米上院が「インフレ削減法案」可決、EV現行モデルの70%が税額控除対象外、業界団体CEOが遺憾表明
(米国)
ニューヨーク発
2022年08月09日
米国連邦議会上院は8月7日、民主党が7月27日に発表した「インフレ削減法案」を可決した(米上院民主党議員、カジノ ゲーム)。同法案は、自動車メーカーへの負担が懸念される電気自動車(EV)向けの税額控除に関する提案を盛り込んでいることから、関係者から見直しを求める声が上がっていた(関連ブラック ジャック サイト)。今回の上院通過を受け、主要自動車メーカーを代表する米国自動車イノベーション協会(AAI)のジョン・ボゼーラ会長兼最高経営責任者(CEO)は、同法案はEV普及を遅らせるとして遺憾の意を示すとともに、EV定着に向けた今後の政府の役割が重要だとする声明を発表した。
ボゼーラ氏は声明で「EV税額控除のための要件により、残念ながらほとんどの車両は(法案成立後)すぐに控除の対象外になる。これは(EV定着に向けた)重要な時期にその機会を逃し、新車市場の顧客を驚愕(きょうがく)、失望させるものだ。2030年までにEVの販売台数を40~50%にするという関係者の総意による目標が達成できなくなる」と懸念を示した。
AAIが8月5日に発表したプレスリリースによると、米国市場には現在72のEVモデルが投入されているが、そのうち7割が対象外になるとみられる。また同氏は、上院審議に先立ち、メーカーが達成するのは難しいとされるバッテリー原材料と部品の調達価格割合の要件に関して、地政学的かつ、調達や鉱物採掘の現状を考慮するかたちで、より段階的な導入に置き換えるよう提案していた。調達先についても、対中依存をより迅速に減らす選択肢になるとして、対象国の定義を拡大し、NATO加盟国や日本など、米国と集団防衛の協定を結んでいる国も含むよう求めていた。
ボセーラ氏は「EVシフトという大規模な事業で世界におけるリーダーシップと成功のための適切な条件を確立するため、政府には果たすべき役割がある」と強調。バッテリーセルや重要鉱物を含む「先端製造品」の生産や、高度な技術を伴う車両や部品生産などの拠点設立に向けた「先進エネルギープロジェクト」への税額控除、温室効果ガスを排出しない車両や部品などの「先端技術車両の製造」に対する貸し付け、国内での代替エネルギー車生産に向けた「国内製造業転換助成金」など、同法案に含まれるEV生産に向けた提案を紹介し、迅速に取り組むよう求めた。
(大原典子)
(米国)
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