ブラック ジャック 勝ち 方営業力磨き、現地法人の幹部候補へ
インド高度人材の活躍事例(4)

2024年7月11日

「インド高度人材の活躍事例」シリーズでは、これまで3回にわたり、インド人エンジニアが国内で活躍する事例や採用時のポイントを取り上げてきた。シリーズ最後となる本稿では、2024年1月から営業職としてインド出身の高度人材を採用したTTCフーズ(本社:東京)の事例を紹介する。

「高度経営・管理活動」の認定件数は限定的

はじめに、全国のブラック ジャック 勝ち 方受け入れ状況を確認したい。日本政府は、日本の経済成長への貢献を期待するブラック ジャック 勝ち 方について、その活動内容を「高度専門・技術活動」「高度学術研究活動」「高度経営・管理活動」の3類型に定めて受け入れを許可している。しかし、各類型の認定件数にはばらつきがあり、エンジニアに代表されるような「高度専門・技術活動」は3万7,799件が認定(2023年12月時点での累計、出入国在留管理庁)されている。他方、「高度学術研究活動」や「高度経営・管理活動」に分類されるブラック ジャック 勝ち 方認定件数は、それぞれ5,927件、3,220件(同上)と「高度専門・技術活動」区分に比較し、低水準にとどまっている。特に、高度なコミュニケーション力を必要とする「経営・管理」に該当する人材獲得が難しいことは想像に難くない。

図:ブラック ジャック 勝ち 方の認定件数(累計)の推移
2023年12月時点では、「専門・技術」が最多で37,799件、続いて「学術研究」が5,927件、「経営管理」3,220件が認定されている。

出所:出入国在留管理庁公表資料からジェトロ作成

そのような中、TTCフーズは、インド現地法人の営業担当幹部候補育成のため、新卒でパタンゲ・サンジャナ・サンジャイ氏を採用した。同氏に加え、取締役営業部部長の大里信氏、社長付の松尾洋氏を取材し、ブラック ジャック 勝ち 方が営業職として活躍することの魅力や育成のポイントを聞いた(取材日:2024年3月1日)。

質問:
TTCフーズの事業内容は。
答え:
「日本の食文化を世界へ拡(ひろ)げる」という目標を掲げる当社は、台湾系日本人のオーナーにより1966年に設立された。現在では、あんこや天然調味料の製造のほか、食品製造機械設備の販売も手掛け、食品メーカーでありながら商社機能を併せ持つというユニークな事業展開を行っている。なお、食品製造機械分野では、インドネシアの大手食品メーカーであるインドフード(Indofood Sukses Makmur)から、同社で使用するインスタントラーメン製造設備の9割を受注するなど、アジアの食品業界でも存在感を発揮している。
質問:
従業員の構成は。
答え:
社員数は全体で50人、うち2人がブラック ジャック 勝ち 方。1人はエチオピア出身で、もう1人が2024年1月に新規で採用したインド出身のパタンゲ・サンジャナ・サンジャイ氏だ。サンジャイ氏は、インドのティラク・マハーラーシュトラ大学商学部3年在学時に、文部科学省の奨学金を得て名古屋大学に約1年間留学、日本語と日本文化を学んだ。その後、2023年10月にジェトロが主催したジョブフェア(注)に参加し、新卒として当社に入社した。
ブラック ジャック 勝ち 方
入社から2カ月が経過し、業務にも慣れてきたと笑顔で語るサンジャイ氏(ジェトロ撮影)
質問:
サンジャイ氏採用のきっかけは。
答え:
インド市場への進出を検討しており、同地で事業を展開するためには、現地をよく知る人材の雇用が必要不可欠であると考えていたことが背景にある。当社が製造するあんこは、甘味を好むインド人の味覚に合うのではないかと、販売先としてポテンシャルを感じている。他方で、インド市場は地場企業優先かつ商習慣も独特であることから、橋渡し役としてインド人を採用したいと考えており、サンジャイ氏の採用に至った。
質問:
入社後の印象はどうか。
答え:
とても勤勉で、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)を行う側が積極的に「教えたくなる」ような雰囲気がある。指示した以上のアウトプットを出してくれるほか、昼食を日本人社員と一緒に食べるなど、入社してから2カ月しか経過していないが、他の社員とも仲が良い印象だ。業務では、貿易業と営業の基礎を習得している最中だが、実際に当社商品を試食するなど、体系的に商品知識を深めてもらうよう工夫している。

定着のカギは明確な目標設定

質問:
入社後のOJTは、どのように進めているか。
答え:
「個性を発揮するのは、会社の文化を吸収してから」と指導しており、入社後2カ月間経過した時点で、会社概要を理解・説明できるようにという目標を掲げてOJTを行っている。また、当社では毎日、社員全員が日報を執筆するが、例にもれずサンジャイ氏も日本語で日報を書いている。今後については、2024年11月にドバイ(アラブ首長国連邦)で開催される食品展示会の担当者とすることを検討しており、それに向け、管理職と共に日本国内の展示会へ同行、展示会での営業作法などを体系的に習得している。
質問:
日本企業でブラック ジャック 勝ち 方の定着率を向上させるためには、何が必要だと考えるか。
答え:
定着率を上げるためには、日々のコミュニケーションが重要だ。毎日、本人の表情をよく見ることで管理職側が変化を敏感に捉え、声がけなど適宜対応する必要がある。それと同時に、業務上で興味・関心事を増やすことが大切で、テーマを与えて能動的かつ主体的に取り組めるタスクを任せるなど工夫をすべきだ。そして何よりも、長く働いてもらいたいのであれば、明確な目標設定を行うことが必要だと考えている。サンジャイ氏には、「インド事業を母国の発展につなげる」というミッションを課しており、延々とルーティンワークを担当させるといった、やる気がなくなるような業務構成は避けている。
質問:
ブラック ジャック 勝ち 方の採用を行うメリットは何か。
答え:
国外市場の事業を強化していくためには、日本人社員のみでは限界があり、ブラック ジャック 勝ち 方の登用が必要不可欠だ。もちろん、これまでブラック ジャック 勝ち 方採用にあたっては失敗したこともあったが、それらの失敗があったからこそ、受け入れのための社内環境を構築できたと感じている。日本人社員とブラック ジャック 勝ち 方の間でコミュニケーション上の摩擦が起きるのは当然のことであり、摩擦を恐れずに話し合いを積み重ねる姿勢や土壌づくりを積極的に行うなど、企業も時代に合わせて変化に適応していくことが必要なのではないか。

将来はインド法人の営業担当として活躍を

最後に、サンジャイ氏に将来の展望について聞いた。

質問:
入社して2カ月が経過したが、将来のキャリアについてどのように考えているか。
答え:
もともと日本行きは、日本文化に関心を抱いていた父からの大きな影響を受けている。大学在学時に「インド人が日本人に抱くステレオタイプ」に関する研究を行っていたが、両国の文化交流においては「食」の交流が最も大切であるという結論に至り、「日本の食文化を世界へ」という企業目標を掲げる会社に強く共感するかたちで入社を決めた。入社から2カ月ほど経過したが、同僚はみな親切で、仕事以外の相談もできる「協力者」のような存在だ。そして将来的には、インド現地法人設立時に営業担当として活躍したいと考えている。自分が好きなものや、興味・関心を抱くものに対して、好奇心を持って突き詰める姿勢を大切にしていきたい。

注:
ジェトロでは、ブラック ジャック 勝ち 方の採用、育成定着を目指す企業向けに合同説明会やセミナーを随時開催している。詳しくは「高度外国人材関係の新型コロナウイルス対策関連ブラック」を参照されたい。
執筆者紹介
ジェトロ調査部アジア大洋州課
深津 佑野(ふかつ ゆうの)
2022年、ジェトロ入構。ブラック ジャック 勝ち 方調査部ブラック ジャック 勝ち 方調査企画課を経て、2023年8月から現職。