欧州委、鉄鋼セーフガード措置延長に関する調査開始を発表

(EU)

ブリュッセル発

2021年03月03日

欧州委員会は2月26日、6月30日に期限を迎える鉄鋼のセーフガード措置について、延長するかどうか検討する調査を開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この措置は、対象となる鉄鋼製品26品目について関税割り当て(クオータ)を設定し、割り当てを超過すると25%の関税を課すというもので、2019年2月に正式発動された(関連ブラック ジャック サイト)。欧州委によると、EU域外国からの輸入品によって市場が引き続き大きく圧迫されていることや、米国が1962年通商拡大法232条に基づいて課している鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税を撤廃する兆しがないことなどを理由に、加盟12カ国が域内の鉄鋼産業への損害を救済・防止すべく延長の検討を要請した。今回の発表から15日間の予定で関係者からの意見を受け付け、また、経済状況を評価するため、域内の鉄鋼関連企業に対して質問票を送付する。そうして集めたブラック ジャック 攻略を精査し、域外国政府との協議も行った上で、加盟国に対する提案を策定し、議決後、期限を迎える6月末より前に延長するかどうか決定するとしている。

鉄鋼ユーザー業界は大きく反発

これを受けて、欧州自動車工業会(ACEA)や欧州家庭用電気機器産業協会(APPLiA)など鉄鋼ユーザー産業8団体は2月26日、延長はすべきではないとの立場の声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新型コロナウイルス危機により、各製造業の生産量は落ち込んだが、回復基調にあり、2020年下半期以降、域内での鉄鋼製品の供給量が不足し、価格の上昇や供給の遅れがあるとした。しかし、セーフガード措置のため、コスト削減や納期短縮の目的で輸入品を利用することが難しくなっていると指摘した。そのため、セーフガード措置が延長されれば不確実性や不利な市場条件が増え、過度な保護は欧州の鉄鋼産業の競争力の低下や、鉄鋼ユーザー産業などにとっての不利益をもたらすとして、延長に反対するとした。

欧州の大手製鉄企業などを会員とする欧州鉄鋼連盟(EUROFER)は3月2日現在、本件に関する声明などを発表していないが、2020年第3四半期(7~9月)までのデータに基づいた2021~22年の欧州経済・鉄鋼市況見通しPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2月10日発表)で、「世界的な供給過剰により、EU市場は引き続き、域外国からの輸入品によって不安定化されるリスクにさらされている」との認識を示している。

(滝澤祥子)

(EU)

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