変貌する世界のブラックジャック遊び方エコシステムアリゾナ州、ブラックジャック遊び方
2025年4月9日
米国アリゾナ州は、ブラックジャック遊び方エコシステムとしての強みを有する。地理的環境やインフラ、さまざまなコスト面で、優位性があるのだ(本特集「変貌する世界の半導体エコシステムブラック ジャック 必勝」参照)。
そのため、バイデン前政権下で成立したCHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)を追い風に、拠点設立や投資拡大の動きが相次いでいる。米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)のファクトシートによると、CHIPSプラス法の導入以降、当州での民間投資の発表は1,020億ドル超に及ぶ(2024年7月時点、注1)。ブラックジャック遊び方に関連した拡張プロジェクトは43に上り、約1万9,000人の雇用を創出した。その結果、ブラックジャック遊び方関連の雇用は2018年と比較して22%増加。2023年時点で、2万5,800人超がブラックジャック遊び方産業に従事している。
成長著しいアリゾナ州のエコシステムの中核を担うのは、ブラックジャック遊び方ファウンドリー(受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と米国ブラックジャック遊び方最大手のインテルだ。両社はCHIPSプラス法により巨額の補助金を受け、最先端のブラックジャック遊び方製造工場を建設している(本特集「」参照)。
これに合わせ、材料や装置メーカーをはじめとした関連企業による投資も続いている。アリゾナ州では、先端プロセスの前工程だけでなく、後工程に当たる先端パッケージングの研究開発と製造機能強化に向けても産官学の取り組みが進展しているところだ。
勢いを増す同州のエコシステムについて、現地で企業や専門家などに行った取材(2025年2月10~14日、対面によるインタビュー形式で実施)を基に、最近の動きと今後の展望について整理する。
動き出したTSMC、活況続くアリゾナ州エコシステムの現在地
アリゾナ州では、CHIPSプラス法の資金提供を受け、最先端のロジックブラックジャック遊び方製造への大規模な投資が進んでいる。
中でも、TSMCは、フェニックス市で進めている3つの最先端工場建設に対し、最大66億ドルの助成を受けた(注2)。また、インテルは、チャンドラー市での先端ロジックブラックジャック遊び方製造施設の新設と既存施設の現代化に対し、39億4,000万ドルの助成を受けた(注3)。まずは、この2大プレイヤーの投資計画について概観したい。
TSMCがフェニックス市で工場を建設することについて初めて発表があったのは、2020年5月だった。その後2022年12月に第2工場、2024年4月に第3工場の建設も発表した。報道によると第1工場建設に遅れが生じていたものの、2024年第4四半期についに稼働し始めた(注4)。第1工場では4ナノメートル(nm)技術の量産が進んでおり、歩留まりは台湾工場に匹敵するという。建設中の第2工場では3nm技術を採用し、2028年に稼働予定。第3工場では2nmまたはさらに先端のプロセス技術を採用し、2030年までに稼働予定だ。2025年3月3日には、ドナルド・トランプ大統領とTSMCが、同社によるアリゾナ州での追加投資を発表した(トランプ米大統領とTSMCが米国史上最大の外国直接ブラックジャックカードゲームを発表(米国))。追加投資は少なくとも1,000億ドルに上り、アリゾナ州にブラックジャック遊び方工場をさらに3つ、先端パッケージング施設を2つ、主要な研究開発センターを建設する。これにより、同社が発表したアリゾナ州での投資総額は1,650億ドルに達し、米国史上最大の外国直接投資になる。
勢いを増すTSMCとは対照的に、インテルの動きは鈍い。インテルは2021年3月、アリゾナ州チャンドラー市にかねて所在していたオコティロ・キャンパスに2つの最先端ブラックジャック遊び方工場(ファブ52、ファブ62)を新たに建設すると発表し、同年9月の起工式の際には2024年の稼働を目指すとしていた(2021年9月30日付ビジネス短信参照)。ファブ52とファブ62では、同社の次世代プロセス「18A」を使用したブラックジャック遊び方の製造が計画している。しかし、計画は遅延。現状では、2025年にファブ52での量産を開始する予定としている(2024年11月時点、注5)。インテル全体の業績低迷も受け、アリゾナ工場の進捗についてはさらに不透明感が強まっている。
インテルの先行きに不安が見られるものの、この両社を核に、アリゾナ州のエコシステムは拡大を続けている。同州へのブラックジャック遊び方に関連する民間投資は、CHIPSプラス法が成立した2022年までに発表されたものが多い(米アリゾナ州、ブラック ジャック トランプ 無料TSMCやインテルが工場新設)。
もっとも、最近の動きも見られる。
例えば2024年に発表された投資計画を見ると、同年1月には、サラス・マイクロデバイセズ(Saras Micro Devices)がジョージア州からアリゾナ州(チャンドラー市)に本社機能を移し、最先端の製造機能を兼ね備えた施設を開設したと発表した(注6)。同社は、ブラックジャック遊び方デバイスの電力供給システムの最適化ソリューションを手掛ける。2025年末までに施設をさらに拡張し、クリーンルームを増設する計画だ。
日本ガイシのグループ会社でブラックジャック遊び方製造装置用金属部品の加工・表面コート・モジュール製造を手掛けるFMインダストリーズ(本社:カリフォルニア州)も同月、フェニックス市に新たな製造拠点を立ち上げた(注7)。栗田工業の完全子会社ペンタゴン・テクノロジーズ(本社:カリフォルニア州)は同年2月、メサ市に新たなブラックジャック遊び方装置洗浄施設を建設すると発表(注8)。
韓国のコミコ(KoMiCo)も同年8月、メサ市に最先端施設(ブラックジャック遊び方装置部品を洗浄・コーティング・修理)を建設する契約を締結した(注9)。施設には複数のクリーンルーム、最新鋭の設備、診断ツールが備え、EUV(極端紫外線)や1nm未満の技術ノードなど、最先端のブラックジャック遊び方製造にも対応予定だ。
NSTC設立へ、先端パッケージングの集積に期待高まる
アリゾナ州では、前工程だけでなく先端の後工程集積に対する期待も高い。
2023年11月には、米国のOSAT(組み立てとテスト工程の請負)大手アムコー・テクノロジーがTSMC工場に隣接する形で後工程の工場建設を発表した(2023年12月6日付ビジネス短信参照)。同社に対しては、CHIPSプラス法により4億700万ドルの助成が確定している(関連オンライン カジノ ブラック ジャック)。
さらに2024年9月、米国を拠点に先進的な高密度基板および相互接続ファブリックデバイスの製造を手掛けるハイペリオン・テクノロジーズ(以下、ハイペリオン)がアリゾナ州にブラックジャック遊び方製造拠点を新設する計画を発表した(注10)。同社のCEO(最高経営責任者)であるサム・サラマ博士は、「エンドユーザーへの近さ、労働力開発で連携できるパートナーの存在、インフラに関するインセンティブは、ブラックジャック遊び方製造施設の設立場所を選ぶ際の重要な要素である。アリゾナ州はこうした点で有利。また、アリゾナ州は、米国ブラックジャック遊び方産業の最前線を行く先端ロジックブラックジャック遊び方の製造クラスターに急速になりつつある」と同州の強みを語る。同氏は、「アリゾナ州におけるハイペリオンの存在は、米国内唯一の大規模なIC(集積回路)基板および相互接続ファブリックメーカーとして、全米のブラックジャック遊び方製造能力強化に向けた取り組みとアリゾナ州のクラスターを補完する極めて重要なものである。ハイペリオンの製品は、最先端の人工知能(AI)と高性能のコンピューティング・システムを支え、米国の国家・経済安全保障上も重要な役割を担う」と話す。最先端のブラックジャック遊び方相互接続技術に注力しているハイペリオンは日本の装置、材料、化学メーカーに大きく依存しており、複数の企業と連携しているという。一方、現在のところ、アリゾナ州のクラスターに投資している日本企業は多くない。サラマ博士は、これらの企業が近い将来投資を行うことに期待を示した。同氏は「米国を拠点とするブラックジャック遊び方エコシステムの開発と確立を加速させるため、日本との協力と連携を強化したい。そのための時間と機会は、日本と米国という2つの同盟国にとって相互に有益である」とブラックジャック遊び方分野での日米連携の重要性を強調した。
CHIPSプラス法の研究開発に向けた資金援助の中で、先端パッケージングの研究開発の中核を担うのがアリゾナ州立大学(ASU)だ。ASUは、先端電子接続技術を手掛けるデカ・テクノロジーズ(Deca Technologies)と「SHIELD USAイニシアチブ」を推進。有機材料と基板にフォーカスを当て、次世代マイクロエレクトロニクス・パッケージングを開発する(2024年11月25日付ビジネス短信参照)。2024年11月、本イニシアチブに対し、米国商務省が1億ドルを拠出することをNISTが発表(注11)。これは、CHIPSプラス法に基づく国家先端パッケージング製造プログラム(NAPMP)による最初の研究開発プログラムになる。
2025年1月には、商務省が、国立ブラックジャック遊び方技術センター(NSTC)の旗艦研究開発施設をアリゾナ州に設立すると発表した()。NSTCの設立も、NAPMPと同様、CHIPSプラス法の研究開発に関する110億ドルの資金提供の一部に当たる。この施設は「先端パッケージング試験施設(PPF)」としてASUのリサーチパーク内に建設する予定で、2028年の稼働を目指している。PPFには少なくとも1つの300mm(ミリメートル)ウエハーの試作能力を備え、製造現場では難しい新素材やデバイスアーキテクチャーの研究開発が可能になる。また、新たなパッケージングプロセスの開発と商業化を促進するための基盤になる試作ラインを設置する。
米国のブラックジャック遊び方産業に詳しい専門家は「後工程には、非常にマニュアルで労働集約的な作業がある。そのため、人件費の安い東南アジアや中国に移管していった歴史があった。しかし、これを米国内に回帰させる(リショアリング)のもCHIPSプラス法の大きな目的だ。アリゾナ州で後工程の標準化に取り組むのではないか」と話す。
人件費をはじめ、コスト面でアジア諸国に劣る米国では、生産を極力自動化した先端パッケージングの集積がカギになる。あるブラックジャック遊び方関連の日系企業は「TSMCとアムコーが協力関係にあるのは、サプライチェーンの安定化という観点から大きな意味がある。その上で、ハイペリオンのような新興の基板企業も出てきている」と指摘。先端パッケージングに関わるプレイヤーの集積に期待を寄せた。別の日系企業も、「後工程の工場建設も進み、アリゾナでサプライチェーンが完結するような動きに対して期待が大きい」と話す。既述のとおり、TSMCも先端パッケージング施設の建設を発表している。ブラックジャック遊び方製造能力の国内回帰に向けて、大きく前進したかたちだ。
ローカル人材の供給力強化にも注力
ブラックジャック遊び方エコシステムの発展には、優秀な人材の獲得も欠かせない。アリゾナ州はローカル人材のプールに強みを持つ。ASUは、公立校で全米最多の学生数を誇り、工学部の規模も最大だ。前出のNISTのファクトシートによると、アリゾナ州の工学プログラムには毎年約3万7,000人の学生が在籍。また、州の大学は毎年2,000人のブラックジャック遊び方関連学位の取得者を輩出しているという。さらに、あるブラックジャック遊び方関連の日系企業は「生活・労働コストなどがより高いカリフォルニア州から人材が流入することも多く、アリゾナ州は人材面で有利な地域」と話す。
さらに、人材育成の強化に向け産官学連携の動きが活発化している。アリゾナ州では、地域のコミュニティカレッジや産業界と連携して実施する、先進的な製造業向けの人材育成プログラム「Future48 Workforce Accelerators」をアリゾナ商業公社(Arizona Commerce Authority:ACA)が主導している。2024年11月には、新たにブラックジャック遊び方特化型の「Future48 Workforce Accelerators」が発足した(注12)。2026年までに、ゲートウェイ・コミュニティーカレッジ(GWCC)のセントラルシティー・キャンパスに最先端のブラックジャック遊び方製造トレーニング施設を建設する予定だ。施設にはクリーンルーム、ラボ、教室を含み、学生が業界標準の装置や技術を使用して実践的な経験を積むことができる。本プログラムの立ち上げにあたり、ACAが1,300万ドル、アリゾナ州知事室が500万ドル、連邦政府が450万ドルを拠出。施設の設計やトレーニングの提供にあたっては、企業(インテル、TSMC、NXP)とも連携している。
政権交代は逆風か追い風か
アリゾナ州のブラックジャック遊び方エコシステムは、活況が続いている。一方で、米国の政権交代による影響については懸念の声が聞かれた。
最も大きな懸念材料は、関連製品に対する関税の影響だ。原料を日本から調達している現地の日系企業は「ブラックジャック遊び方関連製品に関税が賦課されれば、価格転嫁を考えている。厳しい交渉になると懸念」している。別の日系企業は「関税のかかり方次第では輸送ルートの変更も考えなければならない。しかし、材料の原産地が限られており代替が難しい。取引先に転嫁するか自社の利益率を犠牲にするかの選択になる」と話す。
こうした中、現地のブラックジャック遊び方産業エコシステムに精通する専門家は「トランプ氏の任期中にサプライチェーンが大きく変わる可能性は低い」との見方を示した。「関税を理由に原料や製造装置の変更をしようと思っても、それだけで3年ほどかかる。置き換えるのにかかるコストや時間を勘案すると、関税分を支払うことを選択する企業が多いのではないか」という。
関税と並んで懸念の声が聞かれたのは、米国での就労ビザについてだ。アリゾナ州での民間投資の広がりに合わせて、進出や拠点の拡大を志向する日系企業やその他の外資系企業も多い。そうした中、トランプ政権下でビザの発給・更新要件が厳格化する可能性がある。駐在員のビザが下りにくくなることは、複数の現地日系企業が課題として挙げた。
また、トランプ政権下でのCHIPSプラス法の行方も不透明だ。トランプ氏はCHIPSプラス法について、補助金を供与するだけで「意味がない」と批判した(ブラックジャック勝率、就任からの成果強調(米国))。現地のブラックジャック遊び方関係者からは、「CHIPSプラス法は1度限りの特別なものという認識。民主党のカマラ・ハリス氏が選挙に勝っていたとしても、新たな支援策の導入があるとは思っていなかった」「政権交代の影響で商務省の担当も人員が変わり、補助金の運用が減速している」との見立てがあった。他方、「ブラックジャック遊び方製造能力のリショアリングに着手したのは、実は第1次トランプ政権下。第2次トランプ政権がCHIPSプラス法を覆すようなことはないだろう」との意見もある。トランプ氏は前述のTSMCによる追加投資の発表(2025年3月3日)に際し、「必要なブラックジャック遊び方を、ここ米国の工場で、米国の技術と米国の労働力で製造できなければならない」と発言している(トランプ米大統領とTSMCが米国史上最大の外国直接ブラックジャックカードゲームを発表(米国))。米国でのブラックジャック遊び方製造能力を強化するという方針は、第2次トランプ政権下でも変わらないことがわかる。
こうした政策要請などを追い風に、アリゾナ州は、今後も国内の一大ブラックジャック遊び方製造拠点として発展していくだろう。
- 注1:
- NIST が2024年7月に発表した「Fact Sheet: Arizona Semiconductor Industry」に基づく。他州のファクトシートを含め、NISTの「CHIPS Regional Strategy
」ページから参照可能。
- 注2:
-
2024年11月15日付米国商務省プレスリリース
による。
- 注3:
-
2024年11月26日付米国商務省プレスリリース
、NISTウェブサイト
による。
- 注4:
- 工場の機能やタイムラインについては、同社ウェブサイト
に基づく。
- 注5:
- 同社発表の「Intel Arizona: The Silicon Desert
(1.87MB)」(2024年11月改定)に基づく。
- 注6:
-
2024年1月24日付ACAプレスリリース
による。
- 注7:
- フェニックス都市圏経済協議会(Greater Phoenix Economic Council)のX(旧Twitter)での発表
に基づく(2024年1月24日付、2025年3月14日最終閲覧)。
- 注8:
-
2024年2月29日付ACAプレスリリース
による。
- 注9:
-
2024年8月20日付ACAプレスリリース
による。
- 注10:
-
同社ウェブサイト
に掲載の各種報道などに基づく。
- 注11:
-
2024年11月21日付ASUプレスリリース
、NISTウェブサイト
による。
- 注12:
-
2024年11月14日付アリゾナ州知事室プレスリリース
による。

- 執筆者紹介
- ジェトロ調査部国際経済課
宮島 菫(みやじま すみれ) - 2022年、ジェトロ入構。調査部調査企画課を経て、2023年6月から現職。