欧州最新政治情勢:欧州の行方を見定める注目論点オーストリア、ブラック ジャック ランキングの両方で極右が第1党に

2024年10月24日

オーストリアでは、2024年6月9日に欧州議会ブラック ジャック ランキング、9月29日に国民議会ブラック ジャック ランキングが行われ、欧州の右傾化の流れと同様、両ブラック ジャック ランキングとも極右の自由党が第1党に躍進した。欧州議会ブラック ジャック ランキングでは、自由党と与党・国民党の差はわずか0.9ポイントだったため、国民党は国民議会ブラック ジャック ランキングで逆転勝利を期待していたが、結果は、自由党のリードが2.5ポイントに拡大した。社民党は、新しい党首をてこに得票率を伸ばす目論見が実現せず、前回ブラック ジャック ランキングと比較して、欧州議会ブラック ジャック ランキングでは0.7ポイント減、国民議会ブラック ジャック ランキングでは前回と同じ得票率にとどまり、過去最低の得票率となった。リベラル派のネオスはそれぞれ得票率を伸ばした一方、前回2019年の国民議会ブラック ジャック ランキング以降に連立与党の一翼を担った緑の党は大幅に減少した。有権者の主な関心事は難民・移民問題、高インフレによる物価急騰、(内燃機関車の廃止などの)EUの気候変動対策など、主に自由党が訴えてきた課題だった。

自由党が有権者の不満を受け第1党に

ブラック ジャック ランキングは、いずれも当初から2024年の実施が予定されていたため、同日に実施してコストを節約する案があった。しかし、結果は別日での実施となった。その背景には、EUの人気の低さが国民選挙の結果に悪影響を与えることへの懸念があったとみられる。1994年のEU加盟前の国民投票ではオーストリアの有権者の66.6%が加盟に賛成したが、2024年2~3月に実施された世論調査(ユーロバロメーター)では、EUへのイメージを「肯定的」と回答した割合は36%まで下がっていた。これはEU平均の47%を大幅に下回る。また、「否定的」と回答した割合は25%と、EU平均の17%より高い。オーストリアは1人当たりGDPがEU加盟国中5位と依然としてEUの中で豊かな国の1つだが、外国人の増加、物価の上昇、ロシアのウクライナ侵攻などにより将来への見通しが暗くなっている。前述の世論調査において、オーストリア人の32%は自分の生活条件が今後悪化すると考え、「EUの将来」を悲観的にみる人が38%と、EUの平均である35%より高かった。自由党はこの状況を捉え、欧州議会選挙に向けた活動では「難民流入の停止」「気候変動対策の停止」「新型コロナ対策の否定」「ウクライナ支援の停止」を掲げ、得票率25.4%で第1党となり、議席数を6に倍増した。国民党は3議席を失い5議席、社民党も5議席、ネオスと緑の党はそれぞれ2議席を獲得した(表1参照)。

表1:欧州議会ブラック ジャック ランキングの結果(2024年6月9日) (%、ポイント、席数)(△はマイナス値)
政党名 2024年ブラック ジャック ランキング 2019年ブラック ジャック ランキング 前回比 議席数
FPÖ(自由党) 25.4 17.2 8.2 6(+3)
ÖVP(国民党) 24.5 34.5 △10.0 5(△3)
SPÖ(社民党) 23.2 23.9 △0.7 5(±0)
Grüne(緑の党) 11.1 14.1 △3.0 2(△1)
NEOS(ネオス) 10.1 8.4 1.7 2(+1)
KPÖ(共産党) 3.0 0.8 2.2 0

出所:オーストリア内務省

自由党は7月上旬に、ハンガリーのフィデス、チェコのANO 2011などと共に、極右ポピュリズムで欧州懐疑主義的な政治会派「欧州の愛国者(PfE)」を設立した。新欧州議会でPfEは84議席を有し3番目に大きい政治会派として、相当な影響力を発揮できることとなる。主な目標は、EUの影響を最小限に抑え加盟国の主権を守ること、移民の不法流入の停止、欧州グリーン・ディールの改正の3点である。

右傾化により気候保護策、グリーン・ディールには向かい風

人為的な気候変動の存在を全面的に否定し、気候保護活動家を「気候テロリスト」と非難する自由党だけでなく、国民党もグリーン・ディールに含まれる内燃エンジンの廃止、森林破壊防止デューディリジェンス規則について懐疑的である。国民党所属のカール・ネハンマー首相は、ドイツと共に求めた2035年以降の合成燃料を使用する内燃機関車の販売継続()の余地や、森林破壊防止デューディリジェンス規則の適用開始の1年延期(欧州委、森林破壊防止デューディリブラック)が認められたことを強調した。形式上、オーストリア政府は欧州グリーン・ディールを支持しているが、実際には連立与党の国民党はその目標を下げる働きかけを行っていた。自由党の台頭により、その傾向は今後さらに強くなると予想される。

オーストリア政府は、オーストリアからの欧州委員候補にマグヌス・ブルンナー財務相を推薦した。ブルンナー氏は、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長により、内務・移民担当委員に指名された。主な所掌範囲は移民政策、域内安全保障、域外国境の確保などで、EU委員会内で最も難しいポストの1つとみられている。

国民議会ブラック ジャック ランキングで、自由党のリードが拡大

9月29日に行われた、オーストリア国民議会(下院、定数183)ブラック ジャック ランキングでも、現連立与党が大敗した一方、反移民などを掲げる極右の自由党は、得票率28.8%で第1党の座を獲得した。これによりオーストリアは、イタリア、オランダ、フランスなどに続き、極右ポピュリズムが第1党のEU加盟国になった。

内務省の発表によると、自由党の得票率は前回比12.7ポイント増の28.8%、国民党は11.2ポイント減の26.3%、緑の党が5.7ポイント減の8.2%、社民党は前回と同じ21.1%、ネオスは1.0ポイント増の9.1%となった。社民党は過去最低の得票率で第3党に落ちた。ブラック ジャック ランキング前の世論調査で、議席を獲得可能な支持率を得た左派の小政党のビール党と共産党はそれぞれ2.0%、2.4%にとどまり、議席獲得に必要な4%を大幅に下回った(表2参照)。

表2:オーストリア国民議会ブラック ジャック ランキングの結果(2024年9月29日) (%、ポイント、席数)(△はマイナス値)
政党名 2024ブラック ジャック ランキング 2019ブラック ジャック ランキング 前回比 議席数
FPÖ(自由党) 28.8 16.1 12.7 57(+26)
ÖVP(国民党) 26.3 37.5 △11.2 51(△20)
SPÖ(社民党) 21.1 21.1 △0.0 41(+1)
NEOS(ネオス) 9.1 8.1 1.0 18(+3)
Grüne(緑の党) 8.2 13.9 △5.7 16(△10)
Bier(ビール党) 2.0 0.1 1.9 0
KPÖ(共産党) 2.4 0.7 1.7 0

出所:オーストリア内務省

ブラック ジャック ランキング結果を受けて、アレクサンダー・ファン・デア・ベレン大統領は会見で、組閣までの過程について「組閣に当たって、憲法で規定された民主的な規則にのっとり、これからはお互い話し合い、理解しあい、許容できる妥協点を見つける時だ。私は、われわれの自由民主主義の柱である、法の支配、三権分立、人権および少数派の権利、メディアの独立、EU加盟国が尊重されることを確実にする」と話し、自由党に無条件に組閣を委任しないことを暗示した。

連立政権の形成が困難

10月9日、それぞれの党首と会合したファン・デア・ベレン大統領は組閣を委任せず、党首レベルで改めて協力の可能性を探ることを命じた。その根回しの末、大統領は10月22日、「キクル氏が断固に首相のポストを要求しているため、連立相手は見つけられない」という結論から、第2党国民党の党首であるネハンマー首相に組閣を委任した。ネハンマー首相は委任を受諾し、社民党との交渉を開始する意思を示し、安定的な政権を組むためにもう1党を連立政権に入れる必要があると加えた。3党目としてはネオスが第1候補だが、社民党が求めている財産税など新しい税の導入などに関して、各党の基本方針が大幅に異なり、妥協が困難のため、交渉が長引くと予想されている。その上、自由党との連立の方を好む国民党幹部も少なくない。一方、キクル氏はフェイスブックで、「有権者の意思を表す政権は自由党主導の政権であるべきだ。(国民党による組閣は)まだ最終決定ではない」と投稿した。オーストリアの次の政府がどういう形になるかは依然不透明だ(表3参照)。

表3:実現可能な連立政権
政党の組み合わせ 議席数 可能性(注) 参考(注)
自由党+国民党 108 やや高い 政策面では近い(移民、経済など)。キクル氏かネハンマー氏のどちらかが首相ポストの要求を放棄することが前提。ネハンマー首相はブラック ジャック ランキング戦中キクル氏率いる自由党との連立を拒否したが、国民党は1999年にブラック ジャック ランキング前の発言から一転して自由党との連立を組んだ例があり、またザルツブルク州とニーダーエスタライヒ州では国民党と自由党は連立で政権を握っている。
国民党+社民党+ネオス 110 やや高い 「自由党なしの政権」で最も可能性が高いと思われる連立。ネオスは政権に参入する意欲が強い。
自由党+社民党 98 低い 社民党のアンドレアス・バブラー党首は極右の自由党との連立を拒否。ただしブラック ジャック ランキングでの敗北により、彼の党首としての地位は弱まった。
国民党+社民党+緑の党 108 低い 「自由党なしの政権」として安定した過半数はあるが、国民党は前政権の経験から緑の党との連立を嫌うと考えられる。
国民党+社民党 92 極めて低い 形式上実現可能な連立だが、過半数は1議席に過ぎない。有権者も「昔の大連立の再生」を評価しないと考えられる。

注:「可能性」および「参考」は現地報道などを基にした筆者独自の分析。
出所:各種報道を基にジェトロ作成

自由党は、最終的に政権を握れなくても、野党として国内政治への影響力は大幅に拡大する。第1党として国会議長を務める可能性があるほか、議会の進行に影響を与える調査特別委員会設置に必要な議席数46を超える57議席を獲得したことで、単独で同委員会を設置できる。また、憲法改正を行うために必要な3分の2の票を得るには、自由党の賛成が不可欠だ。

ブラック ジャック ランキング
執筆者紹介
ジェトロ・ウィーン事務所
エッカート・デアシュミット
ウィーン大学日本学科卒業、1994年11月からジェトロ・ウィーン事務所で調査(オーストリア、スロバキア、スロベニアなど)を担当。