カードゲームブラックジャック、財政規律緩和へ
(ドイツ)
ベルリン発
2025年03月24日
ドイツ連邦議会(下院)は3月18日、連邦参議院(上院)は3月21日に、それぞれ基本法(憲法に相当)のカードゲームブラックジャックを可決した。同カードゲームブラックジャックは財政規律を緩和するもので、2月23日の総選挙(カジノ無料、キリスト教民主・社会同盟と社会民主党の連立を軸に交渉(ドイツ))で第1党となったキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が連立交渉中の社会民主党(SPD)とともに提出していた。総選挙で選ばれた新連邦議会は3月25日に発足するが、今回のカードゲームブラックジャックは、2021年に選出された現連邦議会の特別議会で審議・可決された。カードゲームブラックジャックの主な内容は次のとおり。
- GDP比で1%を超える防衛費を債務ブレーキ(注1)の適用対象外に:従来は連邦予算全体に債務ブレーキを適用していたが、今回のカードゲームブラックジャックにより、GDP比1%を超える防衛費については、借り入れにより賄えるようになる。
- インフラ投資のため、5,000億ユーロの特別基金創設:インフラへの追加投資(注2)のために12年間にわたって運用し、うち1,000億ユーロは気候変動対策に充てる。また、基金活用により2045年までに気候中立を果たすという目標も明記した(注3)。さらに、1,000億ユーロは州にも配分し、各州が12年間にわたってこの基金からインフラへの投資ができるようになる。CDU/CSUとSPDの間で交わした予備協議合意書によると、対象となるインフラは交通、エネルギー、医療・教育・介護、デジタル化・研究としている。
- 各連邦州政府予算のカードゲームブラックジャック:これまで債務が許されていなかった州予算で、GDPの0.35%までの債務を可能とする。
野党各党は、基本法カードゲームブラックジャックなどの重要事項は新議会で十分に審議を重ねて決議をとるべきで、今回の手続きは違憲として、特別議会の招集を阻止すべく、憲法裁判所に複数回にわたり緊急の申し立てを行っていた。しかし、同裁判所は、新議会が招集されるまでは現議会で手続きを行うことに問題はないとして、それらの申し立てを却下した。
今回可決した法案の冒頭には、米国新政権の対ウクライナ政策の方針変更により、ドイツや欧州がより大きな財政負担に直面する可能性や、防衛力を大幅に強化して欧州の安全保障に対する責任を果たすという課題に直面すること、さらには、長引く不況から脱却するためには、構造改革とともに、さまざまなインフラ整備の大規模投資が必要になるといった、ドイツが直面する課題を明記した。次期首相候補でCDU党首のフリードリヒ・メルツ氏の持つ危機感の大きさがうかがえる。
(注1)連邦政府の債務をGDPの0.35%未満に抑えるという財政規律のルール。
(注2)インフラ投資に関する追加性の基準では、「各会計年度で、連邦予算で適切な割合で投資が達成された場合、追加性が存在する」と記載されており、その割合は「特別基金および金融取引を除く連邦予算の10%を超える場合」とされている。
(注3)この規定により、国として「2045年までの気候中立」という目標を達成する義務を負うことにはならず、あくまで基金の使途を明確化するものにすぎないとされている(ドイツ公共放送ARD「ターゲスシャウ」3月19日)。
(打越花子、中山裕貴)
(ドイツ)
ビジネス短信 6deac631922d8c26