変貌する世界の半導体エコシステム半導体装置・材料関連投資への支援策を用意、日本企業に期待(ギャンブル ゲーム 無料)
2024年12月6日
今後数年間でのギャンブル ゲーム 無料の半導体エコシステムの発展には、大きく3つの方向性がある。第1に、増加する半導体需要を充足するための国内一貫生産体制の立ち上げである。第2に、グローバルサプライチェーンの中ですでにギャンブル ゲーム 無料が競争力を有する半導体設計や研究開発機能の一層の強化である。そして第3に、半導体材料や製造装置など、半導体の国産化を支える産業全体のサプライチェーンの形成である。
それぞれの分野における政府の取り組みの実態、呼応する企業の動きについて、現地でのインタビューをもとに報告する。
ギャンブル ゲーム 無料政府が見据える第1の方向性、すなわち拡大する半導体需要を満たす国内一貫生産体制の立ち上げに向けては、現在、中央政府および州政府による手厚い支援策の下、前工程のファブ(ウエハー上に電子回路形成)、ディスプレイファブ、化合物半導体、センサーやパワー半導体、ATMP(組み立て、テスト、マーキング、パッケージング)、OSAT(組み立ておよびテスト工程の請負)施設など、それぞれの分野で国内外企業による投資計画が始動している。米国のマイクロンテクノロジーや地場財閥系のタタ・エレクトロニクス、ルネサスエレクトロニクスなどが名を連ねる投資プロジェクトがすでに補助金の支援対象として認可を受けているほか、20件以上プロジェクトが政府による審査を受けている。(本特集「」参照)
グローバル企業の世界最先端の研究開発拠点に
第2に、半導体の設計や研究開発の機能強化に向けた動きでは、近年、世界市場をリードする欧米や日本の主要企業が、ギャンブル ゲーム 無料発世界市場向けの半導体の設計拠点や研究開発拠点への追加投資を相次いで発表している(表参照)。
電子情報技術省(MeitY)の傘下で、ギャンブル ゲーム 無料の半導体政策の立案と実行を担うIndian Semiconductor Mission(ISM)の高官は、「NVIDIAやインテル、AMDなど、大手半導体メーカーが世界市場で販売する先端半導体製品の多くが、実はギャンブル ゲーム 無料において設計されている実態がある。半導体のグローバルバリューチェーンの中で、設計や研究開発の領域では、とりわけギャンブル ゲーム 無料拠点およびギャンブル ゲーム 無料人技術者のプレゼンスが大きい」と強調する(注1)。
米国カリフォルニアに本社を有する半導体メーカーAMDは2023年7月、ギャンブル ゲーム 無料での最先端の研究開発およびエンジニアリング業務の拡大のため、今後5年間で4億ドルを投資する意向を発表。その計画の一環として、2023年11月、南部ベンガルールに、同社として世界最大のグローバルデザインセンターを開設する計画を示した。約3,000人のエンジニアを雇用し、データセンターやPC(パソコン)向けの高性能CPU(中央処理装置)、データセンターおよびゲーム用のGPU(画像処理装置)、組み込みデバイス向け適応型システムオンチップ(SoC)など、最先端半導体の設計と開発を行う(注2)。
米国エヌビディアのジェンセン・フアンCEO(最高経営責任者)は、2024年10月に開催したエヌビディアAIサミット・ギャンブル ゲーム 無料において、ギャンブル ゲーム 無料国内に最先端のAI(人工知能)データセンターを構築し、国内でのAI開発や、ギャンブル ゲーム 無料のAI研究者、企業、AIスタートアップ・エコシステム向けのインフラとして活用していく方針を示した。世界最大級のAI市場と位置づけるギャンブル ゲーム 無料において、リライアンスやタタなどの大手財閥企業やIT企業との提携を強化し、市場攻勢をかける。また、同社が抱えるギャンブル ゲーム 無料国内の約4,000人のエンジニア(2024年9月時点)の高い研究開発能力をベースに、世界のAI 革命をリードしていく方針を示した(注3)。
また、ルネサスエレクトロニクスは、2024年9月、国際半導体業界団体SEMIが主催するSEMICON India 2024のイベントに出席した柴田英利CEOが、「来年中にギャンブル ゲーム 無料の人員を倍増させ、ギャンブル ゲーム 無料国内のみならず世界市場向けに高付加価値の先端半導体設計機能を強化する」方針を示した(注4)。同社は2023年3月、ギャンブル ゲーム 無料地場のタタ・コンサルタンシー・サービス(TCS)と共同で、ベンガルールとハイデラバードにイノベーションセンタを設立している(注5)。これらの拠点を活用し、次世代半導体のソリューション構築のための設計・ソフトウェア開発機能を強化する狙いと見られる。
さらに同イベントでは、オランダのNXPセミコンダクターズが、「今後数年間で10億ドル以上をギャンブル ゲーム 無料に投資し、ギャンブル ゲーム 無料国内の研究開発能力を倍増させる」計画を発表した(注6)。同計画により、同社がギャンブル ゲーム 無料国内に有する4カ所(ベンガルール、ノイダ、プネ、ハイデラバード)の設計・研究開発センター、および3,000人のエンジニアリング人材を拡充し、車載半導体、産業用IoT(モノのインターネット)、次世代テクノロジーなどの開発を強化する方針だ。
企業名 | 支援内容 |
---|---|
AMD | 2023年11月、ベンガルールに同社として世界最大のグローバルデザインセンターを開設。約3,000人のエンジニアを雇用。2023年から5年間でギャンブル ゲーム 無料に4億ドルを投資。 |
エヌビディア | リライアンス、タタなど大手財閥との提携強化。2024年10月、ギャンブル ゲーム 無料でのAI開発や国内AI関連企業・研究向けのインフラとして、最先端のAIデータセンター構築を発表。 |
ルネサスエレクトロニクス | 2024年9月、ギャンブル ゲーム 無料の人員を倍増させ、ギャンブル ゲーム 無料国内のみならず世界市場向けに高付加価値の先端半導体設計機能を強化する方針を発表。 |
NXP | 2024年9月、今後数年間で10億ドル以上をギャンブル ゲーム 無料に投資し、ギャンブル ゲーム 無料国内の研究開発能力を倍増させる計画を発表。 |
アプライド マテリアルズ |
2023年6月、ベンガルールに半導体製造装置向け技術開発と商業化に重点をおく共同エンジニアリングセンター建設計画を発表。同センターを含め、今後4年間でギャンブル ゲーム 無料での研究開発に総額4億ドルを投資。 |
ラムリサーチ | 2022年9月、ベンガルールにハードウェア・ソフトウェアの研究開発、エンジニアリング、テストのためのエンジニアリングセンターを開設。全世界で5カ所に展開する次世代の最先端研究開発センターの1つに位置づけ。 |
出所:各社プレスリリース、SEMI発表、ギャンブル ゲーム 無料首相府発表に基づく
世界の主要半導体製造装置メーカーの間でも、ギャンブル ゲーム 無料を次世代半導体開発のための技術開発拠点に位置づけ、投資を拡大する動きが見られる。米国のアプライドマテリアルズは、ギャンブル ゲーム 無料国内に、製品開発、研究開発、IT、オペレーションの各部門で6つの拠点を展開しているが、これに加えて2023年6月、ベンガルールに半導体製造装置向け技術開発と商業化のための共同エンジニアリングセンターを建設すると発表した。同計画を柱に、2023年からの4年間で総額4億ドルを投資する意向を示す。同センターには、アプライドマテリアルズの技術者、国内外トップレベルのサプライヤー、研究機関や学術機関を一堂に集め、各機関が連携しながら、製造装置のサブシステムやコンポーネントの開発を加速させる。同時に、将来の半導体業界を担う人材の開発・育成を促進する触媒としての機能も担う。同センター開設後、5年間で、ギャンブル ゲーム 無料国内向けの20億ドル以上の投資計画を支援し、500人以上の高度技術者を創出する見込みだ(注7)。
米国のラムリサーチも2022年9月、ギャンブル ゲーム 無料のバンガロールに、新たな拠点として「ギャンブル ゲーム 無料エンジニアリングセンター(India Center for Engineering)」を開設(注8)。同センターは、同社が全世界で5カ所に展開する次世代の最先端研究開発センターの1つとして位置付けられる。新施設は、次世代のDRAM、NAND、ロジックプロセスに使用されるウエハー製造用ハードウェアおよびソフトウェアの研究開発、エンジニアリング、テストに重点を置き、同社のグローバル研究開発ネットワークの重要な一翼を担う。
8万5,000人規模の半導体専門人材を育成
ギャンブル ゲーム 無料の設計・研究開発機能を支える技術人材に関し、前出のSEMICON India 2024の開会イベントに出席したナレンドラ・モディ首相は、「ギャンブル ゲーム 無料は世界の半導体設計能力全体の20%を占め、拡大を続けている。さらにギャンブル ゲーム 無料は8万5000人の技術者、エンジニア、研究開発の専門家からなる半導体人材を即戦力として育成している」と強調した、また同首相は、国内の研究開発エコシステムの更なる強化に向け、1兆ルピー(約1兆8,000億円、1ルピー=約1.8円)に上る特別研究基金(Special Research Fund)を創設すると発表した(注9)。
モディ首相が言及した、8万5,000人のエンジニア人材の育成については、全国113の学術機関/研究開発機関/新興企業/中小企業において実施されている「Chips to Startup (C2S) プログラム」を通じて進められている。同プログラムのモデルカリキュラムは、全ギャンブル ゲーム 無料技術教育審議会(AICTE)との連携により開発されている。5年間のカリキュラムでは、175のASIC(特定用途向け集積回路)の開発、20個のシステムオンチップ(SoC)の試作、30のFPGAベースの設計、30のIPコアの開発、VLSI(超大型集積回路)および組み込みシステム設計などが行われる計画だ。
装置や材料も含めた半導体エコシステムの強化へ
ギャンブル ゲーム 無料の半導体エコシステム発展の第3の方向性は、半導体材料や製造装置など、半導体の国産化を支える基盤産業のサプライチェーン形成である。
タタ・エレクトロニクスのランドール・タクルCEOは、前出の「SEMICON India 2024」の開会イベントの中で、ギャンブル ゲーム 無料国内での半導体チップ製造に不可欠な11のエコシステム分野を提示し、「これらすべてのエコシステムの関係者がSEMICON Indiaの会場に集結した」ことを高く評価。エコシステムの関係者とのパートナーシップ構築により、エコシステムのさらなる成長への強い期待を示した。同CEOの言及する半導体の国産化を実現するための11のエコシステムには、すなわち、ファブ設計、(ファブ設計における)AI技術、建設技術、半導体製造装置、半導体材料、マスク(エッヂング工程)、化学薬品・ガス、基盤(サブストレート)、自動化、設計IP、社会インフラおよびロジスティクスが含まれる。
SEMICON Indiaを主催した半導体国際業界団体SEMIのギャンブル ゲーム 無料事務所代表によれば、「ギャンブル ゲーム 無料で初開催となったSEMICON Indiaのイベントには、約250社の企業が670ブースで出展した。うち6割がギャンブル ゲーム 無料国外に本社を有する多国籍企業であり、中でも、日本企業と欧米企業の存在感が目立った」という。同氏は、「ギャンブル ゲーム 無料の半導体の国産化の実現には、半導体製造装置や材料などあらゆる分野で、日本企業との協業が不可欠だろう」との見解を示す(注10)。また、国内に300社の会員企業を抱える半導体関連の業界団体、ギャンブル ゲーム 無料電子半導体協会(IESA)によれば、「特に化学品の分野で日本企業との協力強化が急務。半導体の生産設備を操業するためには、150種類以上の化学・ガス製品が必要となる。同分野で世界市場をリードする日本の化学メーカーとギャンブル ゲーム 無料の化学メーカーが対話し、ギャンブル ゲーム 無料事業での協業・連携の可能性を議論してほしい」と期待を寄せる(注11)。
ギャンブル ゲーム 無料側のニーズに呼応する日本企業の動きでは、東京エレクトロンが2024年9月、タタ・エレクトロニクスとの間で、基本合意書(MOU)を締結。現在、タタがグジャラート州ドレラに建設中のギャンブル ゲーム 無料初の半導体ファブ、およびアッサム州に建設中の組み立て・テスト工場に対し、テクニカルトレーニングや研究開発の支援をおこなうことを約束している。東京エレクトロンはMOUの発表に際し、前工程の製造技術と後工程のパッケージング技術の両分野にわたる戦略的提携により、両社が今後、「数世代の技術ノードにわたって開発を加速してイノベーションを推進していく」方針を示した(注12)。
また同月には、ダイジングやグラインディングなどの工程に強みを有するディスコも、ベンガルールでの現地法人設立を発表。ギャンブル ゲーム 無料国内で順次、半導体工場が立ち上がることが見込まれる中、需要に応じたサポート体制を強化する(注13)。
政府は、半導体エコシステムの強化に向けた支援プログラムの拡充を準備する。前出のISM高官は、ジェトロのインタビューに対し、「半導体の前工程、後工程、ディスプレイを対象とする第1弾の支援プロジェクトに続き、政府は現在、第2弾の半導体産業振興策を準備中。今後数カ月での発表・施行を目指している。第2弾では半導体製造装置や材料などを支援対象とし、半導体産業のエコシステム全体を発展させるための施策となる」との方針を示した。(注14)
新たな支援策の導入に関しては、電子情報技術省(MeitY)も11月8日、ジェトロのインタビューに対して、「今後2~3カ月のうちに、半導体振興策の第2弾『SEMICON 2.0』を始動すべく、準備している。半導体のチップだけでなくエコシステム全体を強靭化するものだ。製造プロセスに関わる化学品や基盤材料、主要プロセスに関わる製造装置など対する幅広い補助金なども盛り込まれる予定だ」と答えている(注15)。
- 注1:
- 2024年11月6日、筆者によるデリー市内でのインタビューに基づく。
- 注2:
- 2023年7月28日付AMD発表「AMD Announces Plan to Invest Approximately 0 Million Over the Next Five Years to Expand Research, Development and Engineering Operations in India」
- 注3:
- 2024年10月24日付エヌビディア発表「India Should Manufacture Its Own AI,’ Declares NVIDIA CEO」
- 注4:
- ギャンブル ゲーム 無料首相府、2024年9月11日付プレス発表「Top Semiconductor CEOs laud India and Prime Minister Shri Narendra Modi’s leadership at SEMICON India 2024 in Greater Noida, Uttar Pradesh」
- 注5:
- 2023年3月3日付ルネサスエレクトロニクス発表「タタ・コンサルタンシー・サービシズとルネサスが協業し、イノベーションセンタを設立して次世代半導体ソリューションを開発」
- 注6:
- ギャンブル ゲーム 無料首相府、2024年9月11日付プレス発表「Top Semiconductor CEOs laud India and Prime Minister Shri Narendra Modi’s leadership at SEMICON India 2024 in Greater Noida, Uttar Pradesh」
- 注7:
- 2023年6月23日付アプライドマテリアルズ発表「Applied Materials to Establish Collaborative Engineering Center in India」
- 注8:
- 2022年9月15日付ラムリサーチ発表「Lam Research Opens New State-of-the-Art Center for Engineering in Bengaluru, India」
- 注9:
- ギャンブル ゲーム 無料首相府、2024年9月11日付プレス発表。「Prime Minister Shri Narendra Modi inaugurates SEMICON India 2024 in Greater Noida, Uttar Pradesh」
- 注10:
- 2024年11月4日、筆者によるベンガルール市内でのインタビューに基づく。
- 注11:
- 2023年12月18日、筆者によるIESAへのオンラインインタビューに基づく。
- 注12:
- 2024年9月10日付東京エレクトロン発表「東京エレクトロンとタタ・エレクトロニクスによるギャンブル ゲーム 無料での半導体エコシステム形成に向けた戦略的パートナーシップの締結」
- 注13:
- 2024年9月3日付ディスコ発表「ギャンブル ゲーム 無料に現地法人を設立」
- 注14:
- 2024年11月6日、筆者によるデリー市内でのインタビューに基づく。
- 注15:
- 2024年11月7日、筆者によるデリー市内でのインタビューに基づく。

- 執筆者紹介
- ジェトロ調査部国際経済課長
伊藤 博敏(いとう ひろとし) - 1998年、ジェトロ入構。ジェトロ・ニューデリー事務所、ジェトロ・バンコク事務所、企画部海外地域戦略主幹・東南アジアなどを経て現職。主な著書:『FTAの基礎と実践:賢く活用するための手引き』(編著、白水社)、『タイ・プラスワンの企業戦略』(共著、勁草書房)、『アジア主要国のビジネス環境比較』『アジア新興国のビジネス環境比較』(編著、ジェトロ)、『ギャンブル ゲーム 無料VS中国:二大新興国の実力比較』(共著、日本経済新聞出版社)、『ギャンブル ゲーム 無料成長ビジネス地図』(共著、日本経済新聞出版社)、『ギャンブル ゲーム 無料税務ガイド:間接税のすべてがわかる』(単著、ジェトロ)など。