米上院、超党派の国境措置強化法案を発表、バイデン大統領支持も下院議長は反対
(米国、メキシコ)
ニューヨーク発
2024年02月06日
米国連邦議会上院は2月4日、国境を越える不法移民が一定数を超えた場合、大統領が一時的に国境封鎖できる権限などを与える「2024年緊急国家安全保障追加歳出法」案を発表した。
同法案は数カ月による協議を経て、上院の超党派でまとめられた。法案を主導したのはジェームズ・ランクフォード議員(共和党、オクラホマ州)、クリス・マーフィー議員(民主党、コネチカット州)、キルステン・シネマ議員(無党派、アリゾナ州)だ。
ランクフォード議員は「開かれた国境を閉鎖することにより、国境での混乱を止め、わが国を守るために必要な効果的な手段を次の政権に与えるまたとない機会だ」と述べた。チャック・シューマー上院院内総務(民主党、ニューヨーク州)も「(ブラック ジャック 遊び方と)国境における米国の国家安全保障の強化に向けた記念すべき一歩」とした。国境措置には約200億ドルが充てられる。そのほか、同法案には、イスラエル、ウクライナへの援助などの外交政策に関する予算も含まれ、総額は1,180億ドルとなっている(議会専門誌「ザ・ヒル」2月4日)。
ホワイトハウスが同日発表したファクトシートによると、同法案によって次のことが可能になる。
- システムが機能不全となった場合、大統領と国土安全保障長官に国境を閉鎖できる一時的な緊急権限を付与
- 数十万人の移民に対する就労許可取得の迅速化
- 南西部国境に到着した人々による亡命やその他の保護請求を検討するための効率的かつ公正なプロセスの確立
- 亡命審査プロセスの再調整
- 密輸と麻薬密売の撲滅、国境警備、亡命手続きのための資金提供
- フェンタニル密売に対する連邦法の強化
- 米国への合法的な入国経路の拡大
- 非市民の家族の団結と安定の促進
- 亡命を求める人々、特に最も弱い立場にある人々の人道的かつ公正な扱いの確保
ジョー・バイデン大統領は同日に声明を発表し、この法案を「強く支持する」とした上で、「議会が一致団結し、この超党派合意を速やかに可決するよう強く求める。直ちに署名し、成立させることができるよう、私のデスクに届けてほしい」と述べた。また、大統領は発表前の2月3日にメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領と電話会談をし、米メキシコ国境の課題について話し合い、生産的な協力関係を継続することを約束したと発表していた。カマラ・ハリス副大統領も声明を発表し、「われわれの移民制度は何十年もの間、崩壊している。そのため、バイデン大統領と私はこれまで3年間、移民制度の修復と根本原因に対処する解決策を提示してきた」と述べた。
一方で、下院のマイク・ジョンソン議長(共和党、ルイジアナ州)は同法案への反対を表明しており、法案成立の先行きは不透明な状況だ。
(吉田奈津絵)
(米国、メキシコ)
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