自動車・家庭用天然ガスにバイオ混合義務化、2025年度から

(インド)

ムンバイ発

2023年12月06日

インド石油・天然ガス省(MoPNG)は11月25日、自動車用の圧縮天然ガス(CNG)と家庭用の都市ガス(PNG)への圧縮バイオガス(CBG)の混合を段階的に義務化すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2024年度までは混合を任意とし、2025年度は混合率1%、2026年度は3%、2027年度は4%、2028年度以降は5%を義務づける。主な目的は、国内のCBG需要喚起、液化天然ガス(LNG)の輸入量削減による外貨支払いの節減、温室効果ガス排出量ネットゼロの目標達成の促進としている。

インド政府は、石炭や石油、ガソリンなどと比較して温室効果ガスの排出量が少ない天然ガスの利用を促している。エネルギー消費に占める天然ガスの割合を現在の6%台から2030年に15%へ引き上げる目標を掲げており、ガスインフラの整備・拡充に力を入れている。自動車(三輪車・四輪車)用の燃料としても、よりクリーンで安価な燃料としてCNGが広く普及している。

一方で、天然ガスは消費量の約半分を輸入に依存しているという課題がある。輸入量の削減に加えて、カーボンニュートラル実現に向けても、インド政府はCBGの生産・利用拡大に力を入れている。2018年10月には、「持続可能で安価な代替輸送手段(SATAT)」スキームを立ち上げ、2023年度までに5,000基のCBGプラントを設置し、年間1,500万トンのCBGを生産することを目標に掲げていた。しかし現在のところ、同スキームの下で設置されたプラント数は48基、2023年度にこれまで販売されたCBGは9,548トンと目標に大きく及んでいない。

今回発表されたCBGの混合義務で、ガスを生産・販売・利用する企業は対応が必須となり、CBGへの投資も活発化することが期待される。ハルディープ・シン・プリ石油・天然ガス相は、2028年度までに3,750億ルピー(約6,750億円、1ルピー=約1.8円)の投資を見込むと述べている。日本企業では、スズキが2023年9月に、CNGの代替となる牛ふん由来のCBGの製造拠点を西部グジャラート州に設置する計画を発表している(関連ブラック ジャック ルール)。

(丸山春花)

(インド)

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