9月CPI上昇率は前年同月比1.9%、政府の食品価格対策が好影響か
(フィリピン)
マニラ発
2024年10月15日
フィリピン統計庁(PSA)の10月4日の発表によれば、2024年9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比1.9%だった(添付資料図1参照)。前月の3.3%から1.4ポイントと大幅に下がり、2020年5月(1.6%)以来4年4カ月ぶりとなる1%台の低水準となった。また、2024年1~9月の平均インフレ率は3.4%で、フィリピン中央銀行(BSP)の目標の範囲内にとどまった(注1)。また、コア指数の上昇率は(注2)2.4%と、前月から0.2ポイント下がった。
PSAは、今回のCPI上昇率が低下した要因として、次の項目を挙げた。特に「住宅、水道、電気、ガス、その他の燃料」と「食品およびノンアルコール飲料」は、CPI上昇率の低下に対する寄与率が高かった。具体的な項目は次のとおり。
- 食品およびノンアルコール飲料の上昇率が、前月の3.9%から1.4%に大幅に低下。
- 輸送費の上昇率が、マイナス2.4%に低下(前月比マイナス0.2%)。
- 住宅、水道、電気、ガス、その他の燃料の上昇率は3.2%に低下(前月比3.8%)。
政府の迅速な対策が奏功か
2024年5月のCPI上昇の要因となったエルニーニョ現象による干ばつ(5月11日付「インクワイアラー」紙)や、例年7~10月に多い台風などの悪天候を要因として、ここ数年では6~7月以降のCPI上昇率は上昇傾向または高止まりする傾向にあった(添付資料図2参照)。これに対しフィリピン政府は、2024年5月に一部の食品について価格を据え置く政策を導入したほか、輸入米の関税率引き下げを行うなど、食品価格高騰を抑制するために早期の対応を行った(関連ブラック ジャック 賭け)。その結果として、7月下旬に数十億ペソの農業損失など甚大な被害をもたらした台風や南西モンスーンによる影響が最小限に抑えられたとみられる。
フィリピン国家経済開発庁(NEDA)のアルセニオ・バリサカン長官は、2024年9月から2025年第1四半期まで続くと予想されているラニーニャ現象への対応を既に講じており、食品価格を安定させるなどCPI上昇率を抑えるために尽力していると強調した。
(注1)フィリピン中央銀行(BSP)は、2024年のインフレ率の目標を2.0~4.0%の範囲内と定めている。
(注2)相対的に価格変動が大きい特定の食品とエネルギーの項目を計算から除いたインフレ率のこと。
(西岡絵里奈、アセンシオ・アシュレイモイラ)
(フィリピン)
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