ブレーメン州議会選挙、社会民主党が躍進、緑の党は大敗
(ドイツ)
ベルリン発
2023年05月17日
ドイツ北部のブレーメン州で5月14日、州議会選挙が行われた。国政での連立与党の3党では、オラフ・ショルツ首相が率いる国政最大与党で中道左派の社会民主党(SPD)が第1党に返り咲いた一方で、中道右派の自由民主党(FDP)は辛うじて議席数を確保、環境保護政党の緑の党は大幅に議席を喪失し大敗を喫した。
得票率と獲得議席数(5月16日午前11時8分時点の推計値)をみると、SPDが得票率29.0%(前回2019年選挙から4.1ポイント増)で27議席(前回から4議席増)を獲得。国政で最大野党のキリスト教民主同盟(CDU)は25.6%(1.1ポイント減)で24議席(議席数変わらず)になった。緑の党は12.5%(4.9ポイント減)で12議席(4議席減)と大敗。左翼党は10.3%(1.0ポイント減)で10議席、FDPは5.3%(0.6ポイント減)で5議席と、両党は前回選挙で獲得した議席数を維持した。一方、保守系の地域政党「怒りの市民党(BIW)」が、10.9%(8.5ポイント増)で9議席(8議席増)と大躍進した。なお、州議会選の公式最終結果の発表は5月26日に予定されている。
公共放送ARDは5月14日に、州議会選の結果を分析。SPDの勝利は、現在の州首相であるアンドレアス・ボーフェンシュルテ氏(SPD)の支持の高さによるものだとした。また今回の選挙では、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」は、党の内紛により同党の立候補者名簿がブレーメン州選挙管理委員会に認められず、同党からの候補者を立てられなかったこともあり、BIWがAfD支持者の票の受け皿となり、躍進した。
ARDは、緑の党が大敗した要因として、州議会における同党の交通政策が不評だったことを指摘するが、これに加え、多くのメディアでは国政における緑の党の活動も影響したとみている。1つは、ロベルト・ハーベック連邦経済・気候保護相(緑の党)が4月18日に提示した建築物エネルギー法の改正草案に対する批判だ。同草案では2024年1月以降、原則として石油とガス暖房の新設を不可能にし、新設する暖房の使用エネルギーのうち65%を再生可能エネルギーとすると規定しているところ、時期尚早だとして野党のみならず連立政権内や産業界からも反発を受けている。もう1つは、パトリック・グライヒェン経済・気候保護省次官による、ドイツエネルギー機構(dena)の人事への介入や、連邦経済・気候保護省と関係が深い環境保護系団体や研究機関に、同次官の親族が勤務するなどの縁故主義に対する批判だ。ハーベック連邦経済・気候保護相は、問題を認めつつも、同次官を擁護。同党の国政での動向に対する批判が高まっている(「ハンデルスブラット」紙5月11日、12日、14日)。
ブレーメン州は長年にわたりSPDの牙城で、前回選挙(関連ブラック ジャック ブラック)でCDUに第1党の座を奪われ、緑の党と左翼党との3党で連立政権を樹立した。今回の選挙で総議席87議席の過半数44議席以上を獲得した党はなかった。そのため、公共放送ZDFは5月14日、SPDと緑の党と左翼党との連立の継続、もしくはSPDとCDUとの新連立の可能性を報じている。
(中村容子)
(ドイツ)
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