フィリピン保健省、メンタルヘルス向けのアプリをリリース

(フィリピン)

アジア大洋州課

2021年10月22日

フィリピン保健省は10月15日、米国国際開発庁(USAID)と共同でフィリピン人のメンタルヘルスとセルフケアのための初めてのモバイルアプリケーション「Lusog-Isip」をリリースした。同アプリは、新型コロナウイルス感染対策による厳格な経済・移動制限によって、従来のような対面での診療が困難となっている環境でのメンタルヘルスケア・ニーズの高まりに応えて開発された。

同アプリは、ワークブック、エクササイズ、音声ガイド、日記を書く、気分の記録、簡単なセルフケアのリマインダーといったさまざまな機能を有している。また、オンラインもしくは近くにいる、メンタルヘルスケアや心理社会的サポートサービスの提供者リストを確認できる。USAIDフィリピン保健局長は「Lusog-Isipがメンタルヘルスを改善するための一助となり、また薬物乱用に対処する助けとなることを願っている」と述べた。同アプリはGooglePlaystoreとAppleAppStoreを通じて、AndroidデバイスとiOSデバイスの両方で利用可能だ。

世界保健機関のフィリピンオフィスによると、国立精神衛生センターではうつ病に関する毎月のホットライン通話が大幅に増加し、新型コロナ禍におけるロックダウン前の80件から400件近くに増加している(「マニラタイムズ」10月11日)。

フィリピンでは、国内の公的機関を除く全ての企業、事業所を対象として、メンタルヘルス対策を義務付けており(2020年3月10日記事参照)、企業が省令に反する行為を行った場合は「労働安全衛生基準順守強化法」(共和国法第11058号)やその他既存の法律の定めに従い、罰則を科すことを規定している。労働安全衛生基準順守強化法では、違反企業は2万~5万ペソ(約4万4,000~11万円、1ペソ=約2.2円)の罰金を科すとしている(2019年3月15日付地域・分析レポート参照)。

(蛇見拓斗)

(フィリピン)

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