ボルボ、スロバキア東部に電気自動車工場を建設

(スロバキア、スウェーデン)

ウィーン発

2022年07月15日

スウェーデンの自動車メーカーのボルボ・カーズ(以下、ボルボ)は71日、スロバキア東部のコシツェに電気自動車(EV専用の工場を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。投資額は12億ユーロ。コシツェ南部のバラリキ工業団地での建設開始は2023年、生産設備の設置は2024年の予定だ。2026年に予定されているフル稼働時には3,300人が雇用され、年間25万台の電気自動車が生産される見通し。コシツェは、スウェーデンのトルスランダとベルギーのゲントに続いて欧州で3つ目の生産拠点になる。ボルボは、2030年までに生産する自動車をバッテリー式電気自動車のみとし、2040年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げている。コシツェの新工場では、カーボンニュートラルなエネルギーのみを使用するとしている。

スロバキアに既に進出している自動車メーカーは、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)、欧米のステランティス、韓国の起亜、英国(インド)のジャガー・ランドローバー。ボルボは5社目となる。また、スロバキア東部への自動車メーカーの進出は初めだ。同社がコシツェを工場建設地に選んだ理由として、西欧への輸送の利便性と部品調達のためのサプライヤーが集積していることを挙げた。スロバキア政府は投資額の20%相当の補助金を提供するとしている。現地メディアによると、そのほか、政府がバラリキ工業団地の開発にも合計12,400万ユーロを支出する。発展が遅れ、失業率の高いスロバキア東部にとって、ボルボの進出は非常に大きな成長促進剤になりうる。

人口約544万のスロバキアでは、年間100万台を超える乗用車が生産され、1人当たりの生産台数は世界一だ。ボルボの25万台の上乗せにより、スロバキアの自動車生産大国としての地位はさらに強化される。ボルボの進出決定を受けて、スロバキアのエドゥアルド・ヘゲル首相は「ボルボの進出を歓迎する。同社の工場は東部地域の社会・経済状況を改善するほか、スロバキア自動車産業に対して、環境重視の新たな時代にふさわしい競争力をもたらす」と述べた。

(エッカート・デアシュミット)

(スロバキア、スウェーデン)

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