ドイツ東部ブランデンブルク州議会選、国政与党が辛勝も、極右と極左が躍進

(ドイツ)

ベルリン発

2024年10月02日

ドイツ東部のブランデンブルク州で9月22日、州議会選挙が行われ、国政で連立与党を組む社会民主党(SPD)が辛勝した。極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)と、左翼党から分離して2024年1月に旗揚げしたザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)が躍進した一方、キリスト教民主同盟(CDU)は過去最低の得票率となったほか、SPDとともに国政で連立を組む緑の党と自由民主党(FDP)は、いずれも議席獲得に必要な5%に至らなかった。

9月25日時点の暫定結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、東西ドイツ統一以降、同州で第1党を維持してきたSPDは得票率30.89%(前回2019年選挙の得票率比:4.70ポイント増加)を獲得し、今回も第1党の座を死守した。選挙直前の世論調査では、僅差ながらAfDがやや優勢との見通しが示されていたが、事前の予測を覆す結果となった。経済紙「ハンデルスブラット」(9月22日)は「(州首相の)ボイトケがブランデンブルクでSPDを救う」と報道。ディートマー・ボイトケ州首相(SPD)は、オラフ・ショルツ首相(SPD)や国政連立政権とは一線を画す選挙戦を展開。「AfDか私か」と訴え、AfDに敗れた場合には州首相を辞任すると表明していた。同紙は「選挙はボイトケに対する投票でもあった」と表現し、ボイドケ州首相の人気の高さがSPDの勝利に結びついたと分析している。

AfDは29.23%(同5.72ポイント増)で、前回に続いて第2党となった。BSWは13.48%を獲得し、一躍第3党に。9月1日に東部ドイツのザクセン州とチューリンゲン州で行われた州議会選挙結果(関連ブラック ジャック トランプ)と同様に、極右と極左が躍進した。

州政府の連立政権樹立の行方に注目集まる

SPDは現在、ブランデンブルク州の州政府で、CDUと緑の党との3党連立で政権を担っているが、緑の党が議席を失い、CDUも議席数を減らしたため、新たな連立政権樹立に向けた動きに注目が集まっている。

選挙翌日の9月23日、複数のメディアは、SPDがCDUとBSWとの連立政権樹立に向けて協議を行う意向で、日程が合えば週末にも協議が開始される可能性があると報道した。しかし、CDUは26日、連立協議に向けたSPDとの事前協議の後、協議継続の意向はないと表明。SPDは政権樹立に向けてBSWと連立協議を始める見込みだが、SPD幹部の中には、政権運営経験のないBSWとの連立に懐疑的な見方があり、SPDはまず、何が可能かを確かめたいと考えていると報じられた。

(中山裕貴)

(ドイツ)

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