スロバキア議会、第4次フィツォ内閣を信任
(スロバキア)
プラハ発
2023年11月24日
スロバキア議会は11月21日、9月30日に実施された解散総選挙()で第1党となった中道左派「方向党-社会民主主義(Smer-SD)」を中心とする、中道左派「声-社会民主主義(Hlas-SD)」および中道右派「自由と連帯(SaS)」との3党連立内閣を賛成78、反対65で信任した。
Smer-SD党首のロベルト・フィツォ氏(59歳)は、10月25日にズザナ・チャプトバー大統領から首相に任命されており、閣僚名簿も公表されていた。
フィツォ首相は、ブラチスラバのコメンスキー大学法学部卒。1999年にSmer-SDの党首に就任、2006~2010年、2012~2016年、2016年~2018年に首相を務めた経験を持つ。今回が4回目の首相就任となる。
Smer-SDは、ナショナリズムを前面に打ち出して総選挙で勝利を収めた。今回、議会で承認された新内閣の2023~2027年の施政方針においても、新内閣は「『スロバキア最優先』の標語を掲げ、スロバキアの国益を重視しつつ、連帯、責任を重んじた対外政策を施行する」ことを原則として挙げている。またEU、NATOの一員であることの重要性は認識しているとしつつも、EU理事会(閣僚理事会)における全会一致の原則(EU首脳、トランプ ゲーム ブラック)など各加盟国の権限の保持を強く主張している。ロシアのウクライナ侵攻に関しては、ウクライナへの人道支援は継続するが、同国への政府レベルでの軍事支援は停止するとしている。
一方、経済政策では、金融機関など巨額の臨時収入を得た企業を対象とした超過利得税を導入する意向を明らかにしている。個人所得税に関しても、累進強化(注)を提議するとしている。
スロバキア商工会議所のペテル・ミホーク会長は11月14日、ネット配信のインタビューで、新内閣が提議している特別税の導入に関して、ある程度の資本分配の見直しは必要とした上で、「重要なのは、税制改革により得た資金を政府が何に使用するかということ」と強調した。また、「適用期間を限定すべき」とも指摘している。
(注)現行法では、基本税率19%、最低生計水準の176.8倍を超える所得について、超過分への税率が25%と定められている。最低生計水準は268.88ユーロ(2023年7月1日以降適用)。
(中川圭子)
(スロバキア)
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