米下院中国特別委、中国製品の調達を巡り自動車部品販売店に対応を要請
(米国、中国)
ニューヨーク発
2024年09月10日
米国連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委員会)」は9月6日、ジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州)を含む上下院の超党派議員団が自動車部品販売会社6社に対し、中国企業により不法に輸入された可能性のある製品を調達していることに関し、深刻な懸念を表明するとともに対処を求める書簡を送ったことを発表した。
書簡によると、米国国土安全保障省による捜査の結果、中国に拠点を置く自動車部品メーカーの青島三祥科技(チンタオ・サンソン)とその米国子会社が、1974年通商法301条に基づく対中追加関税を回避するため、タイで積み替えや軽微な加工のみを行い、中国原産品として扱われるべき製品を米国に迂回輸入したとの懸念が生じている。書簡は、自動車部品販売会社のオートゾーン(本社:テネシー州メンフィス)、オライリー・オートパーツ(ミズーリ州スプリングフィールド)、ジェニュイン・パーツ・カンパニー(ジョージア州アトランタ)、アドバンス・オートパーツ(ノースカロライナ州ローリー)、ファースト・ブランズ・グループ(ミシガン州ロチェスターヒルズ)、ファクトリー・モーター・パーツ(ミネソタ州イーガン)に宛てられた。オートゾーンなど米国系企業がチンタオ・サンソンの売上高に占める割合は4割を超えている。
議員団は書簡の中で、「米国の小売業者は、関税回避やそのほかの違法な貿易慣行に従事する企業を不注意に支援しないようにする責任がある。そのような(違法な)調達慣行は米国の製造業者に損害を与え、米国の政策目標を損ない、中国共産党の不公正な経済政策を助長する」と述べた。また、「製品の原産国ラベルを故意に偽造する外国の輸入業者は、関税法に基づく多額の罰金を含む刑事罰および民事罰の対象となる。違法に積み替えられた製品を故意に購入することに加担していることが判明した企業も、重大な刑事責任および民事責任に直面する」と指摘。6社に対し、(1)チンタオ・サンソンからの製品購入開始時期や、原産国(COO)をタイに移したことに対する認識、(2)積み替えの疑惑と当局の捜査に対する対応、(3)サプライヤーのデューディリジェンスの実行方法、(4)ウイグル強制労働防止法(UFLPA)を含む、強制労働により生産され、米国への輸入が禁止されている商品の調達を発見し防止するためのデューディリジェンスの過程の詳細な説明などに関し、9月20日までに回答を提出するよう求めている。
(大原典子)
(米国、中国)
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