米財務省、クリーンエネルギー関連部品の生産設備への税額控除に関し最終規則を発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年10月25日

米国財務省は10月24日、インフレ削減法(IRA)に基づく先端製造業(歳入法45X外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます関連)に関する最終規則を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。10月28日付で官報に公示し、その60日後から有効となる。歳入法45Xは、太陽光・風力発電・バッテリーのコンポーネント、インバーター、系統蓄電池、鉱物などを適格コンポーネントと指定し、これらを国内製造・販売した場合、その販売量に応じて税額控除が受けられるもの。2023年12月に規則案が発表されていたが(2023年12月18日記事参照)、産業界から193件に及ぶ指摘がなされ、その調整に時間を要していた。

2023年に発表された規則案から基本的な構造自体は大きく変化していないが、「製造」に関する定義(注)の明確化をはじめ、いくつかの点で修正が加えられた。今回発表された最終規則における最大の修正点は、重要鉱物の抽出に関する取り扱いだ(関連ブラック ジャック トランプ)。規則案では、重要鉱物に係る税額控除の対象として算定できる費用には、原材料の取得費用や原材料の転換・精製に要する費用、リサイクルに使用される材料費などは含まれていなかったが、最終規則では同じ材料に対して重複して税額控除が適用されない措置を採るなど、一定の条件の下でこれらが対象となり得る可能性があるとしている。このほか、パブリックコメントを受けて検討された結果、最終規則に反映されなかったさまざまな論点についても、詳細が記載されている。

今回の最終規則の発表について、太陽光エネルギー産業協会(SEIA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが歓迎の声明を発しているほか、エネルギー安全保障に関する政策提言を行う民間団体SAFE(Securing America's Future Energy)で重要鉱物を担当するエグゼクティブ・ディレクターのアビゲイル・ハンター氏も「米国でクリーンエネルギーと先端製造サプライチェーンを構築する際の鉱物の重要性とコストを認識した、45Xに係る最終規則を称賛する。この最終規則は、自国内で原料を精製、製錬、加工する企業にとって画期的なものだ」と歓迎した。一方、全米鉱業協会は、税額控除の対象を材料の精製も行う生産者に限定していることを批判し、「米国で加工された外国産の材料を税額控除の対象にしても、問題は解決しない。サプライチェーンの確保は採掘業者から始まっており、材料を精製する企業と同じ税額控除の恩恵を受けるべきだ」として今回の判断に否定的な声明を出した。

さまざまな調整を経て最終規則化にこぎつけたものの、本規則に関しては、11月5日の米国大統領選挙や上・下院議会選挙の結果次第では、議会審査法(CRA、2024年5月30日付地域・分析レポート参照)などによる変更リスクにさらされる恐れもあることに留意が必要だ。

(注)45Xにおいて、「製造」とは「実質的な変更」を伴う必要があるとされている。今回の修正では、太陽光やバッテリーモジュールなどの生産に要する大規模な組み立てが製造に当たる旨が明確化されている。

(加藤翔一)

(米国)

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