電気自動車・ハイブリッド車への輸入関税減免措置を段階的に廃止

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年12月05日

開発商工サービス省傘下のブラジル貿易審議会(CAMEX、注1)は11月23日、20日付の決議第532号(2023年11月20日付)により、電気自動車(BEV)およびハイブリッド車(HEV)の輸入関税減免措置の段階的廃止を決定した。現時点では、BEVは輸入関税免税、HEVはエネルギー効率性によって税率が0~4%となるが(注2)、いずれの税率も2024年1月1日から2026年7月1日まで段階的に35%に引き上げられる。同時に、関税割当制度が導入され、割り当てられた金額分以内の輸入は免税で行うことができるが、同無税枠も段階的に縮小・廃止される(添付資料表参照、注3)。

開発商工サービス省は11月23日付公式サイトで、段階的廃止の引き上げの理由としてBEVやHEVの国内生産を促進することにより脱炭素化を加速化し、ブラジルの新工業化を実現することを挙げた。今回の決議内容は11月10日付同公式サイトですでに発表されており、全国自動車製造業者協会(Anfavea)は11月10日付リンクドインの公式アカウントにて、BEVおよびHEVの輸入税率見直しを評価するとコメントした。一方、ブラジル電気自動車協会(ABVE)は同日付リンクドインの公式アカウントで「(今回の決定は)投資や市場全体に悪影響を与えるだろう。BEVとHEVの販売価格は上昇していくと思われる」と批判的な立場をとった。

(注1)CAMEXは、ブラジル国内で課される関税率を決定する権限を持つ。

(注2)ブラジルは、南米南部共同市場(メルコスール)の関税同盟に属しており、原則としてメルコスールの対外共通関税率表に縛られる(上げることも下げることもできない)。しかし例外的に、国ごとに特別関税を設けることができる。その1つ「例外品目リスト(LETEC)」に、ブラジルは2014年以降、HEVを含めており、エネルギー効率性に合わせて減税措置を導入した。2015年以降、BEVもLETECに含めており、無税としている。

(注3)開発商工サービス省貿易統計(Comex Stat)によると、2023年(10月時点)には、BEVの輸入額は合計4億141万2,792ドル、プラグインハイブリッド車(PHEV)は7億8,467万4,446ドル、HEVは2億9,922万2,812ドル。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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