世界のクリーン水素プロブラック ジャック やり方 カジノクトの現状と課題コスト減と購入者確保が課題
ブラジルのグリーン水素投資(1)

2024年10月25日

世界のエネルギー転換が進む中、再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解して生成するグリーン水素への期待が高まっている。中でも、電源構成の大部分を再生可能エネルギーが占めているブラジルへの注目が集まっている。

2023年のブラジルの電源構成は、水力発電が58.9%、風力発電が13.2%、バイオマスが8%、太陽光発電が7%と、再生可能エネルギーが9割弱を占めている(図1参照)。このような背景から、米国の大手コンサルティング会社マッキンゼー(マッキンゼーのウェブサイト参照(ポルトガル語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます )は、ブラジルがグリーン水素生産大国の1つになる可能性が高いと予測している。同社はまた、水素事業による売り上げは2040年までに合計200億ドルに達するとの見通しを示している。米調査会社ブルームバーグNEF(ブルームバーグNEFのウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、ブラジルが2030年までに世界で最も生産コストの低いグリーン水素を提供できる可能性もあると分析している。

本レポートの前編では、投資計画が数多く発表されている現状を概観し、後編では、政府の取り組みと今後生産される予定の水素の行き先について報告する。

図1:ブラジルの電源構成(2023年)
水力は58.9%、風力は13.2%、バイオマスは8.0%、太陽光は7.0%、天然ガスは5.3%、輸入電力は2.1%、原子力は2.0%、石炭は1.9%、石油は1.5%。

出所:エネルギー調査公社(EPE)からブラック ジャック やり方 カジノ作成

プロブラック ジャック やり方 カジノクトの現状と課題

ブラジルでは2021年以降、水素関連プロブラック ジャック やり方 カジノクトが相次いでいる。全国工業連盟(CNI)が8月26日に公表した報告書によると、水素生産関連計画は66件存在し、総投資予定額は約366億ドルに上る。そのうち44件は北東部で実施される予定だ(図2、表参照)。北東部は風力発電と太陽光発電の両方に高いポテンシャルを有し(注1)、風力発電の発電量が日中に減少しても、太陽光発電で補うことが可能だ。また、北東部は大西洋に面しているため、欧州や米国への輸出も円滑に行うことができる。

図2:地域別の水素関連プロブラック ジャック やり方 カジノクトの案件数 (2024年8月時点)
ブラック ジャック やり方 カジノ

出所:ブラジルの全国工業連盟(CNI)

表:投資額が発表されたプロブラック ジャック やり方 カジノクト案件(-は値なし)
企業名 投資額
(100万ドル)
生産能力
(トン/年)
Qair(フランス) セアラ州 6,950 488,000
Enegix Energy(オーストラリア) セアラ州 5,400 600,000
Fortescue (オーストラリア) セアラ州 5,000 305,505
Casa dos Ventos(ブラジル) ピアウイ州 4,000 365,000
Qair(フランス) ペルナンブコ州 3,800 488,000
Fortescue (オーストラリア) リオデジャネイロ州 3,200 250,000
Alto dos Ventos(ブラジル) リオグランデ・ド・ノルテ州‎ 2,519
Transhydrogen Alliance(オランダ) セアラ州 2,000 500,000
Ingenostrum(スペイン)Total Eren(フランス) セアラ州 1,500
Unigel(ブラジル) バイーア州 1,500 100,000
GoVerde(ブラジル) セアラ州 581.4 178,850
UNIFEI(ブラジル) ミナスブラック ジャック やり方 カジノライス州 39 47
Unipar(ブラジル) サンパウロ州 19.4
CEI Energética(ブラジル)Porto Central(ブラジル) エスピリトサント州 19.4
Shell (英国) サンパウロ州 9.7 390
Furnas(ブラジル) ミナスブラック ジャック やり方 カジノライス州 9.7 10
Companhia Siderúrgica Nacional(ブラジル) ミナスブラック ジャック やり方 カジノライス州 8.72
EDP (ポルトガル) セアラ州 8 2,000
Eletronorte(ブラジル)SENAI(ブラジル) アマゾナス州 2.33

出所:ブラジルの全国工業連盟(CNI)、エネルギー調査公社(EPE)、各プロブラック ジャック やり方 カジノクトの公式リリース

北東部に位置するセアラ州では特に多くの水素関連プロブラック ジャック やり方 カジノクトが進行中だ。2021年2月に発足した「グリーン水素ハブ計画」により、ペセン港湾工業団地(CIPP)を中心に、39のグリーン水素関連の開発計画の覚書(MoU)が発表されている()。CIPPによると、ブラジルは2030年までに、オランダのロッテルダム港を通じて、年間100万トンのグリーン水素を欧州に輸出することを目指している(注2)。セアラ州に加え、同じく北東部のペルナンブコ州に位置するスアペ港も、グリーン水素ハブの構築を計画しており、17のMoUが発表されている。同港では、ドイツのリンデグループのブラジル子会社ホワイトマーティンスが2022年12月に小規模のプラントを稼働させた。同社が生産するグリーン水素は、ドイツに本拠を置く独立の試験・検査・認証機関のテュフラインランドから第三者認証を取得し、現時点で年間に156トンのグリーン水素が生産されている。

北東部は44件、南東部は16件、南部は5件、北部は1件。
セアラ州のCIPP(ブラック ジャック やり方 カジノ撮影)

ただ、ブラジルでのグリーン水素の大量生産はまだ実現しておらず、計画中止になったケースもある。例えば、ブラジルの化学品メーカー、ウニブラック ジャック やり方 カジノルは2022年7月、1億2,000万ドルを投資して北東部のバイーア州にグリーン水素大量製造プラントを設置する計画を発表したが、2023年7月に同社が膨大な負債を抱えていることが判明し、計画は中止となったことが報じられた(4月15日付現地紙「バロール」)。

また、進行中のプロブラック ジャック やり方 カジノクトでも不確定要素が多く、電力コストや税負担の問題が指摘されている。例えば、オーストラリアの鉄鉱石大手フォーテスキューは2021年7月にセアラ州のCIPPで50億ドル規模の水素生産計画に関する覚書をセアラ州政府と締結し、2023年11月に環境ライセンスを獲得したが、最終投資決定(FID)はまだ行われていない(注3)。フォーテスキュー・ブラジルのルイス・ビガ社長は4月10日付の現地紙「エスタード」のインタビューで、「電力コストが下がらない限り、計画の実施は難しい。税の負担も減らすべきだ」と述べている。

同紙によると、高額な電力コストに加え、水電気分解技術の高いコスト(注4)も、グリーン水素関連プロブラック ジャック やり方 カジノクトの大きな壁となっている。こうしたコストを低下させるため、フォーテスキューをはじめ多くの水素関連事業者は、電力にかかる税制優遇や水素生産に必要な機器購入のための低金利融資といった政府の支援策を求めている。

さらに、グリーン水素の需要がまだ小さく、水素を購入するオフテイカーが見つからないことも、大きな問題として指摘されている。資金調達のためには、オフテイカーの確保が不可欠で、この課題についても政府への期待は大きい。例えば、ティッセンクルップ・ニューセラ・ブラジルのパウロ・アルバレンガ社長は4月10日付の現地紙「エスタード」のインタビューで、ブラジル政府が実施するエタノール支援策のような措置を提案している。これは、エタノールの需要と消費を拡大する目的で、政府が1970年代からガソリンへのエタノール混合を義務付けているものだ(注5)。アルバレンガ社長は同様に、ブラジルで販売されるアンモニアなど化学品へのグリーン水素混合を義務化することも可能だと主張している。

ブラジルグリーン水素事業者協会(ABIHV)、ブラジル太陽光発電協会(Absolar)、ブラジル風力エネルギー協会(ABEEólica)などのグリーン水素関連業界団体も、政府による支援の重要性を訴えている。Absolarのカミラ・ラモス副会長は2月27日に上院議会で開催された討論会で、「初期段階では、政府による一時的なインセンティブが不可欠だ」と述べた。ABIHVのフェルナンダ・デルガド理事も「グリーン水素のコスト低減を可能にするのは、政府からのインセンティブだ」と述べている。

後編では、政府の取り組みについて報告する。


注1:
ブラジル風力エネルギー協会(ABEEólica)が2023年8月に発表した資料によると、北東部は風量が多く、方向も風速も一定の幅で安定しており、風力発電に適しているとされている。また、国立宇宙研究院(INPE)が2017年7月に発行した資料では、太陽光発電事業を展開する条件として、日射量が特に重要で、北東部の1日当たりの日射量はブラジルで最も高いとされている。
注2:
ロッテルダム港はCIPPの株式の30%を保有している。
注3:
ブラジルでFID(最終投資決定)が行われたグリーン水素の生産計画は中止となったウニブラック ジャック やり方 カジノルの案件のみ。
注4:
7月24日付のブルームバーグNEF公式サイトによると、水素製造用の電気分解技術は初期段階にあり、大量生産によってコスト削減可能となるまでは時間を要するとされている。また、6月26日付の現地紙「バロール」によると、インフレや電気分解技術開発へのインセンティブ資金投入の遅れが影響し、電気分解装置価格がここ2年間で上昇している。
注5:
ブラジルにおけるガソリンへのバイオエタノール混合義務比率は27%。

ブラジルのグリーン水素投資

執筆者紹介
ブラック ジャック やり方 カジノ・サンパウロ事務所
エルナニ・オダ
2020年、ブラック ジャック やり方 カジノ入構。現在に至る。
執筆者紹介
ブラック ジャック やり方 カジノ・サンパウロ事務所
中山 貴弘(なかやま たかひろ)
2013年、ブラック ジャック やり方 カジノ入構。機械・環境産業部、ブラック ジャック やり方 カジノ三重、ブラック ジャック やり方 カジノ・サンティアゴ事務所、企画部海外地域戦略班(中南米)、内閣府などを経て、2023年7月からブラック ジャック やり方 カジノ・サンパウロ事務所勤務。