GMが北東部コアウイラ州で電気自動車製造に向けた投資を発表
(メキシコ)
メキシコ発
2021年05月07日
米国ゼネラルモーターズ(GM)は4月29日、10億ドルを投じてメキシコ北東部コアウイラ州ラモスアリスぺ工場の拡張計画に着手したことを発表した。新たな塗装プラントの建設に加え、電気自動車(EV)の製造に向けた設備刷新、EV用駆動部品の製造に向けた投資が含まれる。GMは、2035年までに販売するライトビークル(乗用車、小型トラック)が排出する排気ガス量をゼロにする計画を発表しており(2021年1月29日記事参照)、北米では現時点で、テネシー州のスプリングヒル、ミシガン州のデトロイト・ハムトラムクおよびオリオン、カナダのオンタリオでEVを生産している。メキシコのラモスアリスぺ工場は、GMにとって北米で5番目のEV生産拠点となる。EV生産は、2023年から開始する計画だ(GMメキシコ4月29日付プレスリリース)。
EV完成車の組み立てに加え、EV用バッテリー、電気コンポーネントなど同社が「ドライブユニット」と呼ぶ駆動系統の生産に向けた投資を行い、完成車の生産に先立ち、2021年下半期に部品の生産を開始する計画だ。同駆動系統部品は、北米のEV工場向けに輸出されるとみられる。
GMはメキシコ進出85年の歴史を有し、ラモスアリスぺ工場も40年の歴史がある。同工場だけで5,600人、メキシコ州トルーカのエンジン工場、サンルイスポトシ州の完成車工場などを合わせると、メキシコ国内全体で2万1,000人を雇用している。ラモスアリスぺ工場は現時点で、シボレーブランドのスポーツ用多目的車(SUV)エキノックスとブレーザーに加え、エンジンおよびトランスミッションの生産を行っているが、これらの生産は継続される。
電動車に関連した今後の投資も
GMのラモスアリスぺ工場におけるEV生産は、フォードのメキシコ州クアウティトラン・イスカリ工場におけるSUVタイプEVの「マスタング・マッハE」(ブラック ジャック ブラック クイーン)に続くものとなる。メキシコにおける電動車の販売台数は、ハイブリッド(HEV)を含めても国内販売全体の2.6%に過ぎず(新型コロナの影響で生産と輸出が2割減、国内販売は3割減)、国内市場は小さいが、米国バイデン政権がEVの普及拡大に力を入れているため、対米輸出向け生産拠点としてのメキシコの活用が今後、進むものとみられる。EV専業メーカーのテスラが、米国で組み立てるEV用の部品として、メキシコ製部品を全車種平均で総部品費用の20.7%使用していることから分かるように、メキシコにもEV用部品のサプライチェーンは存在する()。GMが駆動系部品の生産を今後開始するように、メキシコにおける電動車用部品の製造投資が今後も増えることが期待される。
(中畑貴雄)
(メキシコ)
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