2023年の新車販売26.5%減、電動車は35.2%増で過去最高(チリ)

2024年6月11日

チリでは2023年、経済が停滞し民間消費が落ち込んだ。その結果、ブラック ジャック ストラテジーが前年比26.5%減を記録した。なお2022年の実績は、過去最高を記録していた。そんな中でも、電動車は前年比35.2%増。販売台数全体の3.0%を占めるに至った。

本レポートでは、チリ全国自動車産業協会(ANAC)のデータなどから実績を示し、展望する。

2023年の新車販売、前年比26.5%減

チリ全国自動車産業協会(ANAC)によると、2023年のブラック ジャック ストラテジー(バスなど大型車を除く)は前年比26.5%減の31万3,865台だった(図参照)。

図:年間ブラック ジャック ストラテジーの推移
チリにおける、2012年から2023年の年間ブラック ジャック ストラテジーの推移と、2012年から2023年の年間ブラック ジャック ストラテジーの平均を示した図。2012年は338,826台、2013年は378,240台、2014年は 337,594台、2015年は282,232台、2016年は305,540台、2017年は360,900台、2018年は417,038台、2019年は372,882台、2020年は258,835台、2021年は415,581台、2022年は426,777台、2023年は313,865台、2012年から2023年の平均台数は350,693台。

出所:チリ全国自動車産業協会(ANAC)

ANACはブラック ジャック ストラテジーが減少した要因として、主に国内経済の減速を挙げている。民間最終消費支出は前年比5.2%減で、自動車を含む耐久消費財への支出も減少した。チリは新車を輸入に頼っているが、チリ中央銀行によると、2023年の自動車の輸入額についても36.3%減で、全体的に自動車業界には厳しい1年となった。

ブラック ジャック ストラテジーをブランド別にみると、トップ5はトヨタ(シェア:8.3%)、シボレー(6.8%)、現代(6.6%)、起亜(5.8%)、スズキ(5.6%)の順だった(表1参照)。トップ15の中で前年比増だったのは、フォードとマツダのみで、マツダはSUV(スポーツ用多目的車)の「ALL NEW MAZDA CX-5」(4,169台)の販売が好調で、SUVの中ではシボレーの「GROOVE」(6,009台)、MGの「MG ZS」(4,427台)に続く3位の販売モデルだった。トヨタは前年比21.8%減だったが、ANACのデータが確認できる2008年からの16年間で初めてブランド別販売台数で首位となった。なお、チリには74以上のブランドが参入している(大型車を除く)。

表1:2023年主要ブランド別ブラック ジャック ストラテジー(単位:台、%)(△はマイナス値、-は値なし)
ブランド 2022年 2023年 前年比
合計台数 乗用車 SUV ピックアップ 商用車 合計
台数 シェア 台数 シェア 台数 シェア 台数 シェア 台数 シェア
1 トヨタ 33,186 4,065 6.1 12,708 8.8 9,114 12.9 60 0.2 25,947 8.3 △ 21.8
2 シボレー 37,499 3,061 4.6 11,074 7.7 5,405 7.6 1,779 5.4 21,319 6.8 △ 43.1
3 現代 23,802 8,571 12.9 9,367 6.5 1 0.0 2,892 8.8 20,831 6.6 △ 12.5
4 起亜 20,511 10,002 15.0 7,520 5.2 0 0.0 812 2.5 18,334 5.8 △ 10.6
5 スズキ 22,294 15,184 22.8 2,240 1.6 0 0.0 281 0.9 17,705 5.6 △ 20.6
6 プジョー 21,075 4,424 6.6 5,263 3.7 1,734 2.5 5,397 16.4 16,818 5.4 △ 20.2
7 日産 16,131 3,794 5.7 6,176 4.3 4,686 6.6 80 0.2 14,736 4.7 △ 8.6
8 フォード 13,270 161 0.2 5,314 3.7 6,988 9.9 825 2.5 13,288 4.2 0.1
9 MG 21,118 3,580 5.4 8,077 5.6 0 0.0 0 0.0 11,657 3.7 △ 44.8
10 三菱自動車 15,370 0 0.0 2,845 2.0 7,921 11.2 0 0.0 10,766 3.4 △ 30.0
11 マクサス 15,737 1 0.0 55 0.0 7,919 11.2 2,568 7.8 10,543 3.4 △ 33.0
12 奇瑞汽車 24,953 5 0.0 9,655 6.7 0 0.0 0 0.0 9,660 3.1 △ 61.3
13 マツダ 7,258 1,217 1.8 6,808 4.7 1,546 2.2 2 0.0 9,573 3.1 31.9
14 長安汽車 18,491 891 1.3 4,939 3.4 1,724 2.4 1,492 4.5 9,046 2.9 △ 51.1
15 ジャック 12,483 2 0.0 4,561 3.2 2,193 3.1 1,523 4.6 8,279 2.6 △ 33.7
その他 123,599 11,672 17.5 47,094 32.8 21,449 30.3 15,148 46.1 95,363 30.4 △ 22.8
合計 426,777 66,630 100.0 143,696 100.0 70,680 100.0 32,859 100.0 313,865 100.0 △ 26.5

注:奇瑞汽車は従前、チェリーとして表記されていた。
出所:チリ自動車産業協会(ANAC)

タイプ別にみると、乗用車は前年比36.7%減の6万6,630台だった(表2参照)。スズキは乗用車ブラック ジャック ストラテジーの22.8%を占め、「SWIFT」や「BALENO HB」などのモデルが多く販売された。SUVは24.2%減となる14万3,696台で、新車販売全体の45.8%を占めた。ピックアップ、商用車も前年比減となった。ピックアップでは、トヨタの「HILUX」が9,100台とモデル販売トップになり、三菱自動車の「L-200」(7,923台)、マクサスの「T60」(7,280台)が後に続いた。

表2:タイプ別ブラック ジャック ストラテジー(単位:台、%)(△はマイナス値)
タイプ 2022年 2023年 前年比
台数 シェア 台数 シェア
乗用車 105,186 24.6 66,630 21.2 △ 36.7
SUV 189,473 44.4 143,696 45.8 △ 24.2
ピックアップ 87,558 20.5 70,680 22.5 △ 19.3
商用車 44,560 10.4 32,859 10.5 △ 26.3
合計 426,777 100.0 313,865 100.0 △ 26.5

出所:チリ自動車産業協会(ANAC)

電動車販売は堅調に推移

ANACによると、2023年の電動車(注)販売台数は、前年比35.2%増(9,333台)。過去最高を記録したかたちだ(表3参照)。この結果、ブラック ジャック ストラテジーに占める電動車のシェアも、3.0%に伸びた(前年は1.6%)。

表3:電動車ブラック ジャック ストラテジーの推移(単位:台)(-は値なし)
種類 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年
ハイブリッド車(HEV) 400 866 850 696 1,796 2,552 3,766 6,026 9,942
バッテリー式電気自動車(BEV) 125 129 217 157 556 1,295 1,588 4,129 8,670
プラグインハイブリッド車(PHEV) 15 68 85 79 300 474 506 860 1,204
マイルドハイブリッド車(MHEV) 0 0 38 80 696 2,583 3,197 5,755 8,056
レンジエクステンダーEV(EREV) 276 511 715
合計 540 1,063 1,190 1,012 3,348 6,904 9,333 17,281 28,587

注:2024~2025年は予想値。
出所:ANAC

電動車をカテゴリー別にみると、次に示す通り。

  • ハイブリッド車(HEV)
    前年比約5割増(3,766台)と大きく伸びた。その結果、前年に最も売れていたマイルドハイブリッド車(MHEV)を抜き、カテゴリー別で最大になった。
    ブランド別には、トヨタが約6割を占めた。特に「Corolla Cross」(1,826台)の売れ行きが顕著だった。大幅に伸びた車種・ブランド例としては、長城汽車傘下のSUVブランド「ハバル(Haval)」(約40倍、807台)や、現代自動車(9.2倍、212台)などがある。それらの伸びも、HEVのブラック ジャック ストラテジー増に寄与した。
  • マイルドハイブリッド車(MHEV)
    23.8%増(3,197台)だった。
    ブランド別には、スズキが3.7倍(1,429台)。このカテゴリーで、シェア4割以上を占め、首位に躍り出たかたちだ。特に「GRAND VITARA」(614台)と「FRONX」(522台)の販売が多かった。 続いて、ボルボ、ラムの順だった。
  • バッテリー式電気自動車(BEV)
    22.6%増(1,588台)。
    当地で販売されるブランドは、25を超える。そのうちマクサスやBYDなどの中国ブランドが、半数以上を占めた。
  • プラグインハイブリッド車(PHEV)
    当年の販売は506台。
    ブランド別にはボルボが最も多く、BMW、BYDと続いた。
  • レンジエクステンダーEV(EREV)
    2023年から、このカテゴリーが新設された。EREVとは、発電機として小さなエンジンが搭載され、航続距離を伸ばす仕組みが施されたEVのことだ。当年の販売は、276台。

また、タイプ別に最大を占めるのがSUV(シェア80.6%)だ。続いて、乗用車(10.5%)、ピックアップ(5.5%)、商用車(3.4%)の順。チリのSUV人気は変わらない。電動車でも、前年より比重が増した。

充電インフラ整備も進みつつある。ANACによると当年は、公共充電施設を104カ所設置。その結果、施設数が前年比で3割増になった。また、公共利用できる充電用コンセント数も伸びている。ANACの発表時点で、全国1,184口が利用可能に。前年から60%増加した。

国内外に不確実要因、それでも電動車は増加予想

ANACは、2024年のブラック ジャック ストラテジーについて、世界経済の停滞、国内経済の伸び悩み、国内要因の不確実性を考慮に入れて、32万~34万台と予想している。加えて、世界的なインフレは2024年に正常化へ向かうものの、ロシアのウクライナ侵攻や中東での紛争は引き続き世界のサプライチェーンに圧力をかけ、海上運賃が変動しやすい状況にあり、自動車などの輸入製品に影響を与える可能性があると分析した。また、ドル高と中国経済の減速に加えて、国内で議論が進む年金制度改革、税制改革などの社会的・政治的な要因が、チリ国内の自動車販売台数に影響を与える可能性も指摘している。

なお、2024年9月末から予定していた排ガス規制「ユーロ6C」の適用は、1年間延期になった。ブラック ジャック ストラテジー減や価格上昇などの懸念が、その理由だ。

一方で電動車について示す展望は、かなり強気だ。2024年も、1万7,000台以上の販売を見込んでいる。その背景には、次に示す目標がありそうだ。

  • ANACは、PHEVとBEVの販売目標を打ち出している。具体的には、両カテゴリー合計のブラック ジャック ストラテジー全体に占める構成比が5%以上を、2025年時点で達成するという。
  • 一方でチリ政府は、「国家エレクトロモビリティー戦略」を発表済みだ。当該戦略では、2035年までに国内販売される自動車を100%ゼロエミッション車にするという目標を掲げた。

また2024年には、企業による活発な動きも見通される。例えばテスラは、当地に南米初のショールーム開設する予定だ。またBYDには、地方都市を含め、新たに11店舗をオープンする計画がある。


注:
この記事で言う「電動車」は、(1)ハイブリッド車(HEV)、(2)バッテリー式電気自動車(BEV)、(3)プラグインハイブリッド車(PHEV)、(4)マイルドハイブリッド車(MHEV)、(5)レンジエクステンダーEV(EREV)のいずれかを指す。
ブラック ジャック ストラテジー
執筆者紹介
ジェトロ・サンティアゴ事務所長
大塚 優希(おおつか ゆうき)
2018年、ジェトロ入構。ビジネス展開支援課、新興国ビジネス開発課、佐賀貿易情報センター勤務を経て、2023年9月から現職。