ブラック ジャック ディーラー ルール油圧からAI外観検査へ、ブラック ジャック ディーラー ルール)
2024年12月6日
リョーワ(本社:福岡県北九州市)は、油圧メンテナンス事業および外観検査事業を行う中小企業だ。従業員24人のうち、6人がタイ人の高度外国人材だ(取材日時点)。中には新規事業の開発部門のチームリーダーに起用され、マネージャーへの昇格を期待される若手女性人材もいる。同社での高度外国人材採用の背景や活躍について、田中裕弓代表取締役および津田貴史氏に、同社への入社の背景などをタイ出身のチャマイポーン・ポーパン氏に聞いた(取材日:2024年10月31日)。
油圧メンテナンスから人工知能(AI)外観検査へ事業を拡大、高度外国人材がDXの立役者
同社は配管工事業者として1968年に創業。創業以来、油圧装置の修理やメンテナンスを主力事業としてきたが、2012年に外観検査装置システム事業を立ち上げた。取引先企業に「これから油圧の機械がなくなる」と言われ、既存事業の存続に危機感を感じたためだ。外観検査とは、主に製造現場において、製品にキズや汚れ、異物混入などの瑕疵(かし)がないかを確認し、基準値への適合を保証する検査業務を指す。同社の外観検査システム「クラヴィ(CLAVI)」はスマホやタブレットをかざすだけで数量検査や識別作業を可能にし、製造業の検査品質のさらなる向上に貢献している。
同社は現在、作業者がスマートグラスを着用し、熟練工に代わってAIと対話しながらメンテナンス作業を行うことを可能にするシステムを開発している。その新規事業開発の中心は、女性エンジニアを含むタイ人の若手高度外国人材が担う。新規事業は2025年内にはサービスを開始し、収益化していく計画だ。
同社はデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むモデル事例として、経済産業省が認定するDXセレクションの2022年準グランプリに選定された。AIでの遠隔メンテナンスや予知保全システムの開発にも取り掛かっており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業」にも採択された。田中社長は「AI事業の開発とそれによる外部評価の向上は、ひとえに外国籍社員のおかげと感じている」と語った。
英語のみでの業務遂行を許容し、優秀な人材を確保
同社の高度外国人材の採用の開始は、2005年に遡る。当時は地元大学からの紹介で、中国人の学部留学生を油圧部門にて採用した。その後、2011年からは求人情報サイトであるリクナビでの新卒採用活動を始めた。中国・大連へのブラック ジャック ディーラー ルール展開やタイでの代理店契約をきっかけに、同ルートを通じ、事務部門で学部卒の中国人材を採用した。さらに、2014年にはジェトロ北九州による助言でタイの国立カセサート大学と覚書(MOU)を締結し、2018年から本格的に高度外国人材の採用を開始。現在は、同校を含むタイの大学2校の出身者6人が勤務している(表1参照)。
表1:リョーワの高度外国人材採用
年 | 人数 | 油圧部門 | 開発部門 | 事務部門 | 目的 |
---|---|---|---|---|---|
2005 | 1人 | 中国人(1) | 大学からの採用依頼(新卒採用開始) | ||
2011 | 2人 | 中国人(1) | 中国人(1) | 中国進出準備 | |
2012 | 1人 | 中国人(1) | 新事業(外観検査事業)進出 | ||
2017 | 1人 | 中国人(1) | 中国事業強化 | ||
2018 | 3人 | 中国人(1)、インド人(1) | タイ人(1) | 外観検査事業強化、油圧部門人員補充 | |
2019 | 4人 | インド人(1) | タイ人(1)、ネパール人(1)、インド人(1) | AI外観検査事業強化 | |
2020 | 2人 | タイ人(2) | AI画像処理事業強化 | ||
2021 | 1人 | タイ人(1) | 油圧部門人員補充 | ||
2022 | 2人 | タイ人(2) | AI画像処理事業強化 | ||
2023 | 1人 | タイ人(1) | AI画像処理事業強化 | ||
合計 | 18人(内訳:中国人(6)、タイ人(8)、インド人(3)、ネパール人(1)) |
年 | 人数 | 油圧部門 | 開発部門 | 事務部門 | 目的 |
---|---|---|---|---|---|
2025 | 2人 | タイ人(1)、中国人(1) | AI画像処理事業、AI外観検査事業強化 |
注:カッコ内の数字は採用人数。
出所:リョーワ提供資料からジェトロ作成
同社は過去に技能実習生の採用実績はなく、タイ人や中国人を中心とする高度外国人材を新卒採用ルートで合計18名採用してきた。いずれも、即戦力として活躍しているという。現在の高度外国人材の選考は、(1)タイの大学からの推薦、(2)北九州市からの学生の紹介、が主なルートだが、いずれも履歴書審査に加え、面接や長期インターンシップ期間中で実力を確認し、技術的なスキルを評価するテストの合格者に絞って採用を行っている。採用要件として、特に日本語能力を求めておらず、英語力で判断し、英語のみでの業務遂行を許容している。田中社長は「日本語能力を求めないことで技術的に優れている外国人材を採用することが可能になった。タイの大学にとっても優秀な学生を推薦しやすいのではないか」と話す。
外国人材採用が組織文化を変える
外国人材の登用を開始してから、リョーワ社内のダイバーシティの推進が進展した。社内コミュニケーションは日本語から英語が中心になり、失敗を許容できるようになるなど、開発部門を中心に組織文化に変化が見られた。また、資格取得へのモチベーションの高い外国籍社員に触発され、職人肌の日本人社員も積極的に資格を取るようになったという。田中社長は、外国籍社員にも理解しやすいよう、理念やビジョンを英語で適切に表現し、浸透させることが重要だと考える。
項目 |
メンテナンス事業 (変化前) |
AI外観検査事業 (変化後) |
---|---|---|
キーワード | 安全第一 | たのしく |
在籍期間 | 永年を前提 | 3~5年を前提 |
新卒採用 | リクナビ | 大学と連携 |
インターンシップ | 短期のみ | 中長期のみ(2週間以上) |
作業環境 | 現場中心 | サイバー中心 |
社内コミュニケーション | 日本語 | 英語 |
人材育成 | 外部研修+OJT | 社内研修+Web+OJT |
失敗の許容 | 失敗負荷 | 失敗容認 |
多様性 | 高齢化・ブラック ジャック ディーラー ルール人材・外注 | ダイバーシティ |
仕事の進め方 | 徹底した事前検討 | アジャイル |
出所:リョーワ提供資料からジェトロ作成
ほとんどの外国籍社員は、将来的に母国への帰国や転職を通じたキャリアアップを考えていることが多いため、開発部門の在籍期間は3~5年を前提としている。ブラック ジャック ディーラー ルールへの事業展開について、田中社長は「中国やタイへの事業展開をこれまで何度か検討したものの時期尚早と判断した経緯がある。特に、タイへはジェトロの輸出有望案件支援事業で現地企業と代理店契約を締結し市場開拓も実施した。だが再びチャレンジすべく外国人材を活用した市場調査も行っている。今後は母国に帰った卒業生がアジア展開の水先案内人になることを期待する」と述べた。
高度外国人材の採用は順調、育成・定着に課題あり
同社が積極的に採用している若手女性中心の外国籍エンジニアは、開発部門を中心に活躍している。今後は外観検査システム事業の拡大や収益に応じて、外国籍社員を中心に、従業員数を約2倍の50人程まで増やしたいという。外国籍社員の採用活動は、タイの大学からの紹介や北九州市の支援もあり、順調だ。加えて、北九州市のインターンシップ事業、タイの大学との直接連携によるインターンシップ生の受け入れにも意欲的に取り組んでいる。田中社長は、「北九州にはイノベーティブなカルチャーがあり、市やジェトロなどの中小企業向け支援が手厚く、DX事業を応援してもらっている」と語った。
一方、外国籍社員の定着や育成に対する課題は山積みだ。外国籍社員に対しては3~5年程度の在籍を期待しているものの、過去には5か月で退職した社員など、定着しない外国人材もいた。社会人基礎力やマーケティングなどの英語研修がないため、現在は田中社長自ら対面で指導し、外部顧問が企業理念について英語で説明することで、外国籍社員を育成しているという。また、最低限の日本語の習得が定着に重要という認識から、社内で日本語勉強会も開催している。さらに、四半期に1度程度、外部顧問が1on1面談(注1)を実施し日頃の悩みをヒアリングしている。経済産業省の事業「地域の人事部」も活用し、北九州市の域内企業との合同社員研修などを通じた人材育成を行っているものの、同社のオペレーションの状況に合った講師やプログラムが英語での研修に対応していないことが課題となっている。
日本企業に求めるのは柔軟性と傾聴力
同社のAI外観検査システムの開発を担っている、R-Vision事業部のチームリーダーであるタイ出身のチャマイポーン氏は、カセサート大学で電子工学を専攻。大学時代から国外、特に日本での就業を目標としていた。2018年にリョーワでのインターンシップに参加し、業務内容や企業文化、北九州市の生活環境の良さに魅力を感じ、入社を決意したという。来日直後は、生活に必要な日本語のコミュニケーションに苦労したが、現在は日本語能力試験もN2(注2)まで習得した。業務内でも自主的に日本語を使い、日本人社員とコミュニケーションを取っているという。チャマイポーン氏は言語について、「日本人も英語、日本で働く外国人も日本語を勉強して、中間地点をみつける必要がある」と語った。
チャマイポーン氏はフロントエンド(注3)のシステム開発を得意とし、現在はNEDO事業のリーダーを担っている。高い専門知識をベースとする実績や経験値に加え、業務への姿勢、温厚で真面目な性格が評価され、チームリーダーに就任し、マネージャーへの昇格を期待されている。同氏は「経験を積んで、リーダーシップを磨いていきたい」と意気込む。日本企業は、同社のように、若手の外国籍社員を重要な役職に登用する柔軟性や、外国籍社員の意見を聞き入れる傾聴力を持つことによって、高度外国人材にとってより魅力的な職場になるだろう。
- 注1:
- 上司と部下が1対1で行う定期的な面談のこと。
- 注2:
- 日本語能力試験のN2レベル。N1からN5までの5つのレベルがある。N2は、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベル。
- 注3:
- ウェブサービスやアプリケーションの見た目に関する部分の開発。
- 変更履歴
- 文章を一部修正しました。(2024年12月10日)
- 執筆者紹介
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ジェトロ調査部国際経済課
馬場 安里紗(ばば ありさ) - 2016年、ジェトロ入構。ビジネス展開支援部ビジネス展開支援課/途上国ビジネス開発課、ビジネス展開・人材支援部新興国ビジネス開発課、ブラック ジャック ディーラー ルール調査部中東アフリカ課、ジェトロ・ラゴス事務所を経て、2024年10月から現職。