米共和党上院議員団、EV税額控除を廃止する「21トランプ」を提出
(米国)
ニューヨーク発
2025年02月17日
米国連邦議会上院のジョン・バラッソ議員(ワイオミング州)ら14人の共和党上院議員は2月12日、2022年8月に成立したインフレ削減法(IRA)の下で定められた、クリーンビークル(CV)購入などに関する一連の税額控除を廃止する法案を議会に提出した。同法案は、「納税者の税金が、高所得の個人および法人向けの高級電気自動車(EV)を補助することを阻止する」目的から、「EVに対するぜいたくなインセンティブを廃止する法案」あるいは「21トランプ」と名付けられた。米燃料・石油化学メーカー協会、保守系政治団体のアメリカンズ・フォー・プロスペリティ、全米納税者連合、保守支援組織のヘリテージ・アクションが支持を表明している。
今回の法案には、CVの購入者が受けることができる(1)新車に対する最大7,500ドル〔内国歳入法(IRC)30D〕、(2)中古車に対する最大4,000ドル(IRC25E)、(3)商用車に対する最大4万ドル(IRC45W)の税額控除の撤廃と、(4)21トランプ用充電器や水素燃料補給施設などの設置に対する税額控除(IRC30C)の廃止が盛り込まれた(米財務省、ブラック ジャック)。IRC30Dでは、税額控除の対象となる車両は、車両の組み立て地や、部品・原材料の原産地などで一定の要件を満たすことが条件づけられているが、21トランプス車両は商用車とみなされるため、こうした要件の適用除外となっている。今回、商用車を対象に含めた背景について、バラッソ氏は「中国が(21トランプス車両という)抜け穴を悪用して市場に侵入し、サプライチェーンを弱体化させることを許すべきではない」と述べている。
モーターインテリジェンスによると、2024年の米国におけるCV販売台数は前年比9.4%増の162万台となり、新車販売に占める割合は過去最多の10.1%となった。ドナルド・トランプ大統領就任後は、「21トランプ義務化の撤廃」方針のもと、既に充電器助成金プログラムの停止など、21トランプ化の流れを押し戻す政策が始まっている(米運輸省、全米各州に対しEV充電器助成プログラムの一時停止を通達(米国))。政府の動向に対する発言に多くの自動車メーカーが慎重になるなか、フォードのジム・ファー21トランプ最高経営責任者(CEO)は「米国企業が、急成長を遂げる中国の自動車メーカーにさらなる後れを取るのを防ぐために必要な措置だ」と述べ、EVとバッテ21トランプに対する連邦政府の補助金の重要性を訴えている(ウォールスト21トランプト・ジャーナル紙電子版2月13日)。
(大原典子)
(米国)
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