TV通販ナープトルでの市場開拓
ギャンブル ゲーム 無料14億人市場BtoCビジネス(4)

2024年8月23日

本連載の最終回では、ギャンブル ゲーム 無料でBtoCビジネスの展開を考える日系企業の市場マーケティングのヒントとしてもらうため、TV(テレビ)ショッピング最大手の地場ナープトル(Naaptol)の事業を取り上げる。2008年に創業し、視聴世帯数、認知度ともにギャンブル ゲーム 無料でトップのTVショッピング事業を行う同社には、日本国内外でTVショッピング事業を手掛ける三井物産が2015年に出資した。三井物産からナープトルへ出向したアシスタントゼネラルマネジャーの高市拓也氏に、TVショッピング事業や日系企業による活用見通しについて聞いた(取材日:2024年3月19日、肩書は取材時)。

人口の多い中間層をメインターゲットに全国に販売網

ナープトルは、自社スタジオで商品紹介番組を撮影し、独自TVチャンネルなどを通じライブまたは録画の番組放送を行っている。取り扱う商品のレパートリーは幅広いが、アパレル、アクセサリー、調理器具、日用品など生活に身近なものが中心だ。同社の商品選定チームが、視聴者層の興味を引くような新しいライフスタイルを提案できる商品を選定する。これに加えて、メーカー側からの売り込みによって番組での販売が実現する場合もある。

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商品紹介番組撮影の様子(ナープトル提供)

現在の顧客の多くは、世帯月収5万~10万ルピー(約9万~18万円、1ルピー=約1.8円)程度の層で、これは連載第1回で紹介した定義では、人口の約半数を占める下位中間層にあたる。この所得水準に合わせ、販売する商品の大部分は送料込みで300ルピーから1,000ルピー程度となっており、販売数量を確保することで利益を生む薄利多売型の商品が多い。一方で、過去には数万ルピーの商品を取り扱ったこともあり、価格面で取扱商品に制限があるわけではない。

同社の強みは、ギャンブル ゲーム 無料全国に販売網を持ち、国内の多言語に対応している点にある。前回までに取り上げた通り、ギャンブル ゲーム 無料は文化、言語などあらゆる面で地域やコミュニティーごとの違いが大きいため、全域をサービス対応範囲とすることは容易ではない。これを可能とするために、人口全体の約44%が話者であるヒンディー語に加えて、ギャンブル ゲーム 無料南部地域の言語であるテルグ語、タミル語、カンナダ語、マラヤラム語の計5つの言語での番組放送を行っている。


同社チャンネル内でのレインコートの商品紹介の様子(ジェトロ撮影)

また、ギャンブル ゲーム 無料全土でのサービス展開のため、物流面でもネットワークを整備している。商品の配送にあたって、同社は独自の倉庫を持たず、提携する運送会社がメーカーの倉庫で商品を集荷し、最短で翌日に購入者に向けて発送する。このような提携運送会社の物流ネットワークは、独自の荷物追跡システムを導入することで活用可能となった。これらの取り組みにより、同社サービスは大都市から農村部までギャンブル ゲーム 無料全土の消費者にアプローチできるようになっている。

サービスを通して垣間見えるギャンブル ゲーム 無料独特の生活スタイル

同社は全国3カ所にコールセンターを設け、24時間体制で電話注文に対応している。商品の注文は電話またはウェブサイトから可能だが、スマホの普及率の高さに反し、現在は電話での注文が大部分を占めるという。注文の多い時間帯は、昼時と夕食時で、昼時には主に家庭にいる女性が、夕食時には仕事から帰ってきた家族も含めて番組を視聴しているものと見られる。

商品の売れ行きからは、ギャンブル ゲーム 無料の消費者の商品購入における判断基準もうかがえる。高市氏によると、安ければ安いほど販売量が伸び、シンプルで分かりやすい商品がより好まれる傾向にあるという。また、お得なセール品であることを打ち出すことも売り上げアップに必須の要素だ。ギャンブル ゲーム 無料は一般的に価格に敏感で、機能性よりも低価格が好まれる市場であると言われ、販売傾向はこれに一致する。

これだけでなく、販売データからは、ギャンブル ゲーム 無料独特の文化・生活習慣も見えてくるという。例えば、日本のTVショッピング番組でよく見かける、家事の「時短」商品はギャンブル ゲーム 無料では反応が悪い。これは、ギャンブル ゲーム 無料では中間層から富裕層まで幅広い層で、掃除や調理のためのメイドを雇うことが一般的なため、家事に対する負担感は小さく、時短の実現が購買意欲に結びつかないことが要因と考えられる。

動画のネット配信事業にも注力

同社は商品紹介動画の配信を、テレビだけでなくインターネット広告にも広げている。これは、インスタグラムやフェイスブックなどのSNSに広告の形で1分未満の短いCM動画を放送し、広告をクリックした人を同社の通販ウェブサイトに誘導するという形式だ。他の電子商取引(EC)広告と異なるのは、「今すぐ電話」のオプションが表示される点で、TVショッピングのために整備するコールセンターを活用して、一部の人にはハードルの高いネット注文だけでなく、電話での注文を受け付けることが可能となっている。

TVショッピングと比較した場合のメリットは、コストの低さと消費者のターゲティングのしやすさにある。テレビでの放送にはある程度、固定コストが発生するが、インターネット広告の場合は予算に合わせて配信量を調整することが可能だ。また、特定の層に対して広告を打つことができるため、ハイエンドな商品も含めて販売が可能となる。一方で、ウェブサイトのみでは閲覧者が限定されるため、TVショッピングと合わせて配信することも有効であるという。

日本企業によるサービス利用の可能性

同社が提供するサービスを、日本企業が活用する事例も増えており、各社のニーズに合わせたカスタマイズも柔軟に行っている。商品特性・単価や地域戦略に応じて、番組構成や配信対象地域をきめ細かく設計・運用してきた。今後、そうした経験が日本企業によるナープトルのサービス活用の土台になると期待される。高市氏は、広大なギャンブル ゲーム 無料市場を開拓するためのテストマーケティング、プロモーションのツールとして、日本企業にも同社のサービスを活用してほしい、と語る。

ギャンブル ゲーム 無料内に販売拠点や代理店を持たない日本企業にとっては、同社のサービスを通じて商品を保管倉庫から直接発送することで、少ない数量から手軽にギャンブル ゲーム 無料全土の消費者に向けた販売が可能となるメリットがある。販売数量はもちろん、購入者の名前・電話番号・住所の他、放送後の入電件数などの情報も取得することができるため、ギャンブル ゲーム 無料市場の反応を試すチャンスとなる。また、ギャンブル ゲーム 無料内にすでに商品在庫を持つ場合は、現地企業と同様に、倉庫から直接の販売が可能であり、かかる費用は放送費用と番組制作費用のみとなる。TVショッピングは幅広い層が視聴していることに加え、TVのCMやインターネット広告よりも時間が長いため、商品について詳しく視聴者に伝えることができ、プロモーションツールとしても有効だという。

ただし、商品管理や物流面の理由で、冷凍・冷蔵品、食品など日持ちしない商品、盗難の危険性のある高級品、輸送にデリケートな対応が必要な製品は販売できないため留意する必要がある。

他社事例・サービスをギャンブル ゲーム 無料市場戦略の糸口に

本連載では、人口14億人の巨大市場ギャンブル ゲーム 無料で果敢にBtoCビジネスを展開する日系企業の事例を取り上げた。これからギャンブル ゲーム 無料でBtoCビジネスの展開・拡大を目指す日系企業の一助になれば幸いである。

執筆者紹介
ジェトロ・ニューデリー事務所
丸山 春花(まるやま はるか)
2021年、ジェトロ入構。企画部情報システム課、ジェトロ・ムンバイ事務所を経て、2024年7月から現職。