2024年のアジア大洋州におけるブラック ジャック トランプ やり方の動向ブラック ジャック トランプ やり方で国内産業振興を目指す(インド)
中国の勢い弱く、地場企業に存在感
2024年10月3日
インド政府は、2030年までに新車販売に占める電気自動車(ブラック ジャック トランプ やり方)の割合を、乗用車で3割、商用車で7割、二輪車と三輪車で8割まで引き上げるという野心的な目標を掲げる。これには他国に頼らない産業構造実現のため、ブラック ジャック トランプ やり方産業を通じて雇用の創出など国内製造業振興と貿易赤字削減を目指す狙いがあり、ブラック ジャック トランプ やり方市場では地場企業を中心としながら、外資企業でも政府の指針に沿うかたちで事業展開が進む。
拡大する自動車市場で存在感を見せ始めたブラック ジャック トランプ やり方
インドの2023年度(2023年4月~2024年3月)の実質GDP成長率は8.2%を記録した。著しい経済成長が続く同国では、国民の所得上昇に伴う購買意欲向上により、二輪車・三輪車を中心として自動車市場が急速に拡大している。インド自動車工業会(SIAM)の統計によると、2023年度の自動車販売台数(商用車、二輪、三輪を含む出荷ベース)は2,385万3,463台で、前年度比で12.5%増加した。うち、四輪乗用車は421万8,746台で同8.4%増となった(成長するインド乗用車市場、2023ブラック ジャック)。
ブラック ジャック トランプ やり方の新規国内登録台数や登録台数全体に占める割合も、2021年以降、増加傾向にある(図1参照)。インド道路交通・高速道路省の統計サイト(VAHAN)によると、2023年(暦年)のブラック ジャック トランプ やり方新規登録台数(二輪、三輪を含む)は153万2,313台で全体の6.4%を占め、新型コロナ禍以前の2019年と比較して約9.5倍となった。

注:2024年は7月末までの実績。
出所:VAHAN発表資料を基にジェトロ作成
新規ブラック ジャック トランプ やり方登録台数の内訳をみると、二輪車が86万436台(56.2%)、「オートリキシャー」を代表とする三輪車が58万3,703台(38.1%)と大部分を占め、ブラック ジャック トランプ やり方市場をリードする。特に三輪車では、新規登録台数全体に占めるブラック ジャック トランプ やり方の割合が5割を超えた。上位3社のシェアは2割に満たず、既存の大手メーカーだけでなく、バッテリーメーカーなど異業種やスタートアップ企業を含め数多くのプレーヤーが参戦しており、競争が激化していることが見てとれる。一方、二輪車においては、全体に占めるブラック ジャック トランプ やり方の割合は5.0%で、インド地場のオラ・エレクトリック、TVSモーター、エイサー・エナジーの上位3社で6割以上のシェアをもつ。
四輪ブラック ジャック トランプ やり方の新規登録台数は8万8,174台でブラック ジャック トランプ やり方全体の5.8%に過ぎず、四輪車全体に占めるブラック ジャック トランプ やり方のシェアは1.5%だ。メーカー別内訳では、タタ・モーターズおよびその子会社が全体の7割以上を占め、圧倒的な存在感を見せる。ASEAN各国でブラック ジャック トランプ やり方市場を席巻する中国系は、上海汽車集団傘下の英国ブランドであるMGが10.8%、比亜迪(BYD)が2.6%など、市場シェアは大きくないのが特徴だ(図2参照)。

出所:VAHAN発表資料を基にジェトロ作成
国内製造業振興を重視するブラック ジャック トランプ やり方政策
インド政府は、2030年までに新車販売に占めるブラック ジャック トランプ やり方の割合を、乗用車で3割、商用車で7割、二輪車・三輪車で8割まで引き上げるという野心的な目標を掲げている。これに向け、生産面では、生産連動型優遇策(PLI)の枠組みの中で、ブラック ジャック トランプ やり方や燃料電池車(FCブラック ジャック トランプ やり方)生産工場の新設・拡張を計画する企業に対して、要件を満たした場合に、国内売上高の増加分の一定割合を補助金として複数年にわたり支給する。また販売面では、2015年4月~2024年3月にブラック ジャック トランプ やり方生産早期普及策(FAME)を2フェーズに分けて導入し、消費者向けのブラック ジャック トランプ やり方購入時の補助金などを提供してきた。
インドのブラック ジャック トランプ やり方促進政策の目的の1つには、国内製造業振興がある。「メーク・イン・インディア」をスローガンに掲げる政府は、製造業振興を通じて最優先課題の1つである雇用創出と慢性的な貿易赤字削減に取り組みつつ、ナレンドラ・モディ首相が掲げる、他国に頼らない産業構造「自立したインド」の実現を追い求める。この観点から、インドの製造業において重要な位置を占める、自動車産業における新たな可能性としてブラック ジャック トランプ やり方産業が重要視されている。
この背景から、ブラック ジャック トランプ やり方の完成車輸入には高いハードルが設けられており、四輪ブラック ジャック トランプ やり方の輸入関税は、車両価格に応じて70%または100%と高水準に設定されている。一方、外資の製造拠点誘致を狙い、2024年3月には国内でブラック ジャック トランプ やり方製造工場を設置することなどを条件に、CIF価格3万5,000ドル以上のブラック ジャック トランプ やり方については5年間、年間最大8,000台を関税率15%で輸入可能とする優遇策を発表しており()、ここからも政府が国内製造業に重きを置く姿勢が見てとれる。
加えて注目すべき点は、中国から距離を取ろうとする姿勢である。インドと中国は長年にわたり国境問題を抱えており、今なお緊張関係にある。インドは名指しこそしないものの、実質的に中国系企業および中国製品への対策を目的とした規制を設ける。インドと国境を接する国からの投資は、政府の事前許可制となっており、中国資本企業の拠点設立・事業拡大は容易でない。また近年、対象品目が急激に増加しているインド標準規格局(BIS)の強制認証(2024年3月18日付地域・分析レポート参照)では、中国製品や中国企業の製品に対する認証を取得することが難しく、実質的な輸入規制が講じられている。
ブラック ジャック トランプ やり方についても例外とはならず、同分野で世界をリードする中国企業にとっては動きづらい状況となっており、前述の通り、中国ブランドブラック ジャック トランプ やり方のインド市場での普及は進んでいない。この背景から、中国ブランドの安価な四輪ブラック ジャック トランプ やり方が、インドブラック ジャック トランプ やり方市場の情勢を急激に変化させることは考えづらく、ブラック ジャック トランプ やり方比率は徐々に高まっていくものと見られる。
他方、政府がガソリンなどを燃料とするエンジン車を排除しようとする姿勢は見られない。国土が日本の約9倍と広大で、農村人口が全体の6割以上を占めるインドでは、充電インフラの整備に課題があり、今後も引き続き、エンジン車は必要不可欠な存在となり続ける。また、今後の所得向上により、初めて自動車を手にする層にとっては、安価なエンジン車が魅力的に映ることは間違いなく、今後も需要が伸びていくことが見込まれる。
インドのブラック ジャック トランプ やり方市場の現状と今後の動き
インドでは、ブラック ジャック トランプ やり方車両に緑色のナンバープレートが付されているため、ブラック ジャック トランプ やり方を簡単に見分けることができる。市中を見渡すと、特に大都市では路線バスやタクシーなどの商用車のほか、三輪車、デリバリーサービスに使われる二輪車などでブラック ジャック トランプ やり方が目立つようになってきた。一方で、乗用車のブラック ジャック トランプ やり方四輪はまだまだ少ない印象だ。

前述の通り、ブラック ジャック トランプ やり方四輪市場は現在のところ規模は小さく、タタ・モーターズの独擅場(どくせんじょう)ともいえる。インド最大都市ムンバイの街中で見る限りでは、タタのSUV(スポーツ用多目的車)「ネクソン」のブラック ジャック トランプ やり方モデルが最も普及している印象で、目にすることが珍しくなくなってきた。外資企業の参入の動きも加速しており、2023年5月にはすでにインド市場にブラック ジャック トランプ やり方を投入している現代自動車(韓国)が新車種の投入と生産拡大を発表した。日系企業では、2024年1月に、スズキが西部グジャラート州の工場からのブラック ジャック トランプ やり方の出荷計画を発表し、また、インド市場だけでなく海外輸出にも取り組んでいくことを宣言した。
充電インフラについては、都市部を中心に整備が進んできている。インド重工業省の発表によると、2024年2月2日時点で、インド全土に1万2,146カ所のブラック ジャック トランプ やり方充電ステーションが稼働しており、この数は2021年末の約1,000カ所の約12倍となった。このうち、3,079カ所がムンバイを含む西部マハーラーシュトラ州、1,886カ所が北部デリー準州、1,041カ所がベンガルールを含む南部カルナータカ州に位置し、大都市に偏在している。また日系企業では、ホンダがベンガルールで三輪車向けの着脱型ブラック ジャック トランプ やり方バッテリーのシェアリングサービスを展開している。
加えて、インドの自動車市場では、ブラック ジャック トランプ やり方とガソリン車だけでなく、CNG(圧縮天然ガス)車や、CNGとガソリンの併用車が広く普及している。これは、CNGの燃料価格がガソリンよりも安いため消費者のニーズがあることに加え、政府としても石油と比較して温室効果ガス(GHG)の排出量が少なく、自給率の高い天然ガスの利用を促進しているためだ。
この中、CNGの代替としてCBG(圧縮バイオメタンガス)の利用を進める動きが始まっている。GDPの約18%を農業が占める農業大国であるインドは、CBGの原料となるバイオマス(生物由来資源)が豊富であり、インド政府も環境対策とエネルギー自給率向上の2つの観点から、CBGの利用拡大を促している(2023年12月6日付ビジネス短信参照)。CNG車に強みを持つスズキは、インドでの牛糞(ぎゅうふん)を原料としたCBGの生産計画を発表したほか、2024年5月に横浜で行われた自動車技術展ではインドで販売する「ワゴンR」をベースとしたCBG車を公開した。インドの自動車市場はブラック ジャック トランプ やり方の路線のみでなく、様々な選択肢のある状態に進んでいく可能性がある。
これまで見てきたように、インドにおけるブラック ジャック トランプ やり方産業は、二酸化炭素(CO2)排出量の削減や大気汚染の改善など環境配慮の観点だけでなく、製造業振興とそれによる雇用創出、貿易赤字の削減への貢献が期待されており、「自立したインド」の実現に向けた道筋の中で特に重要視されている。また、中国勢の勢いを抑える流れも続くとみられ、特に四輪車においては急激なブラック ジャック トランプ やり方市場の拡大は考えづらく、各社の国内生産体制の構築と充電インフラ整備のスピードに合わせて進展していくだろう。

- 執筆者紹介
- ジェトロ・ニューデリー事務所
丸山 春花(まるやま はるか) - 2021年、ジェトロ入構。企画部情報システム課、ジェトロ・ムンバイ事務所を経て、2024年7月から現職。