ノースボルト、北ドイツ蓄電池工場建設に着工
(ドイツ、スウェーデン)
ミュンヘン発
2024年03月27日
スウェーデンのリチウム電池メーカーのノースボルトは3月25日、ドイツ北部のシュレスビヒ・ホルシュタイン(SH)州のハイデで、リチウムイオン電池のギガファクトリー建設に着工したと発表した。2026年に操業開始を予定している新工場では、今後約3,000人を雇用し、年間最大生産能力は60ギガワット時(GWh)となる。同工場では、近隣の風力発電施設で生産される再生可能エネルギーを使用することで、ノースボルト社がミッションとして掲げる「世界で最も環境に優しい産業用電池の大量生産」の実現を目指す。新工場が地元社会にプラスのインパクトを与えることを理解してもらうため、ハイデの関係者に対してヒアリングを実施したり、同社工場が立地するスウェーデンの自治体に招待したりすることで、新工場周辺地域では8割が新工場を前向きに捉えているという。
ロベルト・ハーベック経済・気候保護相らとともに着工式に出席したオラフ・ショルツ首相は、SH州やハイデ周辺地域が早くから風力発電に取り組み、風を産業の「原料」としてきたことが、今回の110ヘクタール、50億ユーロ規模のハイテク工場の誘致につながったと強調。今後も自動車がドイツ産業の屋台骨であり続けるには、ドイツや欧州内での電池生産が必要で、ドイツ国内に点在する自動車メーカー、同部品メーカーにとっても北ドイツで年間100万台分の電池が生産されることは良いニュースだとした。
ドイツ政府は今回の工場建設に際して、ノースボルトに9億200万ユーロを助成する。ドイツ政府は欧州委員会にノースボルトへの助成を申請していた(ノースボルトの北ドイツ蓄電池工場プロブラック)。欧州委員会は、ドイツ政府による助成は「暫定危機・移行枠組み(TCTF)」で定める、温室効果ガス(GHG)排出ネットゼロ経済への移行のカギとなる産業への投資を加速する措置に合致するものとして、2024年1月8日にノースボルトへの助成を許可している。
(鷲澤純)
(ドイツ、スウェーデン)
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