カジノ 無料バックグラウンドを問わず、キャリア形成を重視(東京都・コグラフ)

2024年9月18日

コグラフは、東京都品川区に本社を構えるIT企業である。正社員の約3割を外国籍社員が占める。近年はチームリーダーに昇格する外国籍社員が誕生するなど、優秀な人材は国籍問わず重要なポジションに登用している。カジノ 無料は、同社で人事のチームリーダーを務める小関智遥氏、インドネシア出身のサンドラ・アガシー・サティアヴィラワン氏へのインタビューを行った(取材日:2024年6月27日)。本稿では、外国人材活躍のための工夫を探る。

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右から小関氏、サティアヴィラワン氏(カジノ 無料撮影)

10カ国・地域出身の15人の外国人材が活躍中

コグラフは2010年に創業し、データ分析・活用、ソフトウェア開発、クラウドERP(注1)活用などのIT技術サービスを提供している。「データ分析×ソフトウェアで世界を変える」をミッションに、顧客視点で課題解決に貢献することを目指している。

正社員56人のうち、3割近くを占める15人の外国籍社員が活躍する(取材時点)。国・地域は、中国、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、バングラデシュ、インド、ドイツ、メキシコと多岐にわたる。2021年以前は、日本人も含めて中途採用のみを行っていたが、2022年から新卒採用を開始し、日本の大学院を卒業したサティアヴィラワン氏が同社初の新卒社員として入社した。2023年以降も新卒採用を継続しており、外国籍社員も毎年入社している。

「外国人も働きやすい会社」としてブランディング

代表の森善隆氏は、コグラフ創業前に外国籍エンジニアと一緒に働いた経験を持ち、創業時から一緒に働く仲間として外国人がいる環境が当然だと考えていたという。そのため、当初より国籍に関係なく採用を行ってきた。近年は外国籍社員が増えてきたので、会社説明会で彼らに登壇してもらっている。また、民間採用サイト「wantedly外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」やメディアプラットフォーム「note外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」などを活用し、外国籍社員のインタビューや対談記事を紹介するなど、対外的にも外国籍社員の存在を積極的に発信している。「外国籍社員の写真や紹介文が載っていることで、この会社なら外国人も安心して働けそうだと思ってもらえる」と小関氏は話す。その結果、「外国人も働きやすい」というイメージでの同社のブランディングが奏功し、外国人からの応募が増えるようになった。

1on1面談で本人の希望を確認、能力に応じて抜擢人事も

同社では、全社員が月1~2回のペースでチームリーダーとの1on1面談を実施し、今後どのようなキャリアを築いていきたいかなどの希望を聞いている。その内容やこれまでの成果などを踏まえて検討し、会社として対応可能であれば、上位ポジションへの抜擢も含め、できる限り一人ひとりの希望をかなえる工夫をしているという。

同社の外国籍社員の活躍事例としては、初めての外国籍副部長の誕生が挙げられる。15人前後のメンバーをまとめる副部長は、メキシコ出身。九州大学で経済学を専攻し、公共および民間セクターでのマクロ経済変数の予測、データモデリング、分析を経験後に同社へ入社した。

上司との1on1面談(注2)で、「いずれはチームリーダーをやってみたい」との希望を伝えていた。面談後に経営層を交えて検討し、本人の能力も十分で、ちょうど会社としても新しいチームを作るタイミングだったこともあり、入社半年でチームリーダーに抜擢(ばってき)したという。その後、チームリーダーとしての活躍が評価され、副部長に昇進した。同社では、チームリーダーになる要件として、(1)お客様からの評価、(2)プロジェクトの成果、(3)チーム内での貢献度、を指標にしている。これらが一定水準に達していれば、国籍や過去のリーダー経験に関係なく、積極的にリーダー職への登用を進めている。

取材を行ったサティアヴィラワン氏自身も、1on1面談で相談し、希望をかなえた一人である。彼女は、2022年4月の入社当初はマーケティングを担当していたが、今後のキャリアとして採用やマネジメントなど人事関連に関心があったという。入社後の1on1面談でそれを伝えたところ、入社半年後に、マーケティング業務と人事業務を同等の割合で兼務し、2023年9月には完全に人事部に異動となった。同氏は、上智大学大学院に留学し、在学中にコグラフでインターンシップを経験後、入社している。現在は、自身の経験を生かし、採用から入社後研修に至るまで一連の企画・運営を担っている。2024年4月に入社した元留学生の新入社員から「あなたのおかげで入社しました」と言われたことは、とてもやりがいを感じた瞬間だった、と話す。今後は、留学生向けのオンボーディング支援(注3)も含め、採用後の支援をさらに充実させることを目標に、人事としてのスキルを磨いていきたいと意欲を見せる。


コグラフでのやりがいを話すサティアヴィラワン氏(カジノ 無料撮影)

全社員が集まるオールスタッフミーティング:社員同士の交流の活性化に

サティアヴィラワン氏は、「コグラフは、日本人、外国人関係なく活躍できる、働きやすい会社。いつでもお互いに相談しやすい雰囲気がある」と話す。そうした雰囲気づくりに一役買っているのは、月に1度、全社員がリアルで集まるオールスタッフミーティングの存在があるようだ。各社員が好きなテーマで10分間のプレゼンをするコーナーを用意することもある。外国籍社員は、この機会を活用して母国の文化や故郷の様子を紹介し、社員同士がお互いをよく知るきっかけになっている。業務時間外にお互いの母国語を教えあうこともあるなど、社員同士の交流の活性化につながっているという。

エンジニアはプロジェクトに応じて、顧客先での常駐勤務、リモートワーク、本社出勤など勤務場所が異なるため、月に1回、全社員が顔を合わせる場は、社員のコミュニケーションを促進する重要な機会として位置付けている。

外国人材と共に地元・五反田エリアへの貢献も目指す

同社は事業拡大期にあるため、エンジニアを中心に、今後も外国籍社員を継続的に採用する方針だ。同社は、性別や国籍だけでなく、バックグラウンドや生活環境なども含めた個性を大切に考えている。多様なバックグラウンドを持つ人材が集まる同社では、社内のダイバーシティを大切にしつつ、本社が所在する五反田エリア(注4)にも貢献していきたい考えだ。例として、発達障害など特別なニーズを持つ生徒を対象とした職業体験プログラムを品川区の通信制高校と共同で2021年から開始している。また、五反田エリア周辺の企業と共に、地元中学生向けのキャリア教育の授業にも参加している。2023年12月に行った授業では、データアナリストの外国籍社員を講師として、会社概要、自身の業務内容、仕事のやりがいなどを分かりやすく説明した。

コグラフは、外国人材を含む多様な人材の活躍を通じて、会社のさらなる発展、その先に地域ぐるみのダイバーシティ推進も見据えている。


注1:
ERPとは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、会計・人事・生産・物流・販売などの幅広い業務分野において、企業の経営資源を一元的に管理し有効活用するマネジメント手法のこと。
注2:
上司と部下が1対1で行う定期的な面談のこと。部下の人材育成やモチベーションの向上、上司と部下の信頼関係の構築などが目的。
注3:
新たに入社した人材が早期に活躍できるように支援する施策。
注4:
東京の五反田から大崎にかけてのエリアは、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などのスタートアップ企業が集積しており、米国のシリコンバレーにならい「五反田バレー」と呼ばれている。五反田バレーは2018年に一般社団法人化され、品川区と連携協定を締結。コグラフも五反田バレーに参画し、区が運営するシェアオフィスに本社を構える。
執筆者紹介
カジノ 無料知的資産部高度外国人材課
斉藤 美沙季(さいとう みさき)
2018年、カジノ 無料入構。対日投資部地域連携課、カジノ 無料岩手を経て、2022年10月から現職。