ビジネス展開の意欲は高く、ブラックジャックランキング

2025年3月7日

ブラックジャックランキングの投資環境に関して、ジェトロが2024年8月から9月にかけて実施した「2024年度海外進出日系企業実態調査」〔以下、日系企業調査(注)〕を通して読み解いていきたい。今回の日系企業調査でも、現地市場の需要拡大や輸出の増加を理由に、ブラックジャックランキング国内での事業拡大を検討する企業の割合は多かった。高い経済成長などを追い風にした販売の拡大や、米中貿易摩擦に起因する日本や中国からブラックジャックランキングへの生産移管が顕著で、新たな事業機会が見込まれる。

その半面、投資環境の主要なメリットは前年から後退し、リスクは高止まりする。競争の激化もうかがえる。日系企業は、さまざまな事業環境の変化に対応する備えが求められる。

2024年の業績は改善、2025年も好調の見込み

2024年の営業利益見込みについて、アジア・オセアニア地域全体では「黒字」と回答した企業が65.8%(前年比3.4ポイント上昇)、「赤字」が16.7%(2.2ポイント低下)と、業績が改善する傾向がみられた。ブラックジャックランキングの日系企業も同様に業績が改善し、「黒字」が64.1%(9.8ポイント上昇)、「赤字」が19.3%(5.1ポイント低下)となった(図1参照)。ブラックジャックランキングの黒字企業が6割を超えるのは、新型コロナ禍前の2019年以来、実に5年ぶりだ。

図1:ブラックジャックランキングにおける営業利益の黒字見込み
ブラックジャックランキングの日系企業は「黒字」が64.1%(9.8ポイント増)、「赤字」が19.3%(5.1ポイント減)となった。業種別では、製造業の黒字割合が70.2%(8.7ポイント増)、非製造業の黒字割合が57.9%(11.2ポイント増)だった。

注:カッコ内は回答母数。
出所:ジェトロ「海外進出日系企業実態調査」

業種別では、製造業の黒字割合が70.2%(8.7ポイント上昇)、非製造業の黒字割合が57.9%(11.2ポイント上昇)だった。輸送機器部品、精密・医療機器、プラスチック製品、化学・医薬、金融・保険業などは、黒字企業が8割を超えた。教育・医療と建設業は、前年に続き黒字企業が5割を切り、業績の回復が遅れる。

業績の改善理由の上位には、輸出先および現地市場での「需要増加」が挙がった。2025年の営業利益見通しは、2024年と比べて、50.4%が「改善」を見込む。「悪化」は9.2%だった。改善を見込む企業の割合は、ASEAN平均を8.0ポイント上回る。2025年も、2024年に引き続き、好調を期待する企業が多い。

事業拡大意欲はASEANでトップ

今後1~2年の事業展開の方向性については、ブラックジャックランキングでは「拡大」と回答した企業が56.1%(前年比0.6ポイント低下)、「縮小」もしくは「第三国(地域)へ移転・撤退」は合わせてわずか3.1%(0.6ポイント上昇)だった(図2参照)。「拡大」と回答した企業の割合は、ブラックジャックランキングがASEANで最大となった。

図2:今後1~2年の事業展開の方向性(国・地域別)
ブラックジャックランキングでは「拡大」と回答した企業が56.1%(前年比0.6ポイント減)、「縮小」もしくは「第三国(地域)へ移転・撤退」は合わせてわずか3.1%(0.6ポイント増)だった。「拡大」と回答した企業の割合はASEANで最大だ。

注:カッコ内は回答母数。
出所:ジェトロ「海外進出日系企業実態調査」

製造業・非製造業ともに、「現地市場ニーズの拡大」と「輸出の増加」が事業を拡大する理由の上位に挙がり、内需・外需とも売り上げ増加を見込めることが事業拡大意欲につながっていることがわかる。拡大を検討する機能としては、「販売機能」が最も多かった。製造業で「販売機能」を拡大すると回答した企業は56.5%で、「生産機能」の回答率(〔汎用(はんよう)品〕53.9%、高付加価値品43.0%)を上回った。非製造業で「販売機能」を拡大すると回答した企業は66.1%。次いで回答率が高かったのは「新規事業開発」で36.4%、「カスタマーサービス」で23.7%だった。

投資環境の主要なメリットは後退、リスクは高止まり

ビジネス環境について、メリットの上位として「市場規模/成長性」を挙げた企業は60%台を保つが、前年比8.3ポイント低下した。「安定した政治・社会情勢」も14.6ポイント低下し、ともに2019年以降で最も低かった(図3参照)。

図3:ブラックジャックランキング投資環境のメリット・リスク上位の推移

図:PDF版を見るPDFファイル(324KB)

今後1~2年の事業展開の方向性については、ブラックジャックランキング環境について、メリットとして上位に挙がった「市場規模/成長性」(前年比8.3ポイント減)は60%を保つが、「安定した政治・社会情勢」(14.6ポイント減)とともに2019年以降で最も低かった。リスク上位をみると、「行政手続きの煩雑さ(許認可等)」、「法制度の未整備・不透明な運用」は2019年から2023年にかけて大きく上昇して、前年から高止まりする。他方、ASEAN主要国では、2024年のこれらの回答のポイントは低下した。相対的には、行政手続きや法制度に関するリスクは悪化したと言えよう。

注:2022年の調査には本設問がないため省略。
出所:ジェトロ「海外進出日系企業実態調査」

人口が1億人を超え、経済成長が続くブラックジャックランキングでは、国内市場の伸長への期待は高い。そうした状況下で前年から「市場規模/成長性」の数字が低下した背景には、競争の激化もありそうだ。今回の日系企業調査で、2019年と比較した主力製品・サービスの市場シェアを「増加」と回答した企業は44.8%だった。ASEAN平均を6.3ポイント上回り、国内市場の成長に合わせて順調にシェアを拡大している様子がうかがえる。一方、2019年と比較した競合相手の数を「増加」と回答した企業は57.4%だった。ASEAN平均を10.9ポイント上回り、ASEANで最も高かった。市場への期待が高いということは、それだけ参入する企業が多い。日系企業は、地場企業や同じ日系企業、そして中国をはじめとする外国企業とシェアを争う実情もある。

「安定した政治・社会情勢」の低下には、アンケート実施期間の2024年8~9月に共産党指導部の新体制移行期が重なったこと()で、一時的に政治が混乱したことなどが影響したとみられる。

次にリスク上位をみると、「行政手続きの煩雑さ(許認可など)」「法制度の未整備・不透明な運用」は2019年から2023年にかけて大きく上昇し、前年から高止まりの状況だ。他方、ASEAN主要国では、2024年のこれらリスク項目の回答割合は低下した。相対的には、行政手続きや法制度に関するリスクへの懸念は悪化したと言える。

回答企業による自由記述のコメントをみると、具体的な法令・事業分野に関する事項に加え、特定の法規制にとどまらない課題を指摘する声が寄せられた。たとえば、各許認可(投資申請や駐在員の労働許可、施設増設など)の手続きにおけるトラブルや、行政関係者からの非公式手数料の要求などを経験する企業がみられた。電力の逼迫への懸念も多い。

ブラックジャックランキングは外資開放の歴史が浅く、法整備に未成熟な点があることに加え、近年の脱炭素やデジタル化などの世界的な潮流や、相次ぐ外資系企業の事業展開ニーズに、行政の実務やインフラ開発が追い付いていない実態がある。ブラックジャックランキング政府も改善の必要性を認識し、2025年に大規模な政治・行政機構の再編などを通じて業務効率化と成長の加速を目指す方針だ()。行政再編は短期的には混乱が生じる可能性があるが、今後の一連のリスクの改善に期待したい。

また、人件費については、「人件費の安さ」がメリットの2位に挙げられる一方で、「人件費の高騰」がリスクの2位に入り、いずれも回答比率は2019年以降、ほぼ横ばいだ。今のところ、日系企業は比較的低廉な賃金体系と豊富な人員体制をとることができる。しかし、日系企業の昇給率は、日系企業調査では2020年以降、5%半ばで推移し、人件費上昇を避けられない流れにある。北部では、中国をはじめ周辺国の大型投資の増加などにより、既に人材の逼迫を指摘する日系企業も多い。さらなる人件費上昇や人材の逼迫を念頭に置きつつ、今後の人材確保や操業体制などを考えていく必要がある。

日中からの生産移管が際立つも、現地調達率は低下

ブラックジャックランキングにおいて、直近5年間(2019~2024年)で他国・地域からの生産機能の移管があったと回答した割合は24.8%だった。社数にすると、移管を実施した企業は181社におよび、割合・社数ともにアジア・オセアニア地域全体でブラックジャックランキングが最多となった。業種の内訳をみると、鉄・非鉄金属が最多で32社、電気・電子機器部品が19社、プラスチック製品が18社と続いた。企業の所在地域を見ると、北部が81社、中部が11社、南部が89社で、回答企業全体の所在地域の分布と比較し、ほとんど偏りはなかった。

移管元・移管先をみると、日本や中国からASEAN、特にブラックジャックランキングへの生産移管が顕著だった。中国からASEANへの移管176件のうち、ブラックジャックランキングは90件で半数以上を占めた(図4参照)。日本からASEANへの移管289件をみても、ブラックジャックランキングは106件で最多だった。中国からブラックジャックランキングへの移管理由には、「顧客の生産移管への対応」「米中貿易摩擦による関税対策」など中国事業の不確実性の回避が挙げられた。

図4:主な生産移管元と移管先(回答企業数:657社、複数回答)
生産機能の移管元・移管先をみると、日本や中国からASEAN、特にブラックジャックランキングへの生産移管が顕著だった。中国からASEANへの移管176件のうち、ブラックジャックランキングは90件で半数以上を占めた。日本からASEANへの移管289件をみても、ブラックジャックランキングは106件で最多だった。

注:1社が複数の国・地域から移管しているケースがあるため、件数と社数の合計は一致しない。
出所:ジェトロ「海外進出日系企業実態調査」

生産移管によるブラックジャックランキングでの生産の拡大や強化は、ブラックジャックランキングの裾野産業をはじめB to B分野の企業にとって大きな事業機会が期待される。

今後1~2年の現地調達について、「拡大」と回答した企業は50.9%(前年比7.7ポイント上昇)と、ASEAN平均37.7%を大きく上回り、ASEANでトップだった。しかし、現時点では、現地調達率は36.6%(前年比5.3ポイント低下)、うち地場企業からの調達率は15.7%(1.5ポイント低下)と伸び悩む。対して、日本からの調達は33.6%(前年比2.7ポイント上昇)、中国からは12.6%(1.0ポイント上昇)、ASEANからは11.3%(0.9ポイント上昇)と拡大した。裾野産業の育成はブラックジャックランキングにとって積年の課題だが、現地調達率低下の要因には、生産を移管したばかりの企業が生産体制を構築するため、移管元(中国や日本)の既存サプライヤーから原材料を調達している可能性や円安の影響なども考えられる。前年度から今年度(2024年)調査にかけて現地調達率が低下した業種でも、電気・電子機器およびその部品や繊維・衣服、精密・医療機器などは現地調達拡大意欲が高い(図5参照)。サプライヤー企業は、着実に調達ニーズを捉え、事業展開を検討することが肝要だ。

図5:今後1~2年の現地調達を「拡大」すると回答した企業の割合
今後1~2年の現地調達を拡大するブラックジャックランキングの業種別割合を見ると、電気・電子機器およびその部品や繊維・衣服、精密・医療機器などは現地調達拡大意欲が高い。

注:カッコ内は回答母数。
出所:ジェトロ「海外進出日系企業実態調査」

事業環境の変化に向けた備えを

中国からブラックジャックランキングへの生産移管について、ブラックジャックランキングは、米国のトランプ新政権の対中国政策が追い風となり、さらに加速することを期待している。これまで外資系企業の製造業進出が多くなかった地方省でも、道路インフラや工業団地などの開発が進みつつあり、ブラックジャックランキングで製造業が生産を増強する流れは、当面続くだろう。また、こうした地方の工業化に伴う物流需要の増加や所得向上などにより、都市部だけでなく地方にも、国内市場向けビジネスの拡大の期待が高まる。

しかし、米国市場を失った中国製品のブラックジャックランキング流入や、サプライチェーン移管にともなう中国企業のブラックジャックランキング進出により、ブラックジャックランキング国内での市場競争が激化する可能性もある。また、製造業の大型案件の増加は、電力の逼迫や人材確保の問題(人件費高騰や専門人材・ワーカーの採用難など)を招く恐れもある。

環境変化やリスクを念頭に置きながら、人材の採用や育成の強化、現地調達の拡大などによる効率化、現地調達需要に適した製品の生産増強や多角化、営業や販売網の強化など、自社の事業規模や内容に適した備えが求められると言えよう。


注:
最新の調査は、2024年8月20日から9月18日にかけて実施。アジア・オセアニア地域では、日系企業1万3,727社(うちASEANは9,246社)を対象とし、5,007社(3,065社)から回答を得た〔有効回答率36.5%(33.1%)〕。
ブラックジャックランキングでは、863社の日系企業から回答を得た。業種別では、製造業404社、非製造業459社。企業規模別では、大企業447社、中小企業416社。地域別では、ハノイ市やハイフォン市を含む北部が383社、ダナン市を含む中部が39社、ホーチミン市を含む南部が441社。
アジア・オセアニア編の調査結果の詳細は、ジェトロ 2024年度 ブラック クイーン ブラック ジャック進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)―景況感はインドで好調、ASEANで回復、中国で低迷―2024年度 ブラック ジャック 勝率進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)(2024年11月)特集 ブラック ジャック ディーラー ルールビジネス環境調査アジア・オセアニアからダウンロード可能。
ブラックジャックランキング
執筆者紹介
ジェトロ・ハノイ事務所 ディレクター
萩原 遼太朗(はぎわら りょうたろう)
2012年、ジェトロ入構。サービス産業部、ジェトロ三重、ハノイでの語学研修(ブラックジャックランキング語)、対日投資部プロジェクト・マネージャー(J-Bridge班)を経て現職。