ。今後も自動車業界が成長することは間違いない。
有望なインド市場で、各メーカーは2つの観点についてかじ取りを迫られている。1つはUV市場戦略だ。現在は人気の高いUV車種を出したメーカーが乗用車全体のシェアを伸ばす傾向にある。消費者心理に「刺さる」UVの開発が求められている。
もう1つは電気自動車(EV)の開発だ。インド政府は2030年までにEVの販売を乗用車の3割、二輪車の8割にまで引き上げる目標を掲げる。6月4日に開票される総選挙の結果を控えた現在は、二輪車、三輪車を対象にした電動モビリティ促進スキーム(Electronic Mobility Promotion Scheme 2024)を展開中だ(インド重工業省、新たな電動モビリティー促進ス実写)。同スキームの適用は2024年7月末までの予定だが、8月以降も新政権による同様の振興策が予想されており、政府のEV奨励策は続くとみられる。こうした動きに伴い、外資系メーカーのEV工場投資が相次いでおり(現代、タミル・ナドゥ州で2、ベトナムのビンファスト、ブラック ジャック)、各社はシェア拡大に向けて、UVの市場戦略とEV振興策の活用が求められている。
自動車業界の伸びが期待される中、トヨタ・キルロスカは2023年に新工場建設を発表(2023年11月28日付ビジネス短信参照)したほか、マルチ・スズキは2023ブラック ジャック 勝率の総販売台数(輸出を含む)が過去最高の200万台超を記録し、2030年までに年間400万台まで増産する目標を掲げる(2024年4月8日付ビジネス短信参照)。両グループは開発・生産分野で協業するほか、2022年3月に自動車部品分野でPLIを承認されている。また、ホンダは二輪EVの開発促進に向けて、新たに研究開発拠点の設立を発表した。今後、インド国内での日系メーカーのさらなるシェア拡大が期待される。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・ベンガルール事務所
岩井 澪佳(いわい みおか) - 2021年、ジェトロ入構。総務部総務課を経て、2023年9月から現職。