グローバルサウスでの競争激化、求められる日本ブラックジャック勝ち方ポジショニングとは内需増と生産移管で日系業況感は良好
ベトナムでの競争環境(1)
2025年3月13日
グローバルサウス諸国の中でも、ベトナムは近年、日本ブラックジャック勝ち方ビジネス展開先として、とりわけ高い関心を集める。各国に進出する日系企業へのアンケートでも、ベトナムに進出する日系企業は、今後1~2年での事業拡大を検討するブラックジャック勝ち方割合が多かった。他方で、地政学リスクの高まりから、中国企業や台湾企業、欧米企業によるベトナム進出も急増している。非日系ブラックジャック勝ち方製品が市場に流入し、競争環境が厳しくなっている。こうした状況を踏まえて、ジェトロは実際にベトナムに進出する日系企業にヒアリングを行い、背景情報や企業活動の実態を探った。4回に分けてレポートする。
非日系企業との競争が激しくなるASEAN
グローバルサウス諸国の中でも、日系企業が特に集積しているのが東南アジア諸国だ。経済産業省の海外事業活動基本調査によると、日本ブラックジャック勝ち方海外現地法人の約3割はASEAN加盟国に立地しており、中南米(5.2%)、インド(2.4%)、中東(0.7%)、アフリカ(0.6%)といった他の新興国・地域に比べて、すでに事業拠点を有している日本企業が多い。日本企業はASEANにおいて、長期にわたる事業の歴史と投資の蓄積、それらに裏打ちされた信頼関係を有している。ASEANは日本企業にとって重要なサプライチェーンの要であると同時に、近年は所得増に伴い、消費市場としても成長している。
他方、昨今の米中対立、地政学リスクの高まりを受け、非日系企業にとってもASEANにおける事業活動が相対的に重要性を増している。中国企業、台湾企業、米国企業、欧州企業などがASEANへの直接投資を増大させている。こうした非日系企業は、生産機能の強化、消費市場の獲得に向けた動きを活発化している。特に、先進国市場向けに輸出がしづらくなりつつある中国企業にとって、ASEAN市場はメインターゲットになりつつある。
競争が激化するASEAN各国の市場では、これまで日本ブラックジャック勝ち方シェアが高かったセグメントにおいて、非日系企業にシェアを奪われる例も散見される。ASEANにおいて、競合となる中国ブラックジャック勝ち方進出が激しくなっている国として、タイが挙げられる。特に電気自動車(EV)や電気製品で、中国企業は強力なライバルとして台頭している(中国EV・車載電池企業のグローバル戦略現地ブラック)。同国では2023年の経済(実質GDP)成長率が1.9%と低迷しており、日系企業は低成長市場で厳しい競争にさらされている。
他方、相対的にASEAN域内において、日系企業から関心を高めているのがベトナムである。なぜ、ベトナム市場が注目されるのか。世界経済の伸びが鈍化し、先行き不透明感が高まる中でも、グローバルサウス諸国、特にベトナム経済の好調さは特筆すべきものがあるからだ。ベトナムの2024年の実質GDP成長率は7.1%と高く、1人当たりGDPは4,700ドルと前年より377ドル増加するなど、所得水準も向上している。特にGDPの約4割を占める製造業は9.8%成長と、堅調に伸びている。(カジノ無料ゲームアプリ.09%、第4四半期は7)。
進出日系企業へのアンケートでは、ベトナムの好調さ、展望の明るさが際立っている。ジェトロが2024年8~9月に実施したアンケート「2024年度海外進出日系企業実態調査」(注1)では、2024年の営業利益見込みが前年比で「改善した」ブラックジャック勝ち方割合は、在ベトナム日系企業では48.8%に上る。2025年の営業利益見通しについても、50.4%が「改善する」と見る。在タイ日系企業(2024年:29.9%、2025年:34.4%)、在中国日系企業(24.5%、26.4%)との差異は鮮明だ。営業利益、景況感が改善し、事業拡大意欲も高い傾向にある。
今後1~2年の事業展開の方向性について「拡大する」と回答したブラックジャック勝ち方割合は、ベトナムでは56.1%に上った。在タイ日系企業(34.1%)、在中国日系企業(21.7%)との差が開く状況だ(図1参照)。

出所:ジェトロ「2024年度海外進出日系企業実態調査(全世界編)」
営業利益が改善し、事業拡大意欲が高い在ベトナム日系企業
在ベトナム日系企業と在タイ日系ブラックジャック勝ち方間で、差異がみられる理由は何だろうか。図2は、在ベトナム日系企業(青色●)と在タイ日系企業〔橙(だいだい)色▲〕について、横軸に「景況感DI値(営業利益の改善)」(注2)、縦軸に「今後1~2年で事業を拡大するブラックジャック勝ち方割合」をとり、業種別にプロットしたものである。
(景況感DI値、事業拡大方針)

注1:カッコ内の数字は、順に景況感DI値、事業拡大方針の有効回答数を記載。両値が10以上の業種のみプロットしている。
注2:青●は在ベトナム(越)日系企業、橙▲は在タイ(泰)日系企業。
出所:ジェトロ「2024年度海外進出日系企業実態調査」 から作成
同図によると、業種によってもばらつきがみられ、例えば、在タイ食料品製造業は景況感が良く、事業拡大意欲も高いことがわかる。ただ、全体的に在タイ日系ブラックジャック勝ち方景況感は悪く、今後の事業拡大意欲も低い。タイでは自動車産業に関わっている日系企業が多いが、近年、同国における自動車販売は減少している(ブラッククイーンブラックジャック、前年比19)。そのため、輸送機器部品や一般機械、(主に製造業の)販売会社、鉄・非鉄・金属については景況感DIがマイナスとなっており、事業拡大意欲も低い傾向にある。
他方、在ベトナム日系企業をみると、全体的に営業利益が改善している業種が多数を占めている。その中でも、特に事業拡大意欲が高い業種としては、製造業では、食料品や化学・医薬、精密・医療機器、電気・電子機器などだ。非製造業では、運輸業、商社・卸売業、情報通信業、販売会社などである。
好調な在ベトナム日系ブラックジャック勝ち方業況感、背景にある現地事情を探るため、ジェトロは2025年1月7日から10日にかけて、ベトナムで事業を営む日系企業12社にヒアリングを行った。このうち10社は、2022年~2024年にかけて3年連続で「事業拡大」の方針を示した企業であり、同国における投資意欲が旺盛な企業群である。
内需市場に伸びしろも、想定ほど売り上げは増えず
今後のベトナム市場における業況や売り上げの展望を日系企業へヒアリングしたところ、業種に加えて、内需向け(最終的にベトナムの消費者向けに商売を行う内需向け企業)か、外需向け(日系大手メーカーの輸出向け工場へ部品を供給している、あるいは地場系・中国系の輸出向け工場と取引している企業)かによっても見通しに相違がみられた。後者は、外需市場の動向やサプライチェーンの再編に大きく左右される。
まず、今回の現地インタビューの対象ブラックジャック勝ち方中で、主にベトナムの消費者をターゲットに販売している企業については、必ずしも順風満帆とは言えない状況であった。複数の内需向け企業から、「人口増加による市場拡大が見込まれ、将来性を疑う企業は少ない」といった意見が聞かれた一方で、「売り上げは堅調に伸びているが、当初見込んでいたほど増大していない」という意見も聞かれた。
小売業A社の2024年の業績は増収増益だったが、「客数は伸びているものの、顧客1人当たりが購入する商品数が増えない」という。A社の担当者によると、「以前は、売り上げは毎年10%以上拡大していたが、新型コロナ以降は思うように伸びない」とこぼす。消費者の購買行動が、商品を買いたいという「コモディティ型」ではなく、アウトドアやペットなどを含めて余暇を楽しむ「ライフスタイル型」に変容した。また、賃金上昇率が鈍化したことも相まって、「借金しても返済できる」といった楽観的な消費マインドではなくなり、店舗での買い上げ点数の低調さにつながっている、と分析する。
ベトナムで食品や鉄鋼などを販売する商社B社も、「期待していたほどは、販売は伸びていない」と指摘する。特に影響が大きかったのは2022年~2023年ごろに起こった不動産市況の悪化で、デベロッパーの資金繰り悪化により、いまだに建設が止まっている現場もあり、材料を納めることがままならないという。食品の輸入についても、目下は現地通貨のドンが安くなる傾向にあり、「想定していたより、消費者の購買力が伸びていない」と担当者は話す。A社、B社では、中長期的にベトナム市場が拡大するという展望については共通認識があったものの、直近で日本本社から期待される目標と実態にはギャップがあるようだ。
他方、ベトナム市場向けに電気製品を販売するC社の担当者は、「2023年はベトナム経済が伸びず、販売・利益とも厳しかったが、2024年は景気回復している」という。2025年の売り上げは10%以上伸びると見ている。また、ベトナム市場では、依然として主要電化製品の普及率にも伸びしろがある。「ベトナムは、ASEANの中でも有望マーケット。徐々に出生率は下がっているとはいえ、人口のピークは2050年ごろ。若年層が多く、ポテンシャルが大きい」と話す。ただ、製品群によっては「需要は回復しているが、単価が大きく下がっている」と厳しい側面もあるようだ。
次稿では、輸出企業やベトナムの大手ブラックジャック勝ち方生産拠点に部品供給をしているサプライヤーなど、外需市場向けにビジネスを行うブラックジャック勝ち方認識を紹介する。
- 注1:
- ジェトロが2024年8月から9月にかけて、海外83カ国・地域の日系企業(日本側出資比率が10%以上の現地法人、日本ブラックジャック勝ち方支店、駐在員事務所)1万8,186社を対象に実施したアンケート調査。7,410社より有効回答を得た(有効回答率40.7%)。
- 注2:
- Diffusion Indexの略。本調査では前年比で営業利益が「改善」するブラックジャック勝ち方割合(%)から「悪化」するブラックジャック勝ち方割合(%)を差し引いた数値。

- 執筆者紹介
- ジェトロ調査部国際経済課 課長代理
北見 創(きたみ そう) - 2009年、ジェトロ入構。海外調査部アジア大洋州課、大阪本部、カラチ事務所、アジア大洋州課リサーチ・マネージャーを経て、2020年11月からジェトロ・バンコク事務所で広域調査員(アジア)として勤務。2024年10月から現職。