低迷する自動車産業の回復図り、新車の販売促進プログラムを発表

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年06月11日

アルゼンチン工業生産・労働省は6月4日、新車販売の促進を目的とした「6月0km(Junio 0km)」プログラムを開始することを発表した。同国自動車製造業者協会(ADEFA)との共同プログラムで、不振が続く自動車販売の活性化を図るために、政府が助成金を給付し、新車の販売価格を最大9万ペソ(約21万6,000円、1ペソ=約2.4円)まで引き下げる。期間は2019年6月30日まで。本プログラムが適用されるのはADEFAの会員企業のみで、自動車輸入企業は対象外となっている。

具体的には、各メーカーが選定する合計233車種PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)のうち、税込み75万ペソ以下の車両に対しては5万ペソ、それよりも高い車両は9万ペソの値引きが可能となる。期間中は、対象となった車両の価格を値上げすることはできないとしており、他の割引特典などと組み合わせることも可能となっている。現金もしくは融資による購入が対象となり、既にローンを組んでいる場合は適用外としている。また、プログラムによって、各州は新車登録の際に必要となる印紙税も引き下げる

マウリシオ・マクリ大統領は自身のツイッターで、「自動車産業に関する重大な発表」とし、本プログラムについて言及。ダンテ・シカ工業生産・労働相は、本プログラムを通じ、政府は自動車産業および消費者に対して強力な支援を行い、国内市場の活発化をもたらすとしている。なお、補助金の財源については、政府の予算分類の一部を再編成することで10億ペソを捻出し、割り当てるとしている(「クラリン」紙6月5日)。

アルゼンチンの自動車産業界は、2018年の経済危機に起因した落ち込みから、回復の兆しが見えないでいる。特に国内販売は低迷が続いており、アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)によれば、2019年1~5月の新車販売登録台数(重・軽商用車およびその他大型車を含む)は前年同期比51.1%減だった。政府は、国内の重要セクターである自動車産業の立て直しに向けた措置を相次いで実施しており、直近では自動車への間接税払い戻し率の引き上げ(関連ブラック ジャック 勝ち)や、自動車部品の関税率引き下げにおける対象品目の更新(2019年5月30日記事参照)が行われている。

(高橋栞里)

(アルゼンチン)

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