バイデン米大統領、全米自動車労組(UAW)のピケを視察、賃上げ要求支持

(米国)

ニューヨーク発

2023年09月27日

米国のジョー・バイデン大統領は9月26日、全米自動車労働組合(UAW)がミシガン州で展開しているストライキのピケ現場を視察し、UAWが使用者側に要求している40%の賃上げに対する支持を表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。現職大統領がピケ現場を訪問したのは史上初となる。

UAWは9月15日からストライキを開始しており、使用者側の「デトロイト3」との交渉で進展がみられないため、22日からストライキの規模が拡大するに至っている(2023年9月25日記事参照)。UAWのショーン・フェイン会長は交渉の後押しを受ける狙いの下、バイデン大統領をピケ現場に招待し、大統領がそれに応じたかたちだ。労働組合は民主党の重要な支持母体の1つで、バイデン大統領は就任時から労働者重視の姿勢を掲げている。大統領はピケ現場で、2008年の金融危機の経緯にも触れて、労働者が米国の自動車産業を救ったと評価し、「要求を諦めてはいけない。なぜなら、あなた方は相応の賃上げとその他の便益を受けるにふさわしいからだ。失ったものを取り返そう」と参加者を鼓舞した。

バイデン大統領が視察したピケはゼネラルモーターズ(GM)の工場付近で行われていた。同社は大統領の視察には触れず、「われわれが重視するのは政治ではなく、UAW幹部と誠実に交渉を進めて、可及的速やかに合意に至ることだ」との声明を出している(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版9月26日)。なお、2024年大統領選挙の共和党候補に立候補しているドナルド・トランプ前大統領も9月27日に、ミシガン州デトロイトを訪問する予定だ。米国メディアにはこうした動きを捉えて、大統領選挙に向けた戦いが本格化したと論評するものが出てきている。「ウォールストリート・ジャーナル」紙(電子版9月26日)は、本選挙の1年以上も前からバイデン氏とトランプ氏は激戦州で支持を広げようとしていると評している。ミシガン州は2016年の大統領選挙でトランプ氏が勝利した一方、2020年選挙時にはバイデン氏が勝利した。政治化し始めたストライキの行方がどうなるか、引き続き注目される。

(磯部真一)

(米国)

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