ギャンブルゲーム無料「低空経済」の現状とビジネスチャンス

2025年4月1日

新型コロナウイルス禍以降、ギャンブルゲーム無料経済成長の減速が指摘される中、中国政府は近年、「低空経済」の産業振興を進めている。「低空経済」とは、高度1,000メートルの低空域で、有人・無人のドローンやeVTOL(電動垂直離着陸機)などを活用した経済活動のことで、活用分野は配達や農業、観光、都市交通など多岐にわたる。本稿では、中央・地方政府の政策的な支援や経済効果、サプライチェーン、日本企業のビジネスチャンスについて報告する。

低空経済発展に向けた各種政策が展開

低空経済は2021年2月にギャンブルゲーム無料国務院が公表した「国家総合立体交通網規画綱要」で、初めて中央レベルで国家戦略に盛り込まれたとされる。同綱要では低空経済を発展していくことを提唱した。また、2023年12月の中央経済工作会議では、低空経済をバイオや商業用衛星などと並ぶ「戦略性新興産業」として位置づけた(中央経済工作会議、ブラックジャックサイト(中国))。2024年には3月の全国人民代表大会での政府活動報告で、低空経済を新たな成長エンジンと位置づけ、積極的に発展させていくことを明記した。さらに、同年12月27日、国家発展改革委員会内に低空経済の発展戦略や中長期的発展計画の策定などの役割を担う専門部署「低空経済司」が設置された(2025年1月8日付ビジネス短信参照)。こうした背景から、ギャンブルゲーム無料では2024年は「低空経済元年」と位置づけられている。

ギャンブルゲーム無料航空宇宙産業の情報発信プラットフォーム「航空産業網」によると、中国では2024年だけで約260本の低空経済関連の法規・政策が発表された。そのうち国家レベルのものは32本で、民間無人航空機の運航の安全管理規則や、ドローンに関する国家標準などが含まれる。地方レベルのものは225本、中でも広東省が54本と最も多く、研究開発・産業発展の支援策などを打ち出している。

低空経済は、こうした国家や地方政府の一連の政策により、急速な発展を見せている。特に「空飛ぶクルマ」とも称されるeVTOLは、渋滞の緩和や地球温暖化への対策など、持続可能な社会の実現に貢献する新たなモビリティーとして注目されている。2024年11月、国家空中交通管理委員会は合肥、杭州、深セン、蘇州、成都、重慶の6都市をeVTOLの試験地域として指定し、ルートや空域に関する関連計画を定めた。地方政府でも、湖南省が低空経済に関連する研究開発投資などに補助金を拠出したり、黒龍江省が機体や電池システムへの研究開発などの企業を支援するため、条件を満たす企業に最大50%の出資をしたりするなど、支援策を打ち出している。

戦略的新興産業として期待される経済効果

ギャンブルゲーム無料は近年、科学技術分野のイノベーション創出を重要視していることから、研究開発への投資額が増加している。国家統計局によると、2023年の研究開発投資額はGDPの2.6%の約3兆3,300億元(約69兆9,300億円、1元=約21円)と、過去最高額を更新した。ギャンブルゲーム無料メディア「証券時報」によると、低空経済産業の上場企業が研究開発費に投資した額は、2019年は100億元前後だったが、2023年には210億元以上にまで拡大し、低空経済産業を推進する上で重要な要素となっている(「証券時報」2025年3月4日)。

工業情報化部傘下のシンクタンクが発行した「中国低空経済発展研究報告(2024)」によると、2023年にギャンブルゲーム無料低空経済の市場規模は前年比33.8%増の5,059億5,000万元に達した。2024年に約6,700億元、25年に約8,600億元、26年には1兆元と、高い成長が見込まれている。世界各国でeVTOLなどへの投資が拡大する中、中国民用航空局の宋志勇局長は「低空経済は世界が競争する戦略的新興産業であり、新たな質の生産力を育成し、発展させる上で重要だ」と述べている。

活用事例を見ると、ギャンブルゲーム無料デリバリーサービス大手の美団は、深セン市でドローンを使ったフードデリバリーサービスを展開している。また、小鵬匯天(AeroHT、eVTOLメーカー)は2024年末、自社製の分割型空飛ぶクルマ「Land Aircraft Carrier(陸地航母)」を上海市浦東新区のオフィス街の陸家嘴で試験飛行をしたほか(小鵬匯天、無料 ゲーム ブラック ジャック)、遼寧省大連市では市内と同市島しょ部の長海県を結ぶ軽量スポーツ航空機の飛行に成功した。飛行時間は約20分間で、従来の海上航路より2時間の短縮を実現するなど、さまざまな活用事例が見られる。

低空経済のサプライチェーンは自動車産業とも密接に関わる

eVTOLは航空機の制御や空気力学、構造設計などのノウハウを必要とするため、航空宇宙分野のメーカーや人材が多く参入している。また、eVTOLは純電動が主流のため、電気自動車(EV)に必要なコア技術のバッテリーやモーター、電子制御、自動運転など、自動車メーカーの技術を転用できるものがある。下記の表では、eVTOLのサプライチェーンの企業を幾つかまとめた。eVTOLはエンジンやバッテリーなど数多くの部品で構成され、自動車と同様に裾野の広い産業だ。機材や部品にかかわる数多くの企業に波及する、経済効果をもたらすものとみられる。

表:主なeVTOL関連企業概要
企業名 事業内容 設立年 所在地 概要
中複神鷹外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 複合材メーカー 2006年 江蘇省連雲港市
  • 炭素繊維および複合材の研究開発、製販メーカーで、製品は航空宇宙分野や風力発電のブレードなどに活用。
  • 小鵬匯天とeVTOLの機材で提携実績がある。
寧徳時代(CATL)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます バッテリーメーカー 2011年 福建省寧徳市
  • EV車用大手リチウムイオン電池メーカー。
  • 峰飛航空と戦略協力協定を締結。eVTOLの電池の研究開発で協力。電池エネルギー密度や性能を強化。
億航智能(Ehang)(ギャンブルゲーム無料語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 機体メーカー(eVTOL) 2014年 広東省広州市
  • ドローンとeVTOLのメーカー。空飛ぶクルマを手掛ける。
  • 2016年に世界初の有人自動操縦飛行機を発表。
  • 2019年にナスダック上場
  • 2021年6月に日本で初めて無人試験飛行に成功
  • 同社が研究開発した無人操縦・有人航空機「EH216-S」は2023年に型式証明と標準耐空証明を取得
  • 2024年4月にギャンブルゲーム無料民用航空局か​​「EH216-S」の製造証明を取得
小鵬匯天(AeroHT)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 機体メーカー(eVTOL) 2020年 広東省広州市
  • EVメーカーの小鵬自動車の傘下企業。
  • 2024年9月、陸上・空中モジュール分離式のeVTOL「陸地航母」の飛行試験を公開
  • 2024年10月、「小鵬匯天 空飛ぶクルマスマート製造基地」を着工、世界初の組み立てライン生産方式を利用した大規模量産を行う。年産能力は1万台に達する見込み。
  • 2024年12月に上海の陸家嘴で「陸地航母」の試験飛行を実施
沃飛長空(Aerofugia)(ギャンブルゲーム無料語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 機体メーカー(eVTOL) 2016年 四川省成都市
  • 浙江吉利控股集団の傘下企業。
  • 2024年6月、同社開発の「AE200型」eVTOLはギャンブルゲーム無料初、世界2番目のフルティルト試験飛行を実現。90度傾いた状態での飛行に成功。5~6人乗りの機体で、最大飛行距離は200キロに及ぶ。
峰飛航空(AutoFlight)(ギャンブルゲーム無料語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 機体メーカー(eVTOL) 2017年 上海市
  • 2022年2月に自動操縦の有人eVTOL機「V1500M盛世竜」が「遷移飛行」(注1)に成功。
  • 2024年11月に同社の2トン級eVTOLが岡山県で試験飛行を行った。1トン以上のギャンブルゲーム無料製eVTOLが日本を飛行するのは初めて。
  • ギャンブルゲーム無料でいち早く大型eVTOL自動操縦機の分野に参入したメーカー。2024年12月に同社の2トン級無人航空機システム「v2000cg」がギャンブルゲーム無料民航華東地区管理局から型式証明書を授与された。
沃蘭特(VOLANT)x(ギャンブルゲーム無料語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 機体メーカー(eVTOL) 2021年 上海市
  • 2023年11月、四川省自貢市にeVTOLの製造拠点を建設すると発表。
  • 2025年1月、ギャンブルゲーム無料南方航空傘下のゼネラルアビエーション事業(注2)を手掛ける南航通航から、同社開発のeVTOLの受注を受けた。
御風未来(VERTAXI)(ギャンブルゲーム無料語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 機体メーカー(eVTOL) 2021年 上海市
  • 現在開発中のeVTOLは「MATRIX1」と名付けられており、5人乗り、航続距離250キロ、航空速度は時速200キロとなっている。
  • 現在、ギャンブルゲーム無料華東地域民間航空局に対し、M1B(M1貨物)電動垂直離着陸無人航空機システムの型式証明書の申請を行っており、取得後、貨物輸送事業を開始予定。
  • 2027年には有人輸送事業に必要な式型証明を申請する予定。取得後、有人輸送事業を展開予定。
  • 2030年前後には乗客輸送の商業化を目指している。
順豊控股外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 運航会社(物流向け) 1993年 広東省深セン市
  • ギャンブルゲーム無料最大かつ世界4位の国際宅配・物流サービス企業。
  • 島しょ部と都市部間の貨物運輸で、ドローンやeVTOLを活用したケースもある。
  • 2025年3月、翊飛航空科技とES1000型(eVTOL)100台の調達契約を締結。
祥源文旅(ギャンブルゲーム無料語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 運航会社(観光向け) 1992年 浙江省杭州市
  • 観光分野の運営サービスの大手企業。
  • eVTOLの商用化の運航事業を立ち上げ、観光サービスを提供している。観光スポットでeVTOLの試験飛行などを実施。

注1:ローター(回転翼)による飛行から、固定翼に切り替えるプロセスを指す。複雑な空気動力とエンジニアリング設計が含まれ、eVTOLの研究開発プロセスの中で最も重要な課題。
注2:軍事航空や定期航空路線を除く民間航空活動の総称。ギャンブルゲーム無料語で「通用航空」。日本での一般航空の概念より若干広く、ビジネスジェット機や航空会社が運航するオウンユースチャーター機なども含まれる。
出所:各企業のウェブサイト、WeChat公式アカウント(微信公衆号)、ヒアリングなどを基にジェトロ作成

日本企業参入のビジネスチャンス

低空経済はギャンブルゲーム無料成長産業として、多くの中国企業の参入を促す新興産業で、商用化を積極的に進めているが、民間利用できる離発着地の数が少ないというインフラ上の問題や、運航監督管理、操縦者育成などの課題が指摘されている。また、エンジンや機体の素材など重要な部品は海外メーカーにいまだ依存している部分が大きい。

日本企業は飛行機器の機材に使われる軽量化のための炭素繊維複合材や、モーター、バッテリーなどの分野で高い技術を持っている。また、日系自動車部品のサプライチェーン管理で、調達、生産、物流の各セクションを最適化して納期を管理し、部品の安定供給を実現するノウハウを有する。

日本では、デンソーが2022 年5月に米国ハネウェルと、小型で軽量なeVTOL向けモーターを共同開発し、ドイツのeVTOLメーカー・リリウムの機体に採用されたと発表した。また、日系スタートアップのSkyDrive(本社:愛知県豊田市)が開発した空飛ぶクルマ「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」の型式証明が2025年2月に国土交通省航空局から発行された。同社は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)での空飛ぶクルマ運航に係る事業者に選定されており、同社の空飛ぶクルマは2026年ごろの納品開始を目指している。

ギャンブルゲーム無料低空経済では、技術イノベーションの創出や、各産業との連携に向けて政策が展開されており、産業の高度化や国際競争力の向上を図り、中国経済の成長にも大きく寄与することが期待されている。日本企業の高精度部品の納入や、サプライチェーン管理システムの導入、市場の共同開拓、第三国への展開などを通じて、日本企業と中国企業の新たな連携の可能性が期待される。

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ギャンブルゲーム無料eVTOLメーカー(ジェトロ撮影)

御風未来(VERTAXI)のeVTOL(同社提供)

執筆者紹介
ジェトロ・大連事務所
李 莉(り り)
2007年、ジェトロ・大連事務所入所。経済情報部、進出企業支援センターを経て、対日投資などを担当。2015~18年には、ジェトロ本部(対日投資部)に勤務。