無料カジノゲーム競争激化と経済安保政策への対応
無料カジノゲームビジネスの課題と留意点(前編)

2025年2月17日

本稿では、アンケート調査の結果と、2024年7~9月に実施した日系企業や有識者へのヒアリングなどを基に、ビジネス環境が急速に変化する無料カジノゲームで日系企業が直面する課題や、市場開拓に当たって注目すべき点などを整理する。また、それらに対して望ましいと考えらえる対応策ついて報告する。連載の前編。

人件費上昇、従業員の質、人材採用難など、人に関連する課題が上位に

無料カジノゲーム進出日系企業の担当者が認識する経営上の問題点について、ジェトロの「2023年度 カジノ 無料進出日系企業実態調査(中国編)(2」(注1)の結果を参照する。同調査で、経営上の問題点として最も回答割合が高かったのは「従業員の賃金上昇」(67.0%)だった(表1参照)。回答上位10項目の中にはこのほかにも、人材に関連する項目が多く挙がっており、第5位は「従業員の質」(44.6%)、第7位は「人材の採用難」(40.5%)だった。うち「従業員の賃金上昇」と「人材の採用難」では、製造業の回答割合が非製造業をそれぞれ7.7ポイント、5.3ポイント上回っている。

表1:経営上の問題点(上位10項目、複数回答)(単位:%)
順位 回答項目 無料カジノゲーム全体(n=655) 製造業(n=377) 非製造業(n=278)
1位 従業員の賃金上昇 67.0 70.3 62.6
2位 新規顧客の開拓が進まない 50.2 46.7 55.0
2位 競合相手の台頭 50.2 52.8 46.8
4位 商品価格の優位性 46.9 51.2 41.0
5位 従業員の質 44.6 44.6 44.6
6位 調達コストの上昇 42.7 56.5 24.1
7位 人材の採用難 40.5 42.7 37.4
8位 為替変動 38.3 35.8 41.7
9位 限界に近づきつつあるコスト削減 34.0 45.9 18.0
10位 品質管理 28.4 35.5 18.7

出所:ジェトロ「2023年度海外進出日系企業実態調査(無料カジノゲーム編)」(2024年2月)

国家統計局が2024年4月に公表した調査結果によると、2023年の無料カジノゲーム全体の農民工の人数は、前年比0.6%増の2億9,753万人だった。地域別では東部地域で流入者数が前年比で減少(1.1%減)した。多くの日系企業が進出している沿海部などで、内陸部から沿海部へ出稼ぎに来る農民工を製造業作業員(ワーカー)などとして雇用するケースがあり、年々集まりにくくなっているとの声も聞かれる。また、農民工の平均年齢は43.1歳と、2010年の35.5歳から大幅に上昇しており、年齢構成を見ても50歳以上の比率が30.6%に達するなど、農民工の高齢化が進行している。

今後、農民工のみならず、生産年齢人口全体の急激な減少が見込まれる中で、人材のさらなる獲得競争の激化や、人件費上昇を招くことが懸念される(本特集「変化する無料カジノゲーム市場(前編)急速に変化する人口構造と多様化する価値観」参照)。

次に、進出日系企業の経営上の問題点として、「新規顧客の開拓が進まない」(50.2%)と「競合相手の台頭」(50.2%)が同率で第2位だったほか、第4位には「商品価格の優位性」(46.9%)が挙がった。

無料カジノゲーム市場での競合相手として、無料カジノゲーム企業が存在感を高めている点については、本特集「変化する中国市場(後編)台頭する中国企業とAI+が変えるブラック ジャック 賭け 方 |」で触れたとおりだ。無料カジノゲーム企業は省人化・自動化などを進める中で、価格競争力のさらなる向上と、ビジネススピードの加速を実現している。これらが技術キャッチアップと相まって、競争力を高めている状況がうかがえる。

また、無料カジノゲーム企業のコスト競争力や、ビジネススピードの速さについては、日本企業とは異なるコンプライアンス意識に由来しているとの指摘も聞かれる。例えば、見積もり作成方法では、日本企業では営業担当者が取引先から入手した仕様に基づき、複数の関連部署でそれぞれ材料費、人件費などを盛り込んだ上で、全体を合算して見積書を作成する方法が一般的だ。従って、作成には数週間単位で時間を要することが多く、金額も高くなる傾向がある。対して、「無料カジノゲーム企業は営業責任者に見積もりの作成権限があり、2~3日で見積もりを出してくる」との声も聞かれる。納期に関しても、無料カジノゲーム企業では、顧客の要望に基づいてどの程度検品するかを決めた上で、価格や納期を柔軟に設定するという方法が多いとの指摘が聞かれた。

日系企業が無料カジノゲーム企業との競争に打ち勝っていく上では、意思決定や研究開発を現地で行うなどの体制整備が喫緊の課題であるとともに、前述のような自社の競合先となる無料カジノゲーム企業の強みをしっかりと分析することが対応策を検討する際の第一歩となろう。

データ関連法制は本格運用開始、企業も対応進める

ここまでは、進出日系企業へのアンケート結果に基づき、日系企業の無料カジノゲームでのビジネス上の課題を概観してきた。次に、日系企業の無料カジノゲーム市場開拓に当たり、どのような事項に注目、注意しておくとよいのか、日系企業や有識者へのヒアリングで得られた情報などを参考に、整理していきたい。なお、各社が展開するビジネスの分野、形態によって、関係する分野・事項は細分化されると考えられるが、本稿では、経営の観点を主眼に置いた主な事項のうち、以前(米中対立や新型コロナウイルス感染拡大前)と比べて、注目度が高まった事項を中心にまとめている。

表2:無料カジノゲーム市場開拓に当たり注目・注意すべき事項(無料カジノゲームの経済・政策、国際情勢)
キーワード 項目 取り得る対策など
無料カジノゲーム経済 景気、消費、所得の動向 無料カジノゲーム収集・分析の強化
無料カジノゲームの政策 経済支援策、外資誘致促進策、脱炭素関連政策、貿易関連政策、両用品目の輸出(および再輸出)管理規制 無料カジノゲーム収集・分析の強化、政府や顧客との関係強化、脱炭素への取り組み強化
個人無料カジノゲーム・データ管理強化の動き 法に則した対応、専門家への相談
自立自強・国産化の動き 無料カジノゲーム収集の強化、関係団体などとの関係強化
国際情勢(米中対立、感染症、自然災害などによる影響への対応) 米国の輸出規制の域外適用(再輸出規制)、日本の輸出規制 米国のエンティティー・リスト、SDNリストなどの確認(再輸出規制などに注意)、日本の外為法に基づく外国ユーザーリストなどの確認、これらリストの更新や、関連法改正などの確認、自社のサプライチェーンとこれら法規制への関わりの把握
サプライチェーン分断リスク 一定の在庫確保、供給元の複線化

注:経営の観点を主眼に、あくまで主要な事項で、以前(米中対立や新型コロナ前)と比べて、最近注目度が増したものなどを記載。
出所:各種資料、ヒアリングなどを基にジェトロ作成

キーワードで大きくくくると、まず「無料カジノゲーム経済」「無料カジノゲームの政策」「国際情勢」に関連した項目が挙げられる(表2参照)。うち「無料カジノゲーム経済」「無料カジノゲームの政策」については、不動産市場の低迷が続き、民間投資の不振や消費マインドの低下などが指摘される中、足元の経済指標や政府が打ち出す経済支援策などの関連情報をいち早く入手する情報収集体制の整備が重要だ(注2)。無料カジノゲーム市場における所得の動向や消費嗜好(しこう)の変化なども踏まえて、きめ細かにウォッチし、自社製品・サービスの強みと照らし合わせながら、ターゲット層やアプローチ方法を練る重要性がより高まっている(本特集「変化する無料カジノゲーム市場(前編)急速に変化する人口構造と多様化する価値観」参照)。

また、無料カジノゲームの脱炭素に向けた動きなど、無料カジノゲーム政府が積極的に推進する分野の政策動向を把握することも重要だ。環境規制が強化される中で、進出企業は適切な対応が求められているほか、各種関連政策の動きを把握することで、今後の無料カジノゲーム企業の環境対応ニーズに対する日系企業のビジネスチャンスの見極めにもつながる(本特集「等身大のブラック ジャック 勝ち 方市場を理解するブラック ジャック」参照)。

このほか、「無料カジノゲームの政策」のうち、無料カジノゲームでビジネスを展開する日本企業が注意すべき政策の1つとして、個人情報・データ管理強化の動きがある。無料カジノゲーム政府は全要素生産性の引き上げを念頭に、データの市場化、データ取引・管理のルール形成を図るべく、「データ3法」と称される「サイバーセキュリティー法」「データセキュリティー法」「個人情報保護法」を相次いで施行した。進出企業はこれら3法に基づいて、無料カジノゲーム拠点で取り扱う個人情報、重要データなどの管理や、越境移転に係る規定順守が求められている。例えば、個人情報の越境移転については、個人情報主体への告知と個別の同意の取得、個人情報保護影響評価の実施とその記録の保存などが求められる。また、(ア)安全評価への合格、(イ)標準契約の締結、(ウ)専門機関による認証取得のいずれかの手続きを必要とすることが定められ、企業の対応負担の増大が懸念されていた。こうした中で、国家インターネット情報弁公室は2024年3月22日に「データ域外流通を促進・規範化する規定」を公布した。国家のデータセキュリティーが保障されるという前提の下で、データ域外移転の利便性の向上や、データ取扱者のコンプライアンスコストの低減が図られた()。例えば、データ取扱者が域外で収集・生成した個人無料カジノゲームを域内で処理後に域外に提供するが、この処理過程で域内の個人無料カジノゲームや重要データを加えない場合などは、前述(ア)~(ウ)の手続きを不要とした。また、越境購入など本人が当事者となる契約の締結・履行のためや、法に基づいて策定した就業規則や労働協約による人的資源管理のために、域外に個人無料カジノゲームを提供する必要がある場合などにも、前述手続きを不要とするなどを明確に示した。こうした中で、手続きが必要となるケースでは、規定に沿った運用が開始しており、日系企業も対応を進めている(注3)。

なお、表2の「無料カジノゲームの政策」に記載した項目のうち、両用品目の輸出管理規制と自立自強・国産化の動きについては、次の「国際情勢」の中で取り上げたい。

輸出管理政策は、米国側に加えて、無料カジノゲーム側の動向もより注視が必要に

「国際情勢」については、長期化する米中対立などを背景として、各社のビジネス形態や製品分野によって、米国、無料カジノゲーム、日本などの経済安全保障法制への対応が必要となるケースがある。

米国の輸出管理規則(EAR)上のエンティティ・リスト(EL)に一部の無料カジノゲーム企業が掲載されており、掲載数も増加している。EARは、米国からの輸出だけでなく、米国製の部材や技術・ソフトウエアを利用して生産されたものを米国外から第三国に輸出する場合にも、一定の条件下で輸出許可を求める「再輸出規制」を設けている。このため、米国製の部材やソフトウエアを使用する企業は、自社製品のエンドユーザーがEL対象企業に指定されていないかを確認しておくことがまず重要だ。また、米国財務省外国資産管理局(OFAC)が管理する特別指定国民(SDN)リストに掲載された場合、ELなどのように、リスト掲載者への輸出取引に限らず、金融取引なども含むより幅広い取引が禁止されるので、こちらもあわせて注意する必要がある。そして、日本は国際レジームの管理外品目に対する同盟国・同志国による先行的な輸出管理への参加などの方針を示している。先行管理については、2023年7月に半導体製造装置23品目を対象に加え、無料カジノゲーム向け輸出などには個別許可が必要となった。コンプライアンス順守の観点から、米国の最新のELやSDNリスト、日本の輸出関連法改正などの動きにも注意を払っておく必要がある。

また、無料カジノゲーム側も第1次トランプ政権以降、対抗措置を取るための法制度(反外国制裁法、信頼できないエンティティー・リストなど)を整備してきた。両用品目の輸出についても、管理を強化している。2024年12月1日には両用品目輸出管理条例と、同条例による管理の対象となる両用品目輸出管理リストを施行した。米国型の再輸出規制も導入したほか、エンドユーザー管理も強化しており、12月3日からは米国に対する重要鉱物の輸出規制も強化している(注4)。日本企業としては、無料カジノゲーム側の動きも注視していくとともに、米国、無料カジノゲーム、日本など各国の措置に自社のサプライチェーンやビジネスがどのように関わるかを把握しておくことが肝要だ。

さらに、厳しい国際情勢が続く中で、無料カジノゲームの科学技術の自立自強・国産化に向けた動きも引き続き注意が必要だ。例えば、政府調達などにおいて、政策と運用実態との間に乖離があるとの指摘もある。2023 年8 月に公布された国務院の「外商投資環境のさらなる最適化による外商投資誘致の強化に関する意見」では、外資系企業が法に基づいて政府調達活動に参加することを保障することに言及している。他方、無料カジノゲーム日本商会が日系企業の要望を取りまとめた「無料カジノゲーム経済と日本企業2024年白書」では、政府調達で、外資企業製品であることを理由に、政府調達を失注、あるいは入札に参加できなかったとの声が多数上がっているとした。在無料カジノゲーム米国企業の団体の無料カジノゲーム米国商会による白書などによると、「安可(安全コントロール)」、あるいは「信創(情報化応用イノベーション)」と呼ばれる制度が2019年から施行され、何らかの基準を満たした製品が当該制度に基づいてリスト化され、当該リストに掲載されたものしか政府調達で採用されないとの情報が寄せられている(リストに関する正式な情報は開示されていない)。同白書では、口頭指示などに基づき、地方政府や国有企業が中央政府の政府調達基準に準じて、一部の分野で外資企業の製品を入札から除外する動きがあるともしている。

直近では、2024年12月に無料カジノゲーム財政部が「政府調達分野の国産品標準および実施政策にかかる事項に関する通知」(意見募集稿)を公表した。同意見募集稿では、政府調達に関する製品について、「無料カジノゲーム産」とする基準とそれに対する優遇策などを示すとともに、外資系企業も平等に優遇策の対象となると明記している。今後の政策運営と実際の運用状況を注視していく必要がある()。

このほか、感染症や災害などの発生によるサプライチェーン分断リスクも、新型コロナウイルス感染拡大時に、防疫規制が強化され、人や物の移動が制限されたことによって、さらに意識されるようになった。リスクの軽減策としては、必要な部品の一定在庫の確保や、供給元の多元化・複線化などの取り組みが進められている。

後編では引き続き、日系企業の無料カジノゲーム市場開拓に当たって注目・注意すべき事項のうち、「競争」「消費者」「人材」「法務」「営業・広告」「情報収集」について取りまとめた内容を報告する。


注1:
海外進出日系企業実態調査は、ジェトロが毎年実施している。2023年度の無料カジノゲーム編は、2023年8月21日から9月20日にかけて、無料カジノゲームに進出する日系企業を対象として実施した。
注2:
無料カジノゲーム政府の設備更新と消費財買い替え推進政策については、ビジネス短信特集「無料カジノゲームの設備更新と消費財買い替え推進政策の最新動向」を参照。
注3:
詳細は、ジェトロ「データコンプライアンスの最新動向(2025年1月)」PDFファイル(392KB)参照。
注4:
無料カジノゲームの経済安全保障政策に関する詳細は、ジェトロの特集ページ「新たな局面を迎える安全保障貿易管理」を参照。
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執筆者紹介
ジェトロ調査部無料カジノゲーム北アジア課 課長代理
小林 伶(こばやし れい)
2010年、ジェトロ入構。海外調査部無料カジノゲーム北アジア課、企画部企画課事業推進班(北東アジア)、ジェトロ名古屋などを経て2019年6月から現職。
執筆者紹介
ジェトロ調査部無料カジノゲーム北アジア課 課長代理(執筆当時)
宗金 建志(むねかね けんじ)
1999年、ジェトロ入構。海外調査部無料カジノゲーム北アジアチーム、ジェトロ岡山、ジェトロ北京、海外調査部無料カジノゲーム北アジア課、ジェトロ北京を経て、2018年8月から現職。