インド政府、2024年度の国家暫定予算案を発表
(インド)
ニューデリー発
2024年02月08日
インド財務省は2月1日、2024年度(2024年4月~2025年3月)の国家暫定予算案を発表した(添付資料表参照)。ニルマラ・シタラマン財務相は同日の演説で、2023年度の年間実質GDP成長率が7.3%になるとの見通しを示し、継続的な経済成長や雇用創出を図る上で、引き続き積極的な財政支出を行うとした。歳出入別にみると、歳出は総額47兆6,577億ルピー(約85兆7,839億円、1ルピー=約1.8円)(前年度・修正値比6.1%増)、借り入れ(公債金)を除く歳入は総額30兆8,028億ルピー(同11.8%増)となっている(注)。また、財政赤字はGDP比で5.1%と、前年度の5.8%から縮小する見込みとなった。
ナレンドラ・モディ首相は本暫定予算案について、独立100年となる2047年までにインドが先進国入りをするために重要となる若年層、貧困層、女性、農民の4階層を強化するためのものだと評し、特に以下の施策に言及した。
- 研究とイノベーションのために1兆ルピーの基金を創設する。スタートアップに対する税免除の範囲を拡大させる。
- 一般旅客用を含め、国産鉄道車両4万台を生産することなどを盛り込んだ設備投資の予算として、前年度比11.1%増の11兆ルピーを計上する。
- 向こう5年で貧困層向け住居2,000万戸をさらに建設する。農村部などの女性グループの起業による所得向上支援をさらに促進させる。
- 貧困層や中間層への支援の一環として、住宅用太陽光発電パネルを設置した家庭1,000万世帯が無料で電力供給を受けられるようにするとともに、余剰電力を政府に売電することで年間1万5,000~1万8,000ルピーの収入を得られるように支援する。
- 中間層などが裨益(ひえき)する年間所得70万ルピーまでの所得税免税や、農家に対する財政援助や農作物保険などを通じた実質所得の向上支援策を継続する。
なお、インドでは毎年2月1日に翌年度の国家予算案が発表されるが、5年に1度の総選挙が実施される年度に限っては暫定的な予算案が提示される。2024年度は4~5月に総選挙が予定されており、総選挙結果に基づく新政権発足後の2024年7月ごろに、正式な国家予算案があらためて発表される見込みだ。
(注)本暫定予算案の詳細は、インド政府の予算案ポータルサイトで公開されている。
(広木拓)
(インド)
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