簡易型株式会社の設立手続きが再開
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2024年04月19日
アルゼンチン政府は4月11日、司法総監察局(Inspección General de Justicia:IGJ)決議11/2024号および同決議12/2024号を公布し、簡易型株式会社(通称S.A.S)の設立および運営に関する手続きを再開する措置を講じた。今回の措置は暫定的なもので、制度をさらに改善する意向だ。
アルゼンチンにおける企業形態として、株式会社(S.A.)、有限会社(S.R.L.)、支店の3つの企業形態のほか、起業家資本支援法(法律27349号)により、設立手続きを簡素化し、24時間以内にオンラインで設立できるS.A.S.が2017年に設けられた。しかし、2019年末に発足したアルベルト・フェルナンデス政権は、S.A.S.制度は脱税やマネーロンダリングなどに悪用されている疑いがあるとして、S.A.S.の新規設立に多くの手続きや条件を追加し、S.A.S.の設立が困難となった。現政権によると、2017年から2019年12月9日までの間にブエノスアイレス市のみで約1万4,000社のS.A.S.が設立されたのに対し、フェルナンデス政権下ではわずか34社にとどまった。
ハビエル・ミレイ政権は、今回の決議によって国内外の投資家に対してより多くのツールを提供し、新規事業の促進、既存事業の再開、雇用の創出を目指すとしている。2024年4月12日以降、起業家や投資家は、2人以上の共同経営者(出資者)によって、最大72時間以内にS.A.S.を設立できる。経営者(出資者)が1人の場合でも、個人S.A.S.(S.A.S. Unipersonal)を設立することができる。現時点では、公証人を通じた手続き、行政手続き遠隔プラットフォーム(Trámites a Distancia:TAD)を通じたオンラインの手続きの2つの方法でS.A.S.を設立できるが、5月16日以降は、共同経営者がIGJ窓口で直接、手続きを行うことができるようになる。
4月12日付の現地メディア「iProUP」(電子版)によると、アルゼンチン起業家協会(ASEA)のアレハンドロ・マルティネス代表は「4年前から法廷において(ルールの改善を)求めていた。今回の決定を待ち望んでいた」と語った。同メディアによると、現在、司法省において、企業形態の在り方や外国企業の国内参入をより促進する方法などを含む会社法(1972年法律19550号)と起業家資本支援法の改正が検討されている。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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