インド政府、2024年度国家予算案を発表

(インド)

ニューデリー発

2024年07月31日

インド財務省は7月23日、2024年度(2024年4月~2025年3月)の国家予算案を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。歳出の総額は48兆2,051億ルピー(約86兆7,692億円、1ルピー=約1.8円)(前年度修正予算比7.3%増)、借り入れ(公債金など)を除く税収などの歳入は総額31兆2,920億ルピー(同15.9%増)となった(添付資料表1参照)。また、財政赤字は対GDP比で4.9%と、前年度修正予算の5.8%から縮小する見込みで、財政健全化を図りたい政府の意向がうかがえる。なお、予算案は例年2月に発表されるが、2024年度は4~6月にインド議会下院選挙(オンライン ブラック ジャック下院総選挙、与党のオンライン)が行われたため、2月に議決された暫定予算案(2024年2月8日記事参照)を修正するかたちで、今回、本予算案の発表が行われた。

ニルマラ・シタラマン財務相は同日の国会演説で、独立後100周年を迎える2047年までの先進国入りを目標としたビジョン「Viksit Bharat(先進国インド)」に向けた本予算案の優先課題として、(1)農業の生産性・強靭(きょうじん)性、(2)雇用とスキル習得、(3)包括的な人材育成と社会的正義、(4)製造業とサービス業、(5)都市開発、(6)エネルギー安全保障、(7)インフラ、(8)イノベーション・研究開発、(9)次世代改革(経済成長のための制度改革)、の9項目を挙げた。

暫定予算案と比較し、歳入・歳出額に大きな変更はなかった(暫定予算比1.1%増、添付資料表2参照)が、歳出の内訳では、州政府交付金(同12.6%増)、都市開発(同6.5%増)、農業および農業関連(同3.4%増)など、成長分野に限らず幅広い層を意識した分配調整が見受けられた。また、若年層に対する雇用とスキル習得の支援は、本予算の重要テーマとして強調され、具体的な支援策が発表された。総選挙では、事前の予想に反して与党・インド人民党(BJP)が議席数を減らし、経済成長の恩恵を十分に得られていない農村部や若年層の間で政府への不満が蓄積していたことが要因として指摘されていた。この結果が、予算案にも反映されたものと捉えられる。

また、歳入面では、中間層に対する個人所得税の減税のほか、一部品目の関税変更、外国法人に対する法人税引き下げ、M&A税制の簡素化など税制改正案も公表されており、今後の発表も注視していく必要がある。

(丸山春花)

(インド)

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