欧州会計検査院、復興基金の気候変動対策への貢献に対する過大評価を指摘
(EU)
ブリュッセル発
2024年09月30日
欧州会計検査院(ECA)は9月12日、復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)の気候変動対策への貢献は不透明とし、改善を促す報告書を発表した(プレスリリース)。
RRFは、新型コロナウイルス危機からの復興を目的とした復興基金の中核となる政策で、融資と補助金で構成される(ブラック ジャック 勝率議会と加盟国内手続きに課題も)。資金を受け取る加盟国は用途と見積もり費用を計画書にまとめるが、計画段階では少なくとも資金の37%を気候変動対策に割り当てる必要がある。なお、資金は実際の支出ではなく、目標の達成に基づいて支払われる。
欧州委員会は2024年2月時点で、EUの気候目標を支援する措置がRRF資金の42.5%(2,750億ユーロ)に達すると評価したが、ECAは、少なくとも345億ユーロは過大評価の可能性があると指摘した。また、気候変動対策に直接関連しないものも含まれていた点を指摘した。
欧州委は気候変動対策に割り当てられた予算の割合を算出するため、「気候係数」(注)の計算式を採用している。しかし、ECAの調査によると、例えば水管理の改善に向けた施策は、係数40%で評価されていたが、実際には、水管理をデジタル化するための政府のITソリューションに資金が使用されており、気候変動対策への貢献は0%と評価するのがより適切だった。
ECAは、欧州委に対し、気候変動対策の計画から実施までをより詳細かつ正確に評価し、気候中立への影響を監視するよう提言した。また、揚水式水力発電所の例を挙げ、資金提供の前に環境への影響評価が行われないことや、実態のない環境訴求が行われていることなどの課題を挙げ、計画と気候目標の関連性を強化し、支出を公表すべきとした。
(注)気候変動に多大な貢献をしていると評価された活動には係数100%、限界的ではなく肯定的な貢献をしている活動には係数40%、中立的または限定的な貢献しかしていない活動には係数0%がそれぞれ割り当てられる。
(大中登紀子)
(EU)
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