日ASEAN経済共創フォーラム2024、AI共創も経済成長の鍵に

(日本、ASEAN、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)

調査部アジア大洋州課

2024年12月26日

ASEAN経済共創フォーラム20241220日、東京都内で開催された。日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)が主催し、経済産業省、ASEAN事務局や日ASEANの経済団体、研究機関などが共催した。同フォーラムは「次世代自動車」「人工知能(AI)」「グリーントランスフォーメーション(GX)」の3分野に焦点を当て、日本とASEAN諸国の官民関係者が一堂に会した。地政学的リスクが高まる中、持続可能な成長とイノベーション促進に向けた議論が行われ、強固な信頼関係を基盤に現代の主要課題を共有する場となった(関連ブラック ジャック トランプ)。

ASEANの共創を支えるAIの可能性

AIセッションでは、日ASEANを代表する官民および専門機関のリーダーが登壇し、AIがもたらす経済的影響や課題について議論が交わされた。このなかで、AI2030年までにASEANGDP1018%押し上げ、約1兆ドルの経済効果を生む可能性があると強調された。セッション内で取り上げられた「AI規制枠組み構築の課題」のテーマでは、シンガポールとマレーシアがASEANで率先してAIガバナンスを整備している現状が共有された。また、ガバナンスがイノベーションを阻害しないよう、バランスを取る重要性が指摘された。さらに、ASEAN各国で異なる規制を導入する可能性があり、それによる統一性の欠如が課題となることから、日本がこの統一性確保を支援する役割を果たしてほしいとの期待が示された。

AIの利用」のテーマでは、登壇者はまずAIのトライアル実施の必要性を強調し、そのためにサンドボックス(注)を活用したAIトライアルが提案された。特に、教育、ヘルスケア、モビリティといった幅広い分野での活用が進められるべきとコメントした。

また、ASEANにおけるAI普及には、政府、財閥、大学との連携が欠かせないとの見解が共有された。スタートアップ進出には官民による協力が重要で、ジェトロのような支援機関が大きな役割を果たしているとの声も上がり、日系企業の登壇者からは、「現地で社外パートナーを見つける上で、非常に助けになる」との意見が出された。

写真 AIセッションの様子(トランプ ゲーム ブラック ジャック撮影)

AIセッションの様子(ジェトロ撮影)

AIを中心としたデジタルトランスフォーメーションは、ASEAN経済圏の成長を加速させる一方で、規制の整備や国際協力が重要だ。日本とASEANは、技術支援や人材育成を通じて互いに協力し、AI共創による新たな経済成長モデルの実現を目指すことが期待されている。

(注)イノベーション促進のために、一時的に規制の適用を停止するなど、新たなビジネスの実証実験を実現する仕組みを設ける制度。

(近藤皐平)

(日本、ASEAN、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)

ビジネス短信 d21c9a6e526ae173