ブラックジャックweb名古屋の光建、ブラックジャックweb

2025年1月10日

愛知県名古屋市に本社を構える光建は、発電・送電インフラ関連の電力土木を得意とする建設会社だ。さまざまな電線や水道管が地中に混在する都市部では、電力土木工事の難易度が高く、熟練職人による施工技術が求められる。その技術を体得するには長年の現場経験の蓄積が必要となる。同社の正田光次朗専務取締役は、動作分析と呼ばれるデジタル技術を用いて、職人養成向けのデジタル学習ツールを開発できないかと考え、2022年から研究開発に取り組み始めた。

この研究には動作データを解析する専門人材が必要であったところ、インドネシアから名古屋大学に留学していたライッサ・メデア・アルンジャニ氏と出会う。ライッサ氏は、ブラックジャックweb専門職として2023年10月から同社で活躍している。ライッサ氏が名古屋大学から地域の企業に就職し、イノベーティブな技術開発の現場で活躍する姿は、地域活性化につながるモデルケースとして、域内の大学や自治体からも期待が高まっている(取材日:2024年12月13日)。

ブラックジャックweb
光建の正田専務(左)とライッサ氏(右)(ジェトロ撮影)

データサイエンスを建設技能学習に応用するためブラックジャックwebが必要に

質問:
光建の事業概要について。
答え:
(正田氏)光建は1961年に設立した企業で、元々は中部電力管内の施工会社として電力土木事業を祖業としている。現在も、主に発電・送電インフラ関連の施工を受注しており、全体の40%が同領域の業務である。電力会社のほか、顧客には国土交通省や名古屋市をはじめとする官公庁や自治体などもあり、事業ポートフォリオを多角化させている。土木工事関連技術などの分野で、これまで140回ほど表彰された実績がある。

名古屋市内にある光建のオフィス(ジェトロ撮影)
質問:
社内ではどれくらいブラックジャックwebが働いているか。
答え:
(正田氏)現在の社員数は約60人で、そのうち、技術職(施工管理者/現場監督者)が22人、技能職が26人(職人)、残りが営業や総務という体制になっている。外国人材は現在11人、そのうちブラックジャックwebが2人(インドネシア人、ミャンマー人)で、その他は技能実習や特定技能制度を使って雇用している。
質問:
ブラックジャックwebを採用した理由は。
答え:
(正田氏)ブラックジャックwebの採用自体は2018年から開始。当社現場で働く職人(技能職)として技能実習生を受け入れたのが始まりだった。その後、2021年に「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザで、技術職(施工管理、現場監督)のミャンマー人を採用。これは取引銀行からの紹介を受けたものだ。そして2023年にデータサイエンスに知見を持つ人材として、ジェトロのオンライン合同企業説明会でライッサ氏に出会い、採用したという流れだ。
質問:
なぜブラックジャックwebを求めていたのか。
答え:
(正田氏)日本人かブラックジャックwebかを問わず、データサイエンスに関心と知見のある人材を探していた。当社の熟練職人の動きを人間工学的に解析し、科学的なエッセンスを加えるという研究に2022年から取り組み始めたからだ。例えば、野球やバスケットボールといったスポーツ界では、球の回転数や打球速度の計測、選手の動きの科学的解析が行われている。これと同様のアイデアを、建設技能に持ち込みたいと考えた。当初、名古屋市立大学との共同研究からスタートしたが、自社の取り組みとしても広がりが見込めたので、本業務を担当する専門人材としてライッサ氏を雇用した。
質問:
ライッサ氏の担当業務である、熟練職人の動作の解析とは。
答え:
(正田氏)いわゆる「動作分析」という領域で、人体の動作、動態を記録して、データ解析するもの。熟練職人の動きを解析し、その結果を盛り込んだゴーグルやグラスなどのAR(拡張現実)活用学習ツールを開発できないかと、取り組んでいるところ。当社の強みは、職人が長年培った現場技術だ。単にショベルカーで土を掘ればいいというわけではない。都心部での掘削工事をする場合は下水管などの障害物を避けなければいけない。また、車両が多数走行する道路で作業するため、同時に周囲の状況などを注視する必要もある。この作業のコツを学ぶには、10年くらい現場で経験を積むほかない。しかし、この熟練職人の視線の動きを計測(アイトラッキング)し、AR空間上で再現することで、職人の目の動きを追体験することが可能となる。そして、このデータ解析にはプログラミング能力が必要である。

アイトラッカーを使ったAR学習ツールを開発する(光建提供)
質問:
新たな取り組みについて、熟練職人からの声は。今後の展開は。
答え:
(正田氏)職人側としても、普段は自分の動きを言語化することがないため、自身の有している能力に気づかないことが多い。動作分析の結果、出力されてくるデータについて、ライッサ氏が解析するのと同時に、「なぜ、こうした動作をしているのか」「なぜ先ほどと異なる動きをしたのか」を聞いていくプロセスが必要となる。こうした取り組みを通じて、お互いに動作について考えてもらう。一連の作業の中で発生する動作と思考のプロセスを言語化、共有することに大きな意味があると捉えている。技能者の技術こそが当社のコア・コンピタンスでもあり、強みを磨くことにつながるからだ。また、この研究から新たなビジネスを開発できるかもしれない。研究内容自体は海外でも応用できるため、海外展開につながる可能性もある。
質問:
ライッサ氏を採用したことで、社内にどんな影響があったか。
答え:
(正田氏)総務部に配属されており、データ解析以外にも、採用や広報も担当している。プログラミング能力を生かして、社内のチャットボットや勤怠に関連するアプリを開発したり、会社広報用のSNSを運営したり、能力を発揮している。また、今年6月の展示会では、コミュニケーション能力の高さを生かし、展示会でのブース対応を任せた。メディアにも取り上げられ、企業PRという面でも効果があった。社内での親睦を深めるためのバーベキュー大会のまとめ動画も制作してもらったが、そういった本業以外の仕事にも前向きに取り組んでおり、会社全体にプラスの影響をもたらしている。ライッサ氏の好奇心を持って取り組む姿勢が、ブラックジャックweb人の新入社員や若手社員にもよい刺激となっており、こうした好影響も期待するところ。ブラックジャックweb人社員とコンビを組み、内定者懇親会の企画運営も任せている。

ブラックジャックwebの選考では、十分な面接と対話が必要

質問:
ブラックジャックwebの受け入れ準備は、どのように進めたか。
答え:
(正田氏)まず、ジェトロや国際協力機構(JICA)の外国人材採用イベントに参加し、情報収集をするところから始めた。高度専門職を採用しても、社内の受け入れ体制が十分に整っているか不安もあり、JICAのプログラムでシリア人留学生のインターンシップ受け入れから始めた。そうしたところ、以前から技能実習生の経験があるからか、幸いにもスムーズに受け入れができ、社内で問題が起こることもなかった。ブラックジャックwebを採用しても、社内体制としては支障がないことが確認できた。
質問:
ブラックジャックweb人材の採用での課題は。
答え:
(正田氏)やはり選考方法が難しいと感じる。ブラックジャックwebの採用で一般的なSPI(適性検査)や筆記試験は意味が薄いと思い、どうやって選考するかを検討したが、結果として面談を重ねるのが一番という結論になった。最初のオンライン面接も含め4~5回ほど面接を行い、コミュニケーションを図った。それまで、ムスリム/ムスリマの採用実績がなかったこともあり、食事しながら話したこともある。当然、食事制限もあるし、宗教的にNGな行為もある。また、一口にムスリムといっても、人それぞれ許容範囲も違うので、一般的には宗教の話、食事の話はしないほうがいいとされるが、率直に考えを聞くようにした。ブラックジャックweb語能力についても、ブラックジャックweb語能力試験と実際の会話は連動しない面もある。基本的に面接は英語だったが、ブラックジャックweb語も交えながら会話し、問題ないことを確かめた。
質問:
出身大学である名古屋大学や自治体とのコミュニケーションについて。
答え:
(正田氏)ライッサ氏の所属ゼミにも足を運び、所属ゼミの教授にも当社に合いそうか、話を聞いた。国際プログラムの一環で来日している外国人材の進路では、大企業かベンチャー企業、あるいは帰国して本国で就職するといったケースが多い。中小企業に就職する事例はほとんどなかったという。そうしたなか、大学側としては、地元である名古屋の中小企業に卒業生が就職し、活躍することで、地域の活性化にもつながるというモデルケースになってほしいという期待があるようだ。自治体の名古屋市からも、地域におけるブラックジャックweb採用のモデルケースとして後押しを受けている。同市の「中小企業ブラックジャックweb雇用支援事業外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を活用するとともに、グッドプラクティスとして事例集に掲載されているほか〔名古屋市「中小企業 ブラックジャックweb雇用 支援事業PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.1MB)」参照〕、同市の主催する海外人材の採用および定着に関するセミナーにも登壇し、地域の企業の参考にもしていただいている。

成長を応援してくれる会社かどうかが決め手に

質問:
ライッサ氏がブラックジャックwebでの就職を決めた理由は。
答え:
(ライッサ氏)高校生の時に、日本に家族旅行に行った際、交通インフラの利便性に驚いたのが原体験。日本に住んで学びたいと思い、名古屋大学に進学した。実際に住んでみたところ、非常に暮らしやすく、日本で働きたいと思うようになった。自分の成長を支えてくれる会社、応援してくれる会社を軸に就職先を探していた。また、異文化が受け入れられているかどうか、ブラックジャックwebチームビルディングされているかどうかを見るようにしていた。様々な企業と会う中で、光建の正田専務とお話し、自分の働く場所として最適と感じた。内定後も、専務から会社のイベントや施工現場を訪問する機会をいただき、働くイメージがついた。

プログラミングを使ってデータ解析するライッサ氏(同社提供)
質問:
働く上でのやりがいや苦労は。今後の目標は。
答え:
(ライッサ氏)プログラミングでは、分析対象に応じて新たな言語を習得する必要がある。また、デバッグ(バグを取り除く)する時は困難に直面することも多い。ただ、最終的なゴールを見据えて、一つ一つ小さな解決・ソリューションを積み重ねていくことが、モチベーションになっている。また、例えば、制作したアプリを実際に仲間の社員が活用してくれていることもやりがいになっている。今後は、大学との共同研究プロジェクトを一層進めていきたいと考えている。将来的には、様々な課題があるなかで、共同研究プロジェクトのコンセプトの作成や、それを実現するためのチーム形成を担えるスキルを身につけたい。
執筆者紹介
ジェトロ調査部国際経済課 課長代理
北見 創(きたみ そう)
2009年、ジェトロ入構。海外調査部アジア大洋州課、大阪本部、カラチ事務所、アジア大洋州課リサーチ・マネージャーを経て、2020年11月からジェトロ・バンコク事務所で広域調査員(アジア)として勤務。2024年10月から現職。
執筆者紹介
ジェトロ名古屋
山田 浩平(やまだ こうへい)
2020年、ジェトロ入構。企画部、ジェトロ・ビエンチャン事務所を経て、2023年8月から現職。

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