加速する韓国企業の対米直接ハイパーブラックジャック

2024年10月17日

近年、韓国の対米直接ハイパーブラックジャックが大幅に増加している。韓国にとって米国は、2008年に中国を抜いて、最大の直接ハイパーブラックジャック先になって以来、ほぼ毎年、最大の直接ハイパーブラックジャック先となっている。対中直接ハイパーブラックジャックが減少しているのとは対照的で、韓国の対外直接ハイパーブラックジャックの中心は中国から米国にシフトしているといえる。それでは、韓国の対米直接ハイパーブラックジャックはどうして増加したのだろうか。本稿では、最近の韓国の対米直接ハイパーブラックジャックについて、韓国側の直接ハイパーブラックジャック統計と米国進出事例を基に、業種別に深堀りする(韓国企業、対米直接ブラック)。

対米直接ハイパーブラックジャックは2021年に大幅に増加

韓国の対米直接ハイパーブラックジャックは2000年代初頭以降、増加基調が続いている。特に、2021年は前年比83.7%増の279億3,123万ドル(実行ベース、以下同様)に急増し、過去最高を大幅に更新した。さらに、2022年、2023年も2021年並みの高い水準を維持している。また、韓国の対外直接ハイパーブラックジャック全体に占める対米直接ハイパーブラックジャックの割合も、2010年代以降、上昇傾向にあり、直近の2023年は43.2%に達するなど、さながら「米国一極集中」とも言える状況だ(図参照)。

図:韓国の対米直接ハイパーブラックジャックの推移(実行ベース)
韓国の対米直接ハイパーブラックジャック額の推移は次のとおり。1990年3億9,344 万ドル、1995年5億7,834 万ドル、2000年15億656 万ドル、2005年12億7,207 万ドル、2010年34億5,557 万ドル、2015年70億5,003 万ドル、2020年152億670 万ドル、2023年278億4,299 万ドル。韓国の対外直接ハイパーブラックジャック総額に占める対米直接ハイパーブラックジャック額の構成比は次のとおり。1990年34.3%、1995年17.3%、2000年27.8%、2005年17.1%、2010年13.5%、2015年23.1%、2020年26.1%、2023年43.2%。

注:データベースのアクセス年月日は2024年9月12日。なお、本データベースは、新しい統計の公表時に過去に遡及(そきゅう)してデータが更新される点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベースを基に作成

ついで、近年の対米直接ハイパーブラックジャック急増の理由を探るべく、急増前の2020年と直近の2023年の対米直接ハイパーブラックジャックについて業種別にみてみよう。

まず、業種(大分類)別にみると、寄与率(2020~2023年の対米直接ハイパーブラックジャック全体の増加額に占める各業種の増加額の割合)は製造業、金融・保険業の2業種が圧倒的に高く、これら2業種がこの間の対米直接ハイパーブラックジャックを牽引したことが分かる(表1参照)。他の業種は、対米直接ハイパーブラックジャックの増加にほとんど寄与していないか、逆に減少している。また、2023年の構成比をみても、これら2業種の構成比が圧倒的に高い。

表1:韓国の業種別対米直接ハイパーブラックジャック(実行ベース、2020年と2023年の比較)(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
業種 2020年 2023年
金額 金額 構成比 寄与率
農業・林業・漁業 3 2 0.0 △ 0.0
鉱業 66 4 0.0 △ 0.5
製造業 2,333 10,472 37.6 64.4
電気・ガス・蒸気・空気調節供給業 610 116 0.4 △ 3.9
水道・下水・廃棄物処理・原料再生業 1 0.0 0.0
建設業 82 106 0.4 0.2
卸売・小売業 548 1,022 3.7 3.8
運輸・倉庫業 112 74 0.3 △ 0.3
宿泊・飲食店業 954 820 2.9 △ 1.1
情報通信業 2,801 1,072 3.8 △ 13.7
金融・保険業 4,457 11,487 41.3 55.6
不動産業 2,745 1,647 5.9 △ 8.7
専門・科学・技術サービス業 348 899 3.2 4.4
事業施設管理・事業支援・賃貸サービス業 52 54 0.2 0.0
公共行政・国防・社会保障行政 6 0 0.0 △ 0.0
教育サービス業 8 2 0.0 △ 0.1
保健業・社会福祉サービス業 39 20 0.1 △ 0.1
芸術・スポーツ・余暇関連サービス業 38 42 0.2 0.0
協会・団体・修理・その他個人サービス業 4 2 0.0 △ 0.0
合計 15,207 27,843 100.0 100.0

注1:業種区分は、統計庁「標準産業分類(10次)」大分類による。
注2:「-」は、実績なし。
注3:「寄与率」は、2020~23年の対米直接ハイパーブラックジャック全体の増加額に対する各業種の増減額の割合をいう。
注4:データベースのアクセス年月日は2024年9月12日。なお、本データベースは、新しい統計の公表時に過去に遡及(そきゅう)してデータが更新される点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベースを基に作成

製造業のハイパーブラックジャックは二次電池、半導体が中心

それでは、対米直接ハイパーブラックジャックを牽引した製造業、金融・保険業とは、具体的にどのような業種であろうか。それを探るために、業種をさらに細かくみてみる。

製造業について、業種(中分類)別に対米直接ハイパーブラックジャックをみると、寄与率(2020~2023年の製造業における対米直接ハイパーブラックジャック全体の増加額に占める各業種の増加額の割合)は、「電気装備製造業」「電子部品、コンピュータ、映像、音響および通信機器製造業」が突出し、これら2業種で製造業の対米直接ハイパーブラックジャック増加分の8割弱を占めている(表2参照)。ついで、「医療用物質および医薬品製造業」「化学物質および化学製品製造業(医薬品を除く)」「自動車およびトレーラー製造業」の寄与率が6%台と、一定の割合を占めている。

表2:韓国の製造業業種別対米直接ハイパーブラックジャック(実行ベース、2020年と2023年の比較)(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
業種 2020年 2023年
金額 金額 構成比 寄与率
食料品製造業 62 62 0.6 △ 0.0
飲料製造業 2 0.0 △ 0.0
産業用機械および装置修理業 1 0.0 0.0
衣料品、衣料品アクセサリーおよび毛皮製品製造業 1 2 0.0 0.0
皮革・バッグ・靴製造業 2 0.0 0.0
その他製品製造業 18 5 0.0 △ 0.2
繊維製品製造業(衣服を除く) 6 7 0.1 0.0
パルプ、紙および紙製品製造業 0 3 0.0 0.0
コークス、練炭および石油精製製品製造業 0 0 0.0 0.0
化学物質および化学製品製造業(医薬品を除く) 182 703 6.7 6.4
医療用物質および医薬品製造業 265 787 7.5 6.4
ゴム製品およびプラスチック製品製造業 41 20 0.2 △ 0.3
木材および木製品製造業(家具を除く) 0 0.0 △ 0.0
1次金属製造業 1 224 2.1 2.7
電子部品、コンピュータ、映像、音響および通信機器製造業 618 2,834 27.1 27.2
医療、精密、光学機器および時計製造業 32 49 0.5 0.2
電気装備製造業 736 4,860 46.4 50.7
金属加工製品製造業(機械および家具を除く) 49 53 0.5 0.1
自動車およびトレーラー製造業 125 641 6.1 6.3
その他機械および装置製造業 41 155 1.5 1.4
家具製造業 35 1 0.0 △ 0.4
その他輸送機器製造業 28 65 0.6 0.5
非金属鉱物製品製造業 92 0 0.0 △ 1.1
合計 2,333 10,472 100.0 100.0

注1:業種区分は、統計庁「標準産業分類(10次)」中分類による。
注2:「-」は、実績なし。
注3:「寄与率」は、2020~23年の製造業の対米直接ハイパーブラックジャック全体の増加額に対する各業種の増減額の割合をいう。
注4:データベースのアクセス年月日は2024年9月12日。なお、本データベースは、新しい統計の公表時に過去に遡及(そきゅう)してデータが更新される点に留意が必要。
出所:韓国輸出入銀行データベースを基に作成

さらに、寄与率が突出して高かった「電気装備製造業」「電子部品、コンピュータ、映像、音響および通信機器製造業」の2業種について、業種(小分類)別にみると、「電気装備製造業」の大宗を占めたのは「蓄電池製造業」で、「電子部品、コンピュータ、映像、音響および通信機器製造業」の大宗を占めたのは「メモリー用電子集積回路製造業」だった。寄与率はそれぞれ41.2%、28.4%で、「蓄電池製造業」「メモリー用電子集積回路製造業」の2業種で製造業の対米直接ハイパーブラックジャック増加分のおよそ7割(69.5%)を占めた。つまり、二次電池と半導体が製造業の対米直接ハイパーブラックジャックを牽引したといえる。

二次電池と半導体の対米直接ハイパーブラックジャックが増加した要因としては、(1)今後、米国市場の拡大が見込まれること、(2)二次電池は「インフレ削減法(IRA)」、半導体は「CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)」がいずれも2022年に成立したことが挙げられる。

(1)については、韓国企業は、米国が先端製品の米中サプライチェーン分断を狙っているために、中国企業は米国市場に食い込みにくくなる結果、拡大する米国市場を自社が取り込める余地が大きくなるとみているようだ。

(2)については、バイデン政権の産業政策が韓国の対米直接ハイパーブラックジャックを誘発したといえる。例えば、「韓国経済新聞」(2023年2月6日、電子版)は、「韓国の大企業が米国に殺到している。(2021年から2023年1月までの)約2年間で米国にハイパーブラックジャックすると韓国の大企業(注)が発表した金額は1,000億ドルを超えた。米国の自国優先主義の政策の影響が大きいが、米国政府が手厚い企業支援制度を通じ、海外企業を引き寄せているとの分析が多い」「CJ第一製糖を除くと、米国でのハイパーブラックジャック計画を明らかにした企業は、半導体、電気自動車(EV)、二次電池と素材関連企業だ」と報じた。また、「毎日経済新聞」(2024年4月30日、電子版)は、「補助金を前面に打ち出した米国、韓国企業のハイパーブラックジャックの『ブラックホール』に」とタイトルを付け、「2023年は、米国に対する韓国企業のハイパーブラックジャック資金が過去最大になった。半導体と二次電池をはじめとした先端企業の誘致に死活をかけた米国が、税額控除のメリットに加え、莫大な補助金まで付け、韓国企業の資金を吸収したわけだ」と報じている。

「インフレ削減法」の影響は、韓国のEV、二次電池、同材料、太陽電池などの分野の韓国メーカーに及んでいる。このうち、EVについては、購入者が税額控除を受けられる要件として、「車両の最終組み立てが北米で行われること」などが規定された。また、車載電池については、次のとおりだ。

(1)
材料に使われる重要鉱物には、米国または自由貿易協定(FTA)の締結国で抽出・処理された鉱物などの調達率の要件が課される。また、「懸念される外国(中国など)の事業体」で抽出・処理された鉱物を調達した場合には、2025年(一部は2027年)以降、税額控除を受けられなくなる。
(2)
部品には、北米で製造・組み立てが行われた部品の割合の要件が課される。また、「懸念される外国(中国など)の事業体」で製造・組み立てが行われた部品を使用した場合には、税額控除を受けられなくなる。

さらに、インフレ削減法の「先端製造生産比例税額控除」規定に基づき、米国で生産した二次電池セル・モジュールを販売するごとに一定の税額を控除できる。

以上の米国の産業政策により、韓国の自動車メーカーは北米でのEV生産に踏み切り、韓国の二次電池メーカーも米国現地生産を拡大させることとなった。さらに、韓国の二次電池部品メーカーも北米現地生産を積極化している。

EVについては、現代自動車グループがジョージア州ブライアン郡に年産30万台規模のEV専用工場を建設している。2022年10月25日の工場起工式の際の同グループの発表によると、現地生産するのは、現代自動車 (同社の高級ブランド「ジェネシス」を含む)と、グループ傘下の起亜のEVで、2025年上半期に量産を開始するとした。その後、量産開始時期は2024年下半期に前倒しされている。同工場のハイパーブラックジャック総額については、2024年8月下旬に、韓国の各メディアは76億ドル、と報じている。他方、対外直接ハイパーブラックジャック統計で「自動車・トレーラー」をみると、2023年は6億4,127万ドル、2022年と合わせても9億3,269万ドルにすぎない。このギャップの理由については、同グループが工場建設資金を、既存の現地法人の内部留保など、韓国からの直接ハイパーブラックジャック以外の方法で調達したためと考えられる。

二次電池については、韓国企業各社は、相次いで米国での二次電池生産拠点を大幅に拡充しつつある(表3参照)。多くの生産拠点は、完成車メーカーとの合弁となっている。合弁は、完成車メーカーとしては二次電池を安定的に確保できる点で、二次電池メーカーとしては製品の販売先を確保できる点で、それぞれメリットがある。

ただし、米国のEV市場が当初の予想ほどは拡大していないことから、一部で米国生産拠点構築スケジュールを延期する動きも出ている。2024年に入ってからのメディア報道として、例えば、「毎日経済新聞」(2024年3月5日、電子版)は、「LGエナジーソリューションは、GMとの合弁でインディアナ州に構築する予定だった第4工場の建設を中止した」「SKオンは、2026年の稼働を目標としていたケンタッキー州の第2工場の建設を延期することにした」と報じた。「韓国経済新聞」(2024年6月28日、電子版)は、「LGエナジーソリューションが米国アリゾナ州に建設しているエネルギー貯蔵システム(ESS)用電池工場の建設を一時中断した。代わりに、稼働率が低下している現地の車載電池工場の生産ラインをESS用に一部、転換する計画」と報じた。さらに、「聯合ニュース」(2024年8月4日)は、「LGエナジーソリューションは最近、GMとの合弁で2025年稼働を目標に米国ミシガン州ランシングに建設していた第3工場の建設を一時中断した」と報じた。

表3:韓国二次電池メーカーの米国生産拠点一覧(計画を含む)(-は記載なし)
企業名 地域名 生産能力 備考
LGエナジーソリューション ミシガン州ホランド 26GWh(稼働中)、2025年までに40GWhに増強
アリゾナ州クイーンクリーク 53GWh(車載用円筒型 36GWh、ESS用パウチ型LFP電池 17GWh。いずれも2026年稼働予定) LFP電池工場の建設工事が一時中断との韓国メディアの報道あり
オハイオ州ローズタウン 40GWh(稼働中) GMとの合弁(第1工場)
テネシー州スプリングヒル 50GWh(稼働中) GMとの合弁(第2工場)
ミシガン州ランシング 50GWh(2026年稼働予定) GMとの合弁(第3工場)。韓国メディア報道によると、完成時期が延期された模様
オハイオ州ジェファーソンビル 40GWh(2025年稼働予定) ホンダとの合弁
ジョージア州サバンナ 30GWh(2026年稼働予定) 現代自動車グループとの合弁
SKオン ケンタッキー州グレンデール 86GWh(第1工場は2025年、第2工場は2026年以降に稼働予定) フォードとの合弁(工場2カ所)
テネシー州スタントン 43GWh(2025年稼働予定) フォードとの合弁
ジョージア州コマース 21.5GWh(第1工場9.8GWh。第2工場11.7GWh)(稼働中) 第2工場の供給先を従来のフォードから現代自動車に変更するとの韓国メディアの報道あり
ジョージア州バートウ 35GWh(2025年稼働予定) 現代自動車グループとの合弁
サムスンSDI インディアナ州コーコモー 33GWh(2025年稼働予定) ステランティスと合弁(第1工場)
34GWh(2027年稼働予定) ステランティスと合弁(第2工場)
インディアナ州ニューカーライル 27GWh~(2027年稼働予定) GMと合弁

出所:各社プレスリリース、各種韓国メディアなどを基に作成

韓国の二次電池メーカーの米国ハイパーブラックジャックの拡大を見越し、二次電池材料メーカーも米国現地生産を進めている。例えば、ロッテケミカルとロッテアルミニウムは2022年7月、ケンタッキー州に年産3万6,000トン規模の正極材用アルミ箔工場を建設すると発表した。また、LG化学は2022年11月、テネシー州に年産12万トン規模の正極材工場を建設することを発表した。さらに、同じ2022年11月には、エムケムがジョージア州の電解液工場を拡張し、ミシガン州、ケンタッキー州、テネシー州、オハイオ州に新しい電解液工場を建設する計画を発表した。

さらに、二次電池以外の自動車部品メーカーの進出も相次いでいる。例えば、「毎日経済新聞」(2023年2月22日、電子版)は、「米国でインフレ削減法の施行による税制のメリットを享受するためには、米国内での車生産が必須だ。現代自動車の部品協力社のSLとDICなども最近、対米ハイパーブラックジャックを行った」と述べている。「韓国経済新聞」(2023年2月24日、電子版)も、「自動車部品メーカーは相次いで米国ハイパーブラックジャックを拡大している。米国のインフレ削減法に対処し、現代自動車が昨年10月に着工したジョージア州のEV専用工場にハイパーブラックジャックした影響だ」とした後、具体的な自動車部品メーカー名を挙げている。

一方、半導体分野でも、AI(人工知能)需要の拡大や米国政府の補助金支給を理由に、韓国企業が米国で巨額のハイパーブラックジャックを行っている。後者については、2022年8月に成立したCHIPSプラス法の存在が大きい。同法は、米国内で半導体製造施設の建設・拡張などを行う企業に対する390億ドルの助成と25%のハイパーブラックジャック税額控除、研究開発を行う企業に対する110億ドルの助成などを規定している。

サムスン電子は2021年11月、170億ドルを投じ、テキサス州テイラーにファウンドリ工場を新設する計画を発表した。新工場では、5G(第5世代移動通信システム)、HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)、AIなどのさまざまな分野の先端システム半導体を生産するとした。さらに、韓国メディアによると、同社は2024年4月、ハイパーブラックジャック額を450億ドルに増やし、ファウンドリ工場を追加建設し、先端パッケージング、研究開発施設も構築する方針を固めた。米国政府は同月、CHIPSプラス法に基づき、サムスン電子に対して最大で64億ドルの助成金を支給すると発表した。

サムスン電子の工場新設に伴い、関連企業も米国進出に向けて動いている。例えば、「毎日経済新聞」(2024年4月26日、電子版)は、「半導体業界によると、トンジンセミケム、ソルブレイン、FST、ハニャンE&Gをはじめ、主要半導体素材・部品・製造装置企業が米国行きをすでに決定している。サムスン電子に納品する他の素材・部品・製造装置企業も、サムスン電子の工場の近くに生産拠点を建設することを検討している」と報じている。

一方、SKハイニックスも2024年4月、38億7,000万ドルを投じ、最新のHBM(広帯域メモリー)やDRAM向けの先端パッケージング製造・研究開発施設をインディアナ州ウェストラファイエットに建設することを発表した。同社では、2028年下半期から、次世代HBMなどAIメモリー製品を量産する予定としている。米国政府は2024年8月、SKハイニックスに対し最大4億5,000万ドルを助成することを発表した。

二次電池、半導体以外の幅広い分野にもハイパーブラックジャック

製造業分野での対米直接ハイパーブラックジャックは、二次電池や半導体以外にも、幅広い分野で行われている。2023年1月以降に韓国企業が発表、または、韓国メディアが報道した主な対米直接ハイパーブラックジャック事例(製造業分野中心)をまとめると、別表のとおり。別表をみると、二次電池関連が多く、半導体関連もみられる一方で、太陽光パネル、バイオ医薬品、食品など、さまざまな分野で対米直接ハイパーブラックジャック案件があることが確認できる。

太陽光パネル関連では、ハンファ・グループの事例がみられる。これは、米国市場の拡大とともに、太陽光パネル製造が米国のインフレ削減法の「先端製造生産比例税額控除」の対象となっていることが米国進出を後押しした結果だ。これに関連し、「毎日経済新聞」(2023年8月18日、電子版)は、「ハンファ・グループは、今年に入って米国に合計26の新規法人を設立した。(中略)新規法人のうち、20社が事業目的を太陽光としている。2022年に発効したインフレ削減法により、米国で太陽光発電設備を製造すると、モジュール基準1ワット当たり7セントの補助金が支給される。これにより、米国太陽光モジュール市場シェア1位のハンファソリューションは、年間1兆ウォンを超える税金が減免されることになり、大規模な新規ハイパーブラックジャックを行い、関連法人の数を急増させた」と紹介している。

バイオ医薬品関連では、米国企業に出資、または米国企業を買収したり、米国の生産拠点を新増設したりする動きが数多くみられた。狙いは、米国市場での拡販や米国企業の保有技術の獲得などにある。

食品では、CJ第一製糖(2023年5月)、CJフードビル(同年9月)、プルムウォン(同年11月)、農心(2024年1月)などが米国内で工場の新増設を行っている。また、大象(2023年6月)は米国の食品企業を買収している。これらの多くは、米国で韓国食品の人気が徐々に高まり、市場が拡大していることを受け、市場獲得のために現地生産を拡大させたものだ。ちなみに、韓国の貿易統計をみると、韓国の農林水産物(韓国独自コードのMTI 0)の対米輸出は増加傾向にあり、2019年に初めて10億ドルを突破、2023年は過去最高の16億2,359万ドルを記録している。

金融・保険業は米国企業への出資目的のハイパーブラックジャックが多い

製造業とともに、最近の対米直接ハイパーブラックジャックを牽引したのが金融・保険業だ。金融・保険業とは具体的にどのような業種を指すのであろうか。2023年の直接ハイパーブラックジャック実績を業種(細分類)別にみると、「持ち株会社」「その他金融ハイパーブラックジャック業」などのハイパーブラックジャック額が多く、これらが金融・保険業の対米直接ハイパーブラックジャックの中心となっている。

持ち株会社を巡っては、米国企業に出資する目的で、ハイパーブラックジャック会社としての持ち株会社を米国に新設したり、既存の米国持ち株会社に追加出資したりする事例が多いようだ。例えば、SKグループの持ち株会社SKは2021年10月、子会社でエネルギー企業のE&Sが同社の米国持ち株会社に追加出資すると発表した。追加出資の目的は、米国のエネルギーソリューション企業のレブ・リニューアブルへの出資(最大4億ドル)としている。また、航空宇宙・防衛事業などを営むLIGネクスワンは、2023年12月、米国にSPC(特別目的会社)を設立することを発表した。同社の発表によると、設立の目的はペンシルベニア州フィラデルフィア所在のロボット開発・製造企業のゴースト・ロボティクスの株式60%取得だ(残りの40%は、プライベートエクイティファンドの韓国ハイパーブラックジャックプライベートエクイティが取得)。買収により、米国の防衛装備品市場への参入を目指すとしている。ちなみに、本件はその後、2024年7月に取得金額2億3,971万ドルで買収が完了している。さらに、ハンファオーシャン(旧・大宇造船海洋)は、2023年末、米国に持ち株会社を設立した。設立の目的は、造船業や防衛産業関連の現地企業への出資だ。

一方、その他金融ハイパーブラックジャック業は、ベンチャーキャピタル(VC)ハイパーブラックジャックなどが該当する。これは、新技術獲得を狙ったバイオ医薬品分野を中心にみられる。例えば、新薬開発企業のSKバイオファームは2023年5月、米国のバイオ・ヘルスケア関連のベンチャーキャピタルのライフサイ・ベンチャーパートナーズに出資すると発表した。出資目的について、SKバイオファームでは「有望バイオテクへのハイパーブラックジャックのため」とした。また、LGグループの持ち株会社のLGは、2018年にシリコンバレーに設立したベンチャーキャピタル経由で、2024年5月、肥満治療薬開発のアードバークテラピューティクスに出資した。LGグループのバイオ事業育成策の一環だ。さらに、サムスン物産、サムスンバイオロジクス、サムスンバイオエピスは2024年7月、韓国国内に設立したファンドを通じ、米国のバイオ製薬関連のベンチャーキャピタルのフラグシップ・パイオニアリングが運営するファンドに出資すると発表した。バイオ関連の新技術の発掘などに期待している模様だ。

今後の対米直接ハイパーブラックジャックは米国次期政権の産業政策が左右

以上でみたように、特に製造業へのハイパーブラックジャックを中心に、韓国の対米直接ハイパーブラックジャックはインフレ削減法やCHIPSプラス法により誘発された側面が強い。従って、米国の次期政権で、これらの産業政策がどうなるかによって、韓国企業の対米ハイパーブラックジャックは大きく左右されよう。実際、韓国では米国次期政権の産業政策に対する関心が高まっており、選挙結果が韓国企業に及ぼす影響に関してシナリオ別に分析したさまざまなレポートが発刊されている。例えば、政府系シンクタンクの産業研究院は、2024年6月に「米国大統領選に伴う韓国自動車産業への影響」を、同年10月に「米国大統領選 シナリオ別の韓国の産業への影響と対応方向」をそれぞれ発表している。また、代表的な経済団体の1つの韓国経済人協会は、同年8月に「2024 米国大統領選 両党の経済政策基調分析」を発表している。

さらに、一部では、米国大統領選挙の結果や次期政権の政策の発表まで、対米直接ハイパーブラックジャックを見合わせる動きもあるようだ。例えば、「韓国経済新聞」(2024年7月31日、電子版)は、二次電池用セパレータ製造のSKアイイーテクノロジー(SKIET)について、「北米でのセパレータ工場の新規ハイパーブラックジャックについては、米国の大統領選後の来年第1四半期(1~3月)中に決定する予定」と伝えている。


注:
「韓国経済新聞」では、集計対象とした企業グループについて、「サムスン電子、SK、現代自動車、LG、ハンファ、CJなどの主要グループの系列企業」と述べているが、集計対象としたすべての企業グループ名や、対象企業数などについての言及はない。

変更履歴
表1・表2の見出しの区切りを修正しました(2024年10月21日)
ハイパーブラックジャック
執筆者紹介
ジェトロ調査部中国北アジア課
百本 和弘(もももと かずひろ)
ジェトロ・ソウル事務所次長、海外調査部主査などを経て、2023年3月末に定年退職、4月から非常勤嘱託員として、韓国経済・通商政策・企業動向などをウォッチ。