ラオス、無料カジノゲーム
8年ぶりの改正で投資優遇分野を見直し
2025年2月3日
ラオス政府は2024年6月28日付で「改正無料カジノゲーム(No.62/NA)」(ジェトロ抄訳、以下、2024年無料カジノゲーム(1.6MB))」を発布し、同年12月16日から施行した。同法は2016年11月17日付「無料カジノゲーム(No.14/NA)」(以下、2016年無料カジノゲーム)」を8年ぶりに改正したもので、2016年無料カジノゲームを骨子としつつも、投資優遇業種や駐在員事務所の条件など多くの点で変更が加えられた。また、関連するガイドラインなどが重層的に発布され、複雑化していた内容を整理した。
本稿では、2024年無料カジノゲームおよび関連法令について、日本企業による新規投資を検討する際の重要なポイントについてまとめる。
優遇分野を一部変更
2016年無料カジノゲームでは、国家開発のために投資を奨励したい分野を特定し、特別な優遇措置を供与してきた。2024年無料カジノゲーム第9条においても、その多くの項目が2016年無料カジノゲーム第9条から引き継がれた(表1参照)。ただし、一定の投資が進んだ政策銀行やマイクロファイナンス、ショッピングセンター・展示場の開発や、基準が不明瞭であった地方の開発・貧困解決に資する事業は、今回の優遇分野から削除された。
一方で、環境に優しい加工業を推進し、輸入を抑制して国内生産を増強するために、飼料・肥料生産や、その他農業に必要な資材の生産、輸出商品の生産を追加した点は注目される。また、都市化が進むにつれて課題となる公共インフラ整備をすすめるため、例えば、上水道、下水処理、廃棄物処理サービスが優遇分野として明記された。旅客・商品輸送やドライポートなどのロジスティクス部門と経済特区(SEZ、注1)も追加された。これまで定められていた最低投資額やラオス人の最低雇用者数などの条件は削除されている。なお今後、各優遇分野の具体的な事業や条件は整理され、ガイドラインが発行される予定である。
2016年無料カジノゲーム第9条 | 2024年無料カジノゲーム第9条 |
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2.クリーン農業、無農薬、作物品種・動物品種の生産、工芸作物栽培、森林開発、環境・多様性の保全、地方の開発・貧困解決に資する事業 | 1.クリーン農業、作物品種・動物品種の生産、工芸作物栽培、森林開発、環境生物多様性保全 |
3.環境に優しい農産物加工、国の伝統・独自な工芸品の加工 | 2.農産物加工や環境に優しいその他の加工業、飼料・自然肥料・有機肥料・化学肥料・その他農業に必要な資材の生産、国家の伝統・独自な工芸品の生産、一郡一品(ODOP)製品、輸入代替・輸出商品の生産 |
6.近代的病院、製薬工場、医療機器工場、伝統薬の生産と治療 | 3.病院、製薬・医療機器工場、伝統薬の生産と治療 |
5.教育、スポーツ、人的資源開発、職業技術開発、職業訓練所、教材・スポーツ用品の生産 | 4.教育、スポーツ、職業技術開発、教材・スポーツ用品の生産 |
1.ハイテク・近代技術、科学技術の研究、研究開発(R&D)、イノベーションの利用、天然資源やエネルギー節約に資する環境に優しい事業 | 5.デジタル技術を使用した事業、R&D、天然資源やエネルギーの節約に資する環境に優しいイノベーションの使用 |
4.環境に優しく持続的な自然・文化・歴史観光産業の開発 | 6.環境に優しく持続的な自然、文化、歴史観光産業の開発 |
7.都市の交通渋滞緩和や居住地域整備のための公共サービス・インフラ投資・開発・運営、農業・工業用インフラ建設、商品輸送サービス、越境サービス | 7.公益に資するインフラ投資、サービス、開発。例えば、国道や鉄道の建設、上水道、下水処理、廃棄物処理サービス |
― | 8.特別経済区および特定経済区内への投資を受けるためのインフラ開発(注1) |
7.を参照 | 9.ロジスティクス、商品輸送、国境倉庫システム、ドライポート、トランジットやクロスボーダーサービス、陸・水・鉄道・空路による旅客・商品輸送 |
8.銀行融資を受けることが難しい国民やコミュニティの貧困解決のための政策銀行およびマイクロファイナンス | ― |
9.国産品や世界的に有名なブランドの販売を促進する近代的なショッピングセンターの開発・運営、工業・手工芸・農業分野における国産品の展示場の開発・運営 | ― |
注1:特別経済区と特定経済区の定義は冒頭のジェトロ抄訳を参照。
注2:太字は、2024年無料カジノゲームで追加または削除された箇所。また、表中の数字は各無料カジノゲーム第9条における条項を指す。
出所:ラオス政府の発表を基にジェトロ作成
これら優遇分野への投資は内国・外国投資を問わず、税制上のさまざまな恩典を受けられるが、法人税優遇措置は表2の通りまとめることができる。全国を2つの地区に分類し、従来通りインフラの不便な遠隔地への投資に対し、より手厚い優遇を供与する。変更点として、2016年無料カジノゲームではSEZを第3地区としていたが、2024年同法では第3地区を廃止し、それぞれ第1、2地区の中にSEZを設置する考えに変更された(第10条)。
地区 | 2016年無料カジノゲームおよび2018年SEZ政府令(注) | 2024年無料カジノゲーム |
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第1地区 社会経済インフラの利便性が低い地区 |
最大10年免除
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最大10年免除
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第2地区 社会経済インフラの利便性が高い地区 |
最大4年免除
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最大4年免除
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第3地区 経済特区(SEZ) |
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第3地区を廃止し、それぞれ第1、2地区の中に特区を設置 |
注:2018年6月7日付「経済特区に関する政府令(No.188/GV)」を指す。2024年無料カジノゲームの公布により、本政府令は破棄されると理解される。
出所:ラオス政府の発表を基にジェトロ作成
法人税優遇措置については、特にラオス政府が投資を促進したい分野である第9条1、2、3の事業に対し、免除期間を最大とする点は維持された(第11条)。大きな変更点は、教育セクターへの投資について、全投資期間を通して法人税が免除される点である。これは、ラオス政府が人材育成への民間投資に大きく期待しているためであろう。一方、2018年SEZ政府令でデベロッパーや入居企業の一部に付与していた5年間の通常税率から35%減税する優遇付与は廃止されたと理解される。これまで世界銀行などは財政再建のために、優遇税制を見直す歳入改革の必要性を指摘しており(関連ブラック ジャック ディーラー ルール)、過剰な優遇を廃止したものと見られる。
ただし、ここでの条文は、基本的に新規に設立されるSEZに適用される点に留意が必要である。既存のSEZは設立時のデベロッパーと政府間との契約に応じて、優遇の内容はSEZ別に異なっており、本規定より大幅に良い優遇が与えられているのが実態である。このような背景もあり、第64条では政府が特に奨励したい新たな工業団地やハイテクゾーンなどは本法を越えた優遇を与えるとしているが、国会による承認が必要だ(第49条)。
関税その他の税制優遇
2024年無料カジノゲームにおける関税上の優遇への方針には、2016年無料カジノゲームから大きな変更はなく、第12条で1)固定資産となる、国内で供給が不可能な器機や生産に直接使用する車両機械は関税が免除、2) 輸出のための生産に使用する原料、鉱物、器具材料、部品は関税支払いが一時停止されるとしている。一方で、新たに3) 輸入代替を目的に、国内販売向けの生産に使用する原料、鉱物、物資、部品は関税支払いを免除とした点が注目される。これまでは、国内販売向けの加工用原料には、通常の関税が課税されていた。ただし、ラオス政府は輸出を促進し、国内生産が可能な品目の輸入抑制を進めており、本措置もその一環とみられる。そのため、1)と同様に国内で供給が不可能な原料などに限定されると見られる。個人所得税では、奨励セクターの専門家に対し、個人所得税を5%の固定税率とする点が新しい(注2)。
また、付加価値税についての優遇は、2024年無料カジノゲームでは付加価値税法に従うとのみ言及された(注3)。このため、SEZにおける付加価値税の取り扱いは、デベロッパーと政府間の契約に記載がない場合、新たに税務当局との調整が必要になるかもしれない。繰越欠損金は従来3年間の繰り越しが可能であったが、1年間に削減された(第14条)。
駐在員事務所は大臣合意で商社を想定した第3類を新設
駐在員事務所については、2024年無料カジノゲームでは、商社を想定して新たに、親会社のビジネス・投資・貿易・サービス活動のフォローを目的とする設立が認められた(第55条)(注4)。具体的には、無料カジノゲームの改正作業と並行して策定された2024年7月25日付「外国法人の駐在員事務所の設立と管理に関する計画投資省大臣合意(改正)(No.1839/MPI)」(ジェトロ抄訳(763KB))に規定されている。この大臣合意では、第3種として、商社に代表されるような多国籍企業は、親会社とラオスの個人・法人・政府・民間機関との調整役を担う駐在員事務所の設立が新たに認められた(第5条)。
また、期限は、第1種で3年間まで、第2種で政府との契約期間内とされていたが、第3種では1回あたり3年までとしつつも繰り返し延長が可能となった(大臣合意第13条)。一方で、駐在員事務所には従来通り直接的な売り上げや利益をもたらすビジネス活動は認められない点(大臣合意第5条)に留意が必要である。
投資認可プロセスも明確化、追加規則が待たれる条項も
以上、2024年無料カジノゲームの主要な項目について整理を行ったが、その他にも以下のような、重要な変更点を指摘できるであろう。
- 投資認可プロセスを整理して明確化した。
- 地方分権化の一環として、一部の許認可権を中央政府から地方政府(都・県)に移管し、特に一般的なコンセッション(国土の借地や公共施設等運営権を受けること)事業は県レベルの承認、戦略的な「特定」コンセッション事業のみ中央レベルの承認とするとした(第45条)。
- 国会・地方議会の承認が必要な事業を整理した(第49~50条)。
- 登録資本金の持ち込み期限を明確化した(第53~54条)。
- 特別経済区とは別に、特定経済区の概念を復活させた(第61条)。
ただし、一部の条項の施行にあたっては、追加規則の発布が待たれる。無料カジノゲームを管轄する計画投資省では、既に2024年無料カジノゲームに沿った新たなネガティブリスト事業およびコンセッション事業リストに関する政府令や、中央と地方の役割分担に関する大臣合意などを起草している。引き続き、無料カジノゲーム関連規則の動きに注目したい。
- 注1:
- 経済特区(SEZ)とは、特別経済区(Special Economic Zone)、特定経済区(Specific Economic Zone)の総称。
- 注2:
- 個人所得税は通常、累進課税で最大25%が課税される。各種税制は、カジノ 無料 ゲームのサービスを参照のこと。
- 注3:
- 2021年8月7日付「税法関連法の一部条項改正に関する法(No.01/NA)」では、付加価値税の免除項目として、畜産飼料、農加工品原料、肥料、農業用資材機会、輸出のために使用する原料、鉱物、資材、部品などが規定されている。
- 注4:
- これまでは、第1種として、外国企業がラオスへの投資を検討する可能性調査のため、および第2種として、コンセッション事業の可能性調査やODA事業のフォローのために設立が認められていた。

- 執筆者紹介
- ジェトロ・ビエンチャン事務所
山田 健一郎(やまだ けんいちろう) - 2015年より、ジェトロ・ビエンチャン事務所員