メキシコのエネルギー規制委、許認可申請の受け付け再開も、月間件数を制限
(メキシコ、米国、カナダ)
メキシコ発
2023年03月06日
メキシコのエネルギー規制委員会(CRE)は2月28日、連邦官報で公文書を出し、2021年1月28日以降、新型コロナ感染防止の観点から公には停止していた許認可申請を3月1日から正式に再開すると明らかにした。しかし、新規申請受け付けについては、以下のとおり、月間で件数制限を設けるとした。これは、停止期間中にも申請は受け付けていたためで、2月末時点で合計9,963件(炭化水素関連7,887件、電力関連858件、書類電子受付窓口利用のための事前登録1,218件)の未処理案件が存在している。月間申請件数の上限は、前述の未処理案件の処理が全て終わった後に拡大(増加)する。
- 1カ月間で1人(個人・法人)1回の申請まで
- 1カ月間で炭化水素関連は合計50件、電力関連は同15件まで、OPE(CREオンラインオフィス)利用の事前登録は同120件まで受け付け
新規申請にはCREの手続き文書番号が付与されるが、同番号取得に際しては、審査が行われる月が始まる前の5営業日間(2023年4月に審査される案件は3月27~31日)に文書番号を自ら取得する必要がある。ただし、2023年3月分に関しては、月初の5営業日(3月1~3、5、6日)に文書番号が付与される。
経済界は件数制限を問題視
CREによる発電事業やガソリン販売などの許認可付与は、現政権下で大きな遅延がみられており、合理的ではない理由に基づく申請の却下や、既存の許認可の取消なども起きており、米国政府からは、電力庁(CFE)や石油公社(PEMEX)を優遇して民間事業者のビジネスを阻害しているとして、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の枠組みで、紛争解決に向けた協議の申請がなされている(米USTR、ブラック ジャック)。
今回、CREに対する手続きが正式に再開され、未処理案件への対応を優先したことは、既存の遅延問題の解消につながるとの期待がある一方で、1申請者当たりや1カ月当たりの合計受理制限を明確な根拠もなく設けることは、民間事業者が円滑に事業を開始することを妨げることになると指摘する声もある。メキシコ経営者連合会(COPARMEX)は3月2日付でプレスリリースを出し、CREが申請件数に制限を課すことにより、新規案件の審査が3年ほど遅れることにつながると指摘する。COPARMEXは、CREに申請件数の制限をする法的根拠はなく、エネルギー分野だけでなく、国の経済全体にとってもマイナスの影響を与えると指摘している。
(中畑貴雄)
(メキシコ、米国、カナダ)
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